渡邊雄太 「努力の天才」が持つ5つのストロングポイント
英語ができずパスももらえなかった男は、ドラフト外から這い上がりチームに欠かせない存在に―― NBAのスター軍団『ブルックリン・ネッツ』で活躍中
バスケファンは夢の光景を見ている。
NBAブルックリン・ネッツの渡邊雄太(28)が、スター軍団の中で獅子奮迅の活躍だ。11月6日のシャーロット・ホーネッツ戦では持ち味の粘り強い守備と3ポイントシュートを積み上げ、逆転勝利に貢献。エースのケビン・デュラント(34)に「ユウタは最高だよ」と言わしめた。
’14年に米ジョージワシントン大学に留学した際には英語が話せず、パスすら要求できなかった渡邊。それでも、誰よりもコートで汗を流し、ドラフト外から居場所を勝ち取ってきた「努力の天才」。彼の強みは、206㎝の長身だけではない。世界で通用する「5つのストロングポイント」を持っている。
①攻守切り替え時の「最初の2歩」
バスケットボールアナリストの佐々木クリス氏はこう分析する。
「バスケは攻守の切り替えを制する者が試合を制します。渡邊選手はその際、『初動の2歩』がとにかく速い。だからプレーに絡む時間も多く取ることができ、シュートチャンスも増える。意識してやっているのだと思います」
②圧倒的な「運動量」
とにかく渡邊は走る。古巣のトロント・ラプターズ時代から、その運動量はNBAファンに知られるところだった。
「彼がコートで立ち止まるのは、それこそ3ポイントシュートを打つ時くらいです。相手チームからしたら、嫌な選手としか言いようがないですよね」(スポーツジャーナリストの塚本清彦氏)
③「バスケIQ」の高さ
渡邊は、他の選手よりもファウルをもらう数が少ない。これは、冷静に「頭を使って」プレーをしている証拠だ。
「どんな選手でもミスをするものですが、渡邊選手は判断ミスを限りなくゼロに近づけようとしている」(前出・佐々木氏)
④信頼を勝ち取る「対応力」
当面、渡邊に期待されるのは、どんな場面でも柔軟に対応する「シックスマン」的な活躍だ。在米スポーツライターの杉浦大介氏が解説する。
「色々なポジションをこなせますし、身勝手なシュートは絶対に打たない。だからこそチームメイトから信頼されるし、愛されているのだと思います」
⑤シュートへの「こだわり」
シュートが打てなければNBAのコートには立てない。だが、今季の渡邊の3ポイントシュート成功率は54.5%とNBA全体4位につけるほどに成長した。
「大学1年生の彼に取材した時、『必要なのはシュート力』と語っていました。今もその意識を持っているのが、シュートの成功率からわかります」(杉浦氏)
「努力の天才」が、世界最高峰のチームに必要とされる男になった。
『FRIDAY』2022年11月25日号より
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