<figure id="attachment_276925" aria-describedby="caption-attachment-276925" style="width: 946px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="c6abd7cd"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/11/2022112303209.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-276925" class="wp-caption-text">後半、堂安律（中央）が同点ゴールを決めた直後。背番号14の伊東純也も喜びを爆発させた（写真：共同通信）</figcaption></figure>
<p>４年に一度のサッカーの祭典、FIFAワールドカップ（W杯）が、20日（日本時間21日深夜）に中東の国・カタールで開幕した。７大会連続の出場となる日本代表は、過去W杯優勝４度の難敵・ドイツ代表に先制を許しながら、２-１で下し、歴史的な勝ち点３をもぎとった。</p>
<p>今大会、日本代表に招集された全部で26選手のうち、攻撃の柱である快速ウイング・伊東純也ら８選手がトレーニングとして取り入れている「秘密の部屋」がある。高地トレーニングスタジオ「ハイアルチ」だ。日本代表選手だけでなくＪリーガーも含めれば２００名以上のプロサッカー選手がユーザーになっているという。なぜ彼らは「ハイアルチ」に通うのか、創業者の新田（しんでん）幸一氏に話を聞いた。</p>
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<h3>ドイツ戦には８選手全員がピッチに立った</h3>
<p>伊東が通ったのは、横浜市内にある「ハイアルチ」センター北店。横浜市営地下鉄の「センター北」駅から徒歩１分のところにある。高地トレーニングという言葉とはかけ離れた、一見普通のスポーツジムと変わらないトレーニング器具が置かれた景色だ。しかし、トレーニングルーム内は標高2500m、富士山の５合目と同じ酸素濃度。高地に行くと赤血球が増えたりするため、心肺機能は上がる反面、激しい運動ができないため筋力が落ちる、といわれていた。そこで「筋力が落ちてしまうなら、地上のトレーニングと高地トレーニングを並行してやればいい」というコンセプトで、日本で初めて作られたのが「ハイアルチ」のスタジオ。ここを利用する伊東以外の７選手全員がドイツ戦のピッチに立った。</p>
<p>伊東純也が初めて訪れたのは、ベルギー１部リーグのゲンクでプレーしていた2021年の夏。オフで帰国していたタイミングだった。伊東の神奈川大学時代の同級生が「ハイアルチ」ユーザーで、彼らに勧められたという。</p>
<p><span class="strongInContent">「伊東選手が最初にきたときは、前日に深酒をしていたみたいで、コンディションがあまりよくなかったんです（笑）。それこそ“友達に誘われたからきました”くらいの温度感だったのですが、次の日に伊東選手から『真剣にやりたいです』と連絡がきました。そこからベルギーに帰国するまで、できる限り時間をつくって『ハイアルチ』でトレーニングをしました」</span></p>
<p>「ハイアルチ」に通い始めた後に迎えたシーズンで伊東は覚醒する。2021年夏以降、日本代表に選ばれ続けて、W杯アジア最終予選では４試合連続でゴールも決めて、代表に欠かせない選手になった。</p>
<p>2022年５月にゲンクでのシーズンを終え、夏にフランス１部リーグのスタッド・ランス移籍のタイミングで再び伊東は姿を現した。伊東は新田氏に「移籍したら絶対にレベルが上がるからオフにトレーニングをしたい」と覚悟を明かしていた。</p>
<p><span class="strongInContent">「海外のクラブは、新シーズンの最初からトレーニングの強度が高く、フィジカルのレベルを分けたチーム編成をしているそうです。オフにコンディションを上げて、チームに合流することができれば、最初からフィジカルレベルの高いグループでトレーニングができます。自然とレギュラーポジションに近づけるというわけです」</span></p>
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<p>新天地でレギュラーをつかみ、その先にある冬のW杯で活躍するため、伊東と新田氏はある狙いを持ってトレーニングに取り組んだという。</p>
<p><span class="strongInContent">「試合中に消えてしまう、いわゆる『純也タイム』を無くそうという話をしました。人よりもスピードを出せるということは、人よりも電池の消費が速いということなので、疲れやすいんです。伊東選手と話したのは、90分間を通して、スプリントの回数を増やすということ。そのためには、人の倍の速度で疲労を回復させるということ。回復速度が速ければ、試合の後半になっても伊東選手の武器であるスピードを落とすことなく、スプリントの回数を増やせるわけです。なので、７秒以内のスプリントのレンジ（距離）をあげることにフォーカスしました。</span></p>
<p><span class="strongInContent">たとえ身体能力が高いといわれている黒人の選手でも、回復速度を上げるにはトレーニングをするしかないのですが、意外にもサッカー界でそこのトレーニングにフォーカスできている人は少ないです。『走る』という部分だけでいえば、プロサッカー選手でも、中学の陸上選手ぐらいのレベルというのが実情です。裏を返せば、取り組んでいない『走る』トレーニングには、大きな伸びしろがあるということです。</span></p>
<p><span class="strongInContent">心肺機能や解糖系といわれる耐乳酸の機能は、鍛えれば鍛えるほど変化は起きます。実際、男子マラソンの世界記録保持者のエリウド・キプチョゲ選手は、37歳で世界新を更新しています。伊東選手も、まだまだ伸びると思いますよ」</span></p>
<div data-friday-nextpage-lead="伊東以外にもいる日本代表の“愛用者”"></div>
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<figure id="attachment_276857" aria-describedby="caption-attachment-276857" style="width: 1980px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="448e82a2"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/11/IMG_7900-1.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-276857" class="wp-caption-text">トレーニングで出し切った伊東（左）と隣で数値をチェックする新田氏</figcaption></figure>
