サッカー日本代表・鎌田大地 元コーチが明かす「ふてぶてしさ」
ポジション:MF 身長:184㎝ 体重:76㎏
所属:フランクフルト

鎌田大地(26)は、今や欧州で最も注目される日本人選手となった。ドイツ・フランクフルトでは、今シーズンのリーグ戦で7ゴール、4アシストを記録し、その市場価値は40億円超とも言われている。これは日本代表の中でも最高。鎌田は高校卒業後、Jリーグのサガン鳥栖で3シーズンを過ごした。フィジカルコーチを務めた津越(つこし)智雄さんは、その意識の高さにたびたび驚かされたという。
「大地はもともと海外志向が強くて、むしろそこしか見ていないように映りました。いい意味で日本人に足りないふてぶてしさがありますね。こうしたほうがいいとか、なにこれ? と思ったらすぐに自分の考えを言える選手です。鳥栖にいる時は相手を圧倒するために、あえて難しいプレーを選ぶことも。日本でこれくらいできないと海外では通用しない、という考えが根底にあったんだと思います」
2年目の冬に「そろそろ欧州でやりたい」という鎌田の言葉を聞いた津越さんは、すぐに航空券を予約。2人でイタリア、ドイツ、イングランドをまわり、4試合を共に観戦した。
「イタリアでユベントスの試合を観た時、トップレベルのスピードと強さに感銘を受けていましたね。あの時、彼の中で欧州でやるために必要なことが整理できたはずです」
鎌田の持ち味は、正確無比なパスとシュート精度。津越さんは、そんな鎌田のことを〝特殊な選手〟と表現する。
「選択のスピード、パスのタイミングなどセンスはズバ抜けていましたが、決してフィジカルに優れた選手ではなかった。しかし、彼は自身の強みをとことん突き詰めて、世界トップレベルでも通用することを示した。日本人の海外での成功例としては珍しいケースでしょう」
日本史上初のベスト8進出のためには、鎌田の躍動が必要不可欠だろう。
「大きな舞台ほど結果を出すのが、大地です」
津越さんは期待を込める。

『FRIDAY』2022年12月2・9日号より
PHOTO:ゲッティイメージズ