初公判直前に死亡…”トー横”の「ハウル」が語っていたこと
11月15日、東京・歌舞伎町の”トー横”で「歌舞伎町卍会」という集団の代表を務めていた「ハウル・カラシニコフ」こと、小川雅朝被告が死亡したことが報じられた。小川被告は18歳未満の少女にみだらな行為をした疑いで6月22日に逮捕され、11月22日には初公判が開かれる予定だった。
小川被告は勾留されていた東京拘置所内の部屋で体調が急変、死亡したとみられている。本誌「FRIDAY」では6月の逮捕時に彼がこれまでの取材時に語っていたことなどを報じている。以下に再録する(年齢、肩書きなどは当時のまま)。
「年端もいかない女の子を売ったりしている、悪知恵を持った大人がいる。居場所がない子どもに対してそういうことをするのは最低だと思っている。僕たちは平和を願っているので、止めたい」
6月22日、警視庁少年育成課は歌舞伎町で活動するボランティア集団「歌舞伎町卍会」の代表で「ハウル・カラシニコフ」と自称していた職業不詳の小川雅朝容疑者(32)を逮捕した。ハウルには、昨年8月ごろに知り合った16歳の少女へ、12月と今年3月にみだらな行為を行ったとして、東京都青少年健全育成条例違反の疑いが持たれている。
「小川容疑者は、歌舞伎町の『TOHOシネマズ新宿』周辺の通称『トー横』と呼ばれる一帯で、炊き出しや清掃活動を行う『歌舞伎町卍会』という団体のトップを務めていました。事件は昨年11月、被害にあった少女の母親が警察に相談したことで発覚。母親自身、トー横に出向き『午後11時以降に未成年を居させるなんておかしい』『関わらないでほしい』と訴えていたようです。しかし、その願いは届かず……。小川容疑者は今まで20回以上にわたり、少女を自宅に呼び出していたといいます」(捜査関係者)
本誌は21年11月下旬、歌舞伎町卍会の活動に密着している。その際に、ハウルの素顔を垣間見ていた。
取材当日、指定された歌舞伎町の一角を訪れると、20代の若者から60代の年配者ら20数名がたむろしていた。その中心にハウルはいた。長髪は紫色に染め上げられ、上半身はタトゥーに覆われている。記者が恐る恐る「半グレ組織ですか?」と聞くと、ハウルはフッと笑い、冒頭のように語り、「平和のために活動している」と明かした。
「ヤクザとのつながりはなく、半グレ組織でもありません。活動内容は主にゴミ拾いや炊き出しなどのボランティアです。喧嘩が起きたら止めに入り、トー横キッズたちに悪い大人が近づかないように監視もしています」
その後、彼が号令をかけると、メンバーたちはゴミ拾いをしながらトー横界隈のパトロールを始めた。酒に酔って道端に倒れている人に声をかけたり、スーツケースを抱えた家出少女から話を聞いて仲間の輪に入れたり……。活動は朝4時まで続いた。
「歌舞伎町が大好きです。自分たちの街だと思っているので、綺麗にしたい。将来的には児童養護施設をやりたいです。身寄りがない子どもたちの。ただ、まずは出来ることからやっていく。今の目標は歌舞伎町を少しでも平和にしたいです」
そう語ると、ハウルは夜明け前の歌舞伎町の雑踏の中へと消えていった。
取材時には自身の夢を熱く語っていた。しかし、歌舞伎町卍会に所属していた元メンバーによると、当時から未成年との乱れた関係が噂されていたという。
「ボランティア活動に熱心だったのは間違いないです。ただ、地べたに座り、お酒を飲み、音楽をかけて騒ぐだけの日もあった。本人は『日課』と言いますが、毎日行われていたわけじゃないです。さらに卍会にいる未成年の女の子複数人に対して淫行を繰り返しているというウワサも耳にしたことがあります。事件を聞いた時は驚きより、変な納得感のほうが強かったですね」
ハウルは「彼女のことは知っているが、19歳と聞いていた」として、容疑を否認しているという。心の隙間を埋めるためにトー横にやってきた子どもたちに付け込み、悪事を働く大人がいる限り歌舞伎町に平和はやってこない。(文中一部敬称略)
- 撮影:蓮尾真司 結束武郎