ドイツ戦の夜に渋谷で繰り広げられた『乱痴気騒ぎ』写真
「マジで最高の夜だぜ! 朝までいきますよー! ニッポン!ニッポン!ニッポン!」
FIFAワールドカップのカタール大会で、日本代表が強豪ドイツ代表を下した。23日深夜0時頃に日本の勝利が確定するやいなや、近くのスポーツバーや路上で観戦していたサッカーファンが、一斉に店の外へ飛び出した。ライブビューイングを行っていた店の多くは深夜1時に営業を終え、居場所を失った人々が向かった先はスクランブル交差点だ。

信号が青になる前から、交差点の4隅から「オ~!ニッポン!ニッポンニッポンニッポン、オイオイ!オイオイオイオイ!」とコールが起こり、渋谷の街に響き渡る。
信号が青になると、群衆は一目散に交差点中央へ。一時は200人近い人々が入り乱れ、天に指を突き上げると、声をそろえて雄叫びをあげた。警察官の怒号とホイッスルの音、群衆の雄叫びが入り混じり、駅前は一瞬にして無法地帯へと化した。

「走らないでください!ゆっくり進んでください!立ち止まらないでください!信号が赤に変わりますので早く渡ってください!」
10分ほどで警察の応援部隊が到着。ハロウィンの時と同様に黄色いテープを張って交差点内で荒れ狂う日本人サポーターたちを歩道へ誘導し始めた。

交差点で乱痴気騒ぎが繰り広げられる中、渋谷の街自体は試合を見終えた人々が去り、閑散としていた。しかし、次第に宮下パークやPARCOの前にもゲリラ的にサポーターたちが集まってコールを行うようになる。たまたま居合わせた若者たちがすれ違うたびに雄叫びをあげ、それを聞いた人々が集まり、ひとしきりコールをし終えるとハイタッチが始まる。
「お兄さん、誰だか知らないけど最高だよ!ニッポン!ニッポン!オッオッオッ!」
「明日は平日だけど、今日は飲むっしょ!朝までいくでしょ!」

終電を過ぎても、小雨が降っても熱は冷めやらず、渋谷の中心部は歴史的なジャイアントキリングに沸騰。数時間後、渋谷のカラオケボックスは青いユニフォームを着たまま、グッタリとした若者であふれていた。
「いや~はしゃぎ疲れました。今夜は友達数人とカラオケボックスに泊まりますよ。終電ももうないですし、朝までここで過ごします。最近良いニュースもあんまないじゃないですか。コロナ禍で発散できる機会がなかったので楽しかったです」(友人と渋谷のスポーツバーで観戦していた大学生)
コロナ禍で様々な機会を奪われてきた若者にとっては、羽目を外せる絶好のチャンスだったのだろう。
しかし、韓国の梨泰院では、今年のハロウィンの日に起きた群衆雪崩で158人の死亡が確認されている。渋谷でもハロウィンの際、今回と同様の騒動が起こるのを防ぐため、渋谷区は5800万円をハロウィン対策費として計上した。
次の試合は27日に行われるコスタリカ戦。代表選手たち同様、サポーターたちにも礼儀正しい楽しみ方が求められる。
写真:足立百合