重岡銀次朗インタビュー「Z世代最強ボクサー」が世界を驚かす | FRIDAYデジタル

重岡銀次朗インタビュー「Z世代最強ボクサー」が世界を驚かす

スペシャルインタビュー 日本ミニマム級前王者 1.6 IBF世界タイトルマッチがついに決定 高校5冠、プロ8戦8勝。

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入門時から京口や田口良一(35)、谷口将隆(28)ら世界王者に揉まれてきた。「ジム6人目の世界チャンピオンになってみせます!」(撮影:鬼怒川 毅)
入門時から京口や田口良一(35)、谷口将隆(28)ら世界王者に揉まれてきた。「ジム6人目の世界チャンピオンになってみせます!」(撮影:鬼怒川 毅)

「コロナの影響で、なかなか世界戦を組んでやれなかった。正直、肩の荷が下りたという思いがあります……」

’18年に、ワタナベボクシングジムの渡辺均会長(72)が直接口説いて迎え入れた重岡銀次朗(23)の世界挑戦が決定した。1月6日、大阪でIBFミニマム級王者、ダニエル・バラダレス(28)と対戦する。8戦全勝6KOの銀次朗に対し、バラダレスの戦績は26勝(15KO)3敗1分け。

「技術はもちろん、銀次朗は気持ちが強い。試合時の集中力は目を見張るものがあります。小学4年でボクシングを始めて以来、リングで一瞬も気を抜いたことがない、一度も負けを知らないという点には、こちらも驚かされますよ。高校時代に5冠を達成した銀次朗を預かって5年弱。ようやく大舞台に送り出せます」

渡辺会長は「バラダレスは銀次朗の敵ではない」と言い切った。

「3敗もしている選手に銀次朗が負けるはずがありません。ただ世界的に見れば、ミニマムという最軽量クラスは注目度が低い。ですから、連続KO防衛などでアピールしていけたらと考えています。具志堅用高(67)の世界タイトル防衛記録『13』は、是非抜いてほしいですね」

バラダレスへの挑戦を正式に発表した11月11日、銀次朗は6ラウンドのスパーリングをこなした。右フックと左ボディアッパーが得意だが、「どのパンチでも相手を倒せるように」と、左ストレートにも磨きをかけている。練習の合間に見せる表情は、喜びに満ちていた。

’18年9月25日のプロデビューから今日までを振り返ると、コロナ禍でリングに上がれなかった19ヵ月間が最も苦しい時期だったと銀次朗は話した。

「’19年7月にWBOアジアパシフィック王者となって、その年末にKO防衛したのですが、’20年初頭から試合ができませんでした。決まりそうになっては流れてばかりで、心が折れそうになりましたよ」

試合ができず収入が激減した銀次朗は、都内の蕎麦屋でアルバイトを始めた。

「週に4回、山芋を擦ってとろろにしたり、蕎麦を茹でたり、洗い物をしたりしていました。自分は器用じゃないので、バイト中は必死。リングの上で慌てたことは一度もないですが、注文が殺到したときは焦りました(笑)。ただ、ボクシングのことを考えずに済み、リフレッシュできました。貴重な時間でした」

当時の店長は勤務態度を絶賛する。

「雑な仕事や手抜きは一切しない真面目な好青年で、愛されていました。’21年7月の試合は従業員5名で応援に行ったのですが、あまりの強さに唖然としました。あの重岡選手と、時給が40円あがって『うれしい~』とハシャいだ彼が同一人物とは、不思議な感じがします(笑)」

デビュー2戦目から銀次朗との二人三脚を続ける町田主計(ちから)トレーナーも言う。

「アルバイト先でボクシングとは無関係の方々と接しながら、何かを学んだのでしょう。最近は、他者への思いやりや、感謝の気持ちを口にする機会が増えましたね。今年の夏頃から自分のスパーリングの映像を撮って、客観視するようになりました。欲が出てきた感もあります」

ジムの先輩で、ずっと切磋琢磨してきた前WBAライトフライ級スーパー王者・京口紘人(28)と寺地拳四朗(30)の死闘にも刺激を受けた。

「魂のこもったファイト、試合後の周囲への気遣い――京口さん、カッコよかったです。拳四朗選手のジャブにも学びがありました。距離をいかに支配するか。ステップワークの大切さも再確認しました。バラダレスはファイターですが、奇麗な戦い方もするし、カウンターも合わせられる。打ち合いが好きそうですから、望むところです。百パーセント、KOで勝ちますよ。無敗のまま、パウンド・フォー・パウンド最強になります」

1月6日、日本ボクシング界に新たなヒーローが生まれそうだ。

バイト先の蕎麦屋で。「焦っても、動きは早くならないことをここで知った。平常心の大切さを学びました」
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リングを離れれば23歳の真面目な好青年。「焼き肉とか美味しいものの写真を撮りだめて減量中の苦しい時の励みにしてます(笑)」
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本誌未掲載カット 重岡銀次朗「無敗のまま、パウンド・フォー・パウンド最強へ!」
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本誌未掲載カット 重岡銀次朗「無敗のまま、パウンド・フォー・パウンド最強へ!」
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『FRIDAY』2022年12月2・9日号

  • 取材・文林 壮一

    ノンフィクション作家

  • 鬼怒川 毅

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