3グラムで死亡…本当に怖い「猛毒キノコ」知られざる害悪!
あなたのそばにも生えている 嘔吐、腹痛、下痢、めまい、幻覚、最悪の場合は死に至るケースも…… 行楽シーズン到来、キャンプ場の近くでも発見例多数
触っただけで皮膚の炎症を引き起こし、3g食べれば死に至るとされる猛毒キノコ「カエンタケ」が、今夏、日本全国の公園で確認され、世間を震撼させた。
【猛毒】カエンタケ
腎不全、肝不全、脳障害
ブナ、ナラの近くの地上に群生。食後30分ほどで嘔吐、下痢等の症状が現れ、言語障害が発生。呼吸不全などで死に至ることも。

だが、恐ろしい毒キノコは「カエンタケ」だけではない。身近な場所に生えている猛毒キノコは数多くあるのだ。「キノコ入門講座」代表の大舘一夫氏が語る。
「『カエンタケ』と並び毒性が強いとされるのが『シロタマゴテングタケ』と『ドクツルタケ』です。特に『ドクツルタケ』は一般的な公園にも自生しており、今年は埼玉、山梨などで目撃されています。
いずれも、食べると下痢や嘔吐、消化器系の中毒症状が出ます。ドクツルタケの場合、これらの症状は大体1日で回復しますが、血液を通じて毒性物質が体中に回り、1週間の潜伏期間を経て黄疸(おうだん)と血便が出る。この時はもう手遅れで、肝臓、腎臓の細胞が破壊されており、最終的には多臓器不全になって死に至ります」
「中毒御三家」にも注意が必要だ。「ツキヨタケ」、「カキシメジ」、「クサウラベニタケ」はキャンプ場近くの森や林によく生えているが、食用のキノコと見分けるのが非常に難しく、国内の毒キノコ被害の実に70%以上を占めている。
「『中毒御三家』は消化器系の中毒を引き起こします。私が『カキシメジ』を食べてしまった時は、食後30分ほどで胃がムカムカとしてきて、そこからは嘔吐と下痢の繰り返しに。30回以上トイレで戻し、たった一日で6㎏やせるほどの下痢に見舞われました……」(同前)
大舘氏によると、キノコの自生地にも温暖化の影響が出ており、例年よりも全体的に北上しているという。
「地元でのキノコ狩りにある程度慣れた人が、見慣れないキノコを口にして被害に遭うケースが増えている印象です。キノコ狩りが盛んな新潟県では、10月末に『毒きのこ食中毒発生注意報』も発令されました」
一般に流れる噂も危険をはらんでいる。
「『縦に割けるキノコは食べられる』などの言説がありますが、嘘です。『中毒御三家』は縦に割けます。専門家でも間違えることがあるので、自生するキノコはうかつに口にしないのが一番でしょう」
危険な毒キノコに、ご用心。
【猛毒】シロタマゴテングタケ
下痢・嘔吐・胃腸からの出血、肝臓・腎臓・心臓の障害
1本以上摂取すると数日で死に至る場合もある。その毒の強さから、イチコロ(秋田県)の地方名がある。

【猛毒】ドクツルタケ
下痢・嘔吐・胃腸からの出血、肝臓・腎臓・心臓の障害
強力な毒性を持ち、欧米では「殺しの天使」の異名を持つ。成長スピードが非常に速く、1日で15㎝ほどになる。

【中毒御三家】ツキヨタケ
嘔吐・下痢・腹痛・幻覚
カサの裏が発光する。シイタケなどに似ており、枯れたブナの大木に多数生える。視界が青くなったという症例の報告がある。

【中毒御三家】カキシメジ
嘔吐・下痢・腹痛
塩漬けにすると食べられる。松林に生えるものは無毒とも言われるが、食べない方が無難。

【中毒御三家】クサウラベニタケ
嘔吐・下痢・腹痛
食用のウラベニホテイシメジ、シメジモドキと誤食する被害が多い。ナラ、クヌギ林などの地上に群生。

『FRIDAY』2022年12月2・9日号より
PHOTO:キノコ入門講座事務局(シロタマゴテングタケ、カキシメジ) アフロ(ドクツルタケ、クサウラベニタケ)