<h3><span class="strongInContent">1400</span><span class="strongInContent">万人を突破！ コロナ禍でも進んだ「東京一極集中」</span><span class="strongInContent"> </span></h3>
<p>コロナ禍で地方への移住やキャンプ、テレワークやワーケーションが注目され、一時点の月間データを取り上げて東京からの人口流出が報じられたりしたものの、実は、今現在も東京への一極集中は続いており、東京都の人口（推計）は1400万人を突破している（2022年9月）。</p>
<p>東京一極集中はこの先も進み変わりそうにない。それが事実であり、かつ民意でもある。TVのバラエティー番組などでは地方や田舎の良さが強調されるが、独裁国などとは違い、職業選択や居住や移動の自由がある日本では、各人が自発的に選択した結果が、今の東京への人口集中であることを忘れてはならない。</p>
<p>誰も強制的に東京に集められた訳ではない。好きだから、魅力があるから、チャンスがあるから、つまり、お金が稼げるから、ヒトも企業も大学も、そしてカネも集まっているといえる。東京集中はこの先も進み変わらない。利害関係者が多く経済合理的でもあるからだ。</p>
<figure id="attachment_275371" aria-describedby="caption-attachment-275371" style="width: 1024px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="e3b57ec8"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/11/2017092900759.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-275371" class="wp-caption-text">人口減少と少子高齢化の時代、全国一律、全ての地方が自立し持続的に成長していくのは無理（写真はイメージ：共同通信）</figcaption></figure>
<h3><span class="strongInContent">都心の5区に「富が集中」</span><span class="strongInContent"> </span></h3>
<p>東京都の「東京都区市町村別人口の予測」によると、都心3区（千代田、中央、港）の人口は2015年の44.2万人から2040年には63.5万人と約4割も増えると予測されている。</p>
<p>大規模再開発が続く渋谷区と新宿区を加えた都心5区（千代田、中央、港、渋谷、新宿）では、2015年の100.0万人から2040年には122.2万人と2割以上増えるという。実際、都心5区においては、東京駅の日本橋口で、高さ日本一となる390メートルの超高層ビル「トーチタワー」が建設中であり、八重洲や虎ノ門、渋谷に新宿でもオフィスビルや外資系最高級ホテルなど大規模な再開発が進展中だ。</p>
<p>また、これら都心5区において、平均世帯年収（市町村別の納税義務者数を課税対象所得で除した数値）は、港区1150万円、千代田区944万円、渋谷区801万円などと、軒並み全国平均の334万円を大きく上回っており（総務省、2017年度）、日本最大の富裕層が集中するエリアとなっている。</p>
<p>実際、こうした層をターゲットに都心ではタワマンが林立し、高級住宅街も数多くある。虎ノ門の「アマンレジデンス東京」や、三田の「三田ガーデンヒルズ」など、一室数十億円を超えるとされるような超高級サービスアパートメントやマンションが建設中だったり、販売開始をしていたりする。</p>
<p>更に、地方や郊外のシニア富裕層が利便性の高い東京など都心のマンション等に移るという動きも続いている。この先、東京都心部とその他都内との「東京の二極化」のほうが問題になるのかもしれない。</p>
<h3><span class="strongInContent">ゆるキャラやB級グルメでは解決しない</span><span class="strongInContent"> </span></h3>
<p>こうした東京での突出した動きがあるなか、多くの地方では、人口減少や過疎化、基幹産業や財源がないといった根本的な問題を抱えている。しかも、これらの問題は、何も解決されていない。</p>
<p>人口減少が続くなか、日本全国津々浦々栄えることはもはや不可能だ。47都道府県、1,724ある市町村全てが存続することの是非が問われているということだ。</p>
<p>読者の皆様も薄々気付いているはずだ。人口減少と少子高齢化の時代、全国一律、全ての地方が自立し持続的に成長していくのは無理だと。</p>
<p>それなのに全国一律の地方創生だ！ 地方活性化だ！ と正論に基づく施策やキャンペーンが横行している。各自治体によるゆるキャラやB級グルメ、移住支援にワーケーションで解決するようなレベルの問題ではもはやないにもかかわらずだ。</p>
<p>全国一律の地方創生をやめる時が来た。「選択と集中」は、政治家だけでなく、国民一人一人にも突きつけられているのだ。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="東京都民の「不満」が爆発するとき"></div>
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<h3><span class="strongInContent">インフラ更新も増えてくる</span><span class="strongInContent"> </span></h3>