<h3>三笘薫や田中碧も“愛用”</h3>
<p>スタジオに通い始めてからこの１年で結果を残した伊東は何より、意識が変わった。</p>
<p><span class="strongInContent">「１年前に会ったときは、ちょっとフワッとした雰囲気がありましたが、今年の夏に会ったときは、自信に溢れていました。正直、伊東選手はトレーニングに対してマジメでも、ストイックでもないんですけど、『サッカーに対して腹をくくっている』印象は誰よりも強いかもしれません」</span></p>
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<p>自信とともに帰国した伊東は、2022年の夏のオフには５日間、新田氏の指導を受けた。「ハイアルチ」のトレーニングは１日30分で終わるが、通常のトレーニングの数倍の効果が期待できるという。</p>
<p><span class="strongInContent">「トレーニング初日は１時間以上休まないと動けないくらい疲労していました。初日からトレーニングの強度を上げていくのですが、それでも５日目には、10分くらい休んで帰れるぐらい、回復が早くなる。あきらかにハードなトレーニングをしているのに、疲労が軽減されることが数値で明らかになりますし、伊東選手に限らず『本当に変わった』と実感してくれています」</span></p>
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<p>今夏では、伊東と同じタイミングで、カタールW杯の日本代表の同僚でもある三笘薫、田中碧も合同でトレーニングしたという。</p>
<p><span class="strongInContent">「伊東選手も、三笘選手も、ほかのプロサッカー選手に比べて、スプリントの最高速度が圧倒的に速いです。彼らの最高速度は世界でも勝負できるので、そのスピードを90分間出し続けられるようなトレーニングを行っています。</span></p>
<p><span class="strongInContent">シーズンが始まる前のトレーニングでは、一気にフィジカルの能力を上げます。とはいえ、シーズンは10か月近くにわたりますので、ゆるやかにその効果は下がってきます。そのため、三笘選手や田中選手は、低酸素の環境をつくる機械をイングランドとドイツに持ち込んで、シーズン中も『ハイアルチ』のトレーニングを行っています。シーズン中のトレーニングは効果をキープする働きがあります。ある意味『合法的なドーピング』といえるかもしれませんね」</span></p>
<p>世界を驚かすために、酸素の薄い特殊スタジオでもがいてきた男たちが、カタールのピッチで躍動している。</p>
<figure id="attachment_276894" aria-describedby="caption-attachment-276894" style="width: 750px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="8952ee2c"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/11/f39dbd48e302a87be0ce966d54268eba.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-276894" class="wp-caption-text">伊東のトレーニング風景（提供：新田氏）</figcaption></figure>
<figure id="attachment_276920" aria-describedby="caption-attachment-276920" style="width: 767px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="8cd2ba82"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/11/18310137515800dda225a3259fc3abbb.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-276920" class="wp-caption-text">高地と同じ低酸素状態のトレーニングルーム内。走っていたランニングマシンの前方左にテレビ、中央に標高（2927m）が書かれたモニタ、右端はトレーニングしている人の心拍数が表示される</figcaption></figure>
<figure id="attachment_276921" aria-describedby="caption-attachment-276921" style="width: 570px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="ff240cd3"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/11/93eb4a959ccb619bcb51e97725f99a0b.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-276921" class="wp-caption-text">トレーニングルーム内の設定標高のモニタを拡大。2891mの下に書かれた「Oxygen concentration」は酸素濃度のことで15％と示される。通常の陸地は21％といわれている</figcaption></figure>
<figure id="attachment_276860" aria-describedby="caption-attachment-276860" style="width: 3583px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="a9f7616d"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/11/IMG_8075.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-276860" class="wp-caption-text">ハイアルチに飾られている伊東のサイン入りユニフォーム（提供：新田氏）</figcaption></figure>


奥山典幸

後半、堂安律（中央）が同点ゴールを決めた直後。背番号14の伊東純也も喜びを爆発させた（写真：共同通信） ４年に一度のサッカーの祭典、FIFAワールドカップ（W杯）が、20日（日本時間21日深夜）に中東

ドイツに歴史的勝利　森保ジャパンの８人が通う「秘密の部屋」

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