行政指導10回…西宮に出現した大量土砂に住民から悲鳴 | FRIDAYデジタル

行政指導10回…西宮に出現した大量土砂に住民から悲鳴

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大量の土砂が積まれたまま工事がストップ。近隣住民からは土砂災害を不安視する声が上がっている
大量の土砂が積まれたまま工事がストップ。近隣住民からは土砂災害を不安視する声が上がっている

兵庫県西宮市といえば、さまざまな不動産会社が発表している「住みたい街ランキング」で、毎年必ずトップクラスに入る関西の人気エリアだ。特に山手側は高級住宅街が多く、年々その土地価格は高まっている。

しかし、そんな西宮市にいま、5700㎡もの広大な更地に積まれた大量の土砂が出現。近隣住民から悲鳴の声が上がっているという。

問題視されている場所は、高住住宅街が並ぶ阪急・仁川駅から車で10分程度、関西学院大学からほど近いエリアに位置する。

森が切り開かれてむき出しになっている工事現場には、道路からも肉眼ではっきりと確認できるほどの土砂が散乱している。所々に、土砂を覆い隠すように敷かれたビニールシートも確認できる。付近には少なくとも40件以上の住宅が点在している。

地元の不動産会社代表が説明する。

「ここはもともと、バブル期に大掛かりな住宅開発が予定されていながら、結局は中止になった場所です。長年手つかずだっただけに、関西の不動産業界では有名な“いわく付き”な土地として知られていました。少し南に歩けば超高級住宅街が集まる『お屋敷街』、東にいけば仁川の高級住宅街がある一等地ですから、この広大な土地がどう活用されるかは業界内で注目を集めていました」

そんな土地で再び宅地造成工事が始まったのは、いまから約3年前。当初の計画では、今年10月末で工事は終わる予定だった。しかし実際には工事はほとんど進捗せず、更地が残るどころか、大量の土砂が積まれた状態になってしまっているのだという。

集中豪雨や地震により、近年は全国各地で土砂災害のリスクが高まっている。内閣府が発表した統計によれば、’10年からの10年間で実に98%以上もの市町村で水害・土砂災害が発生。昨夏には、静岡県熱海市で大規模な災害が起き、多数の人命が失われている。

それだけに、西宮住民からは土砂災害を不安視する声が多数上がっているという。前出の地元不動産会社代表が続ける。

「『集中豪雨が降れば土砂が流れ出すのではないか』といった声は地元の自治会から盛んに上がっています。工事を担当しているのは、大阪市に拠点を置く土木会社。工事がストップしてしまっているのは、代表を務めていた方が昨年亡くなったことによって、資金繰りに困っていることが原因といわれています」

当然、西宮市もこの土地を問題視している。西宮市の開発審査課の担当者は本誌の取材にこう答えた。

「当該の土地については、’18年9月に北東側斜面の宅地造成許可、’19年8月に南西側渓流整備の宅地造成許可が出ています。何度も何度も事業者とのやり取りは続けてきており、これまでに10 回程度の勧告や文書による指導を行っていますが、なかなか改善には至っていません。近隣に住む自治会の方からも危険性に関する問い合わせがあり、その都度説明もしてきています」

さらに今年9月1日には、許可条件に違反していることから、崖面の崩壊・土砂流出の発生を防止するための措置を行うよう、西宮市長の名前で命令まで出されているという。

「特に市として問題視していたのは、もともと渓流があった場所に水路を整備する造成計画でしたが、水路構造物が途中で途切れた状態で工事が止まっていました。そのため、上流からの水が速やかに下流に流れず、場内に広がっている状況でした。今年9月の措置命令により、問題視していた途切れた水路構造物については、防災工事が完了しています」(同前)

とはいえ、高く積まれた土砂は放置されたままだ。本誌は当該の土木会社にも取材を申し込んだが、

「誰がそんなことを言ってるか知らんけど、取材に答える必要はない」

と担当者が語り、電話は切れた。

関西の高級住宅地・西宮に出現した大量の土砂……。住民の不安が解消される日はいつになるか。

今年9月には西宮市長の名前で措置命令も出された
今年9月には西宮市長の名前で措置命令も出された

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