<p>更に悪いことに、これから道路や橋脚、上下水道など社会インフラの更新も増えてくる。全国津々浦々、電気や水道を張り巡らし、ガードレールを整備していてはいつまでたっても予算不足で、富の実感が湧くことはない。ましてや、空港に新幹線に高速道路、スタジアムにコンサートホールときりがない要求が続く。インバウンドや観光も浮き沈みが激しく、当てにはならない。</p>
<p>田舎暮らしや移住ブームもいいが、むしろ、過疎地から都心への移住促進、過疎地域の新規開発やインフラ投資などを禁止し、住む場所と住まない場所を分けるべきではないだろうか。</p>
<p>筆者は、世界60か国以上を訪問してきたが、海外では、街から街、集落から集落へと車や電車で移動すると、民家や建物が全くない景色に出くわすことになる。読者のなかにも経験がある方がいるかと思う。</p>
<p>一方で、47都道府県全てを訪問してみても、家や街並みが途切れることはない。日本を除けば世界中、どの国にも非居住地域や自然保護地域があったり、あえて人の手が加えられていない場所があるのだ。地図で確認してみてほしい。シンガポールやサッカーW杯が開催されるカタールといった極少国にすらある。日本だけだ。人気TV番組の「ポツンと一軒家」ではないが人家が途切れることなく、何処にでも民家があり、かつ税金を利用して隅々までインフラが整備されているのは。</p>
<p>住まない場所、自然のままの場所をつくる一方、住む場所と開発する場所には重点的に投資する。「選択と集中」で、地方を選別する一方で、首都東京などへのインフラ投資をもっと積極化するということだ。</p>
<figure id="attachment_275372" aria-describedby="caption-attachment-275372" style="width: 5529px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="cc4dc3d5"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/11/aflo_38261701.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-275372" class="wp-caption-text">東京都の中でも富裕層が集中するエリアの平均世帯年収は、港区1150万円、千代田区944万円、渋谷区801万円などと、軒並み全国平均の334万円を大きく上回っている（写真：アフロ）</figcaption></figure>
<h3><span class="strongInContent">東京都民の「不満」が爆発するとき</span></h3>
<p>満員の通勤電車や渋滞ばかりの道路事情など東京のインフラは脆弱だ。劣悪な満員電車にゆられ往復3時間、企業や個人が稼いで収めた税金や利益が、官民問わず、地方での赤字補填に、補助金やインフラ整備のためにばらまかれているのだ。もちろん、地方が豊かになることは悪いことではないが、その財源はどこから出ているか、持続可能なのか、ということだ。</p>
<p>このままでは、イタリアにおいて、ミラノなど豊かな北部が、開発が遅れる南部を負担することにノーを突きつけた北イタリア自治権拡大運動のように、日本でも東京都民が立ち上がり、東京独立運動がそのうち起こるかもしれない。</p>
<h3><span class="strongInContent">地方淘汰は悪いことばかりではない</span><span class="strongInContent"> </span></h3>
<p>非常時とはいえ、コロナ禍による税減収と、給付金や補助金などコロナ対策予算の拡大などにより、地方自治体の財政悪化も急速に進んでいる。この先、地方自治体の多くが、人口減少→産業の衰退→個人や法人からの税収の減少→インフラ整備や社会保障費の不足→人口流出→過疎化が更に進む→財政破綻という道を歩むことになる。</p>
<p>最終的には、地方自治体そのものの選別や淘汰が一段と進むことになろう。</p>
<p>もっとも、地方が、淘汰され合従連衡などで選別されることで、無駄な公共事業やインフラ整備も集約され、結果的に、利用者や居住者はより良い商品やサービスを受けることが可能になる側面もある。日本経済全体をみたマクロの観点からも、個々人の所得や生活レベルの向上という観点からも、地方の選別・淘汰は、必ずしも悪い話だけではないはずである。</p>
<p>東京一極集中は進む。地方の淘汰も進むなか、では一体この先、どの地方が生き残るのだろうか。</p>


株式会社マリブジャパン代表取締役、金融コンサルタント。1969年、岐阜県生まれ。1993年慶應義塾大学経済学部卒、2000年青山学院大学大学院 国際政治経済学研究科経済学修士。三菱銀行、シティグループ証券などを経て、2013年に同社を設立。世界60か国以上を訪問。バハマ、モルディブ、パラオ、マリブ、ロスカボス、ドバイ、ハワイ、ニセコ、京都、沖縄など国内外リゾート地にも詳しい。映画「スターウォーズ」の著名コレクターでもある。著書に『銀行ゼロ時代』（朝日新聞出版）、『なぜニセコだけが世界リゾートになったのか』（講談社+α新書）、『地銀消滅』（平凡社）など。

高橋克英（たかはし・かつひで）

東京への一極集中は続いており、東京都の人口は1400万人を突破している。こうした東京での突出した動きがあるなか、多くの地方では、人口減少や過疎化、基幹産業や財源がないといった根本的問題を抱えている。

都心５区にヒトとカネが集中…「東京独立運動」が起きる現実味

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