鈴木誠也の7分の1…メジャー挑戦・吉田正「厳しすぎる結末予測」
「(メジャーと契約できる自信は)あり余るほどある」
こう報道陣へ語ったのは、オリックス・吉田正尚(29)の代理人スコット・ボラス氏だ。11月17日、オリックスは吉田のポスティング制度でのメジャー挑戦を容認。ヤンキースやレッドソックス、マリナーズなどが興味を示しているという。ボラス氏は、こうも続けた。
「日本で三振が多い選手は、米国ではもっと三振する。だから出塁率の高い『コンタクトヒッター』が、メジャーで好意的にとらえられるんだ。吉田には実績があり、需要もある」
1、2番打者としての需要
確かに吉田は選球眼が良く三振率が低い。吉田の四球/三振率は1.95(80四球/41三振)。12球団でもっとも高い数字で、三振1回につき四球を2個選んでいる計算だ。出塁率は入団2年目の17年から6年連続で4割を超え、通算打率は.327を誇る。メジャー事情に詳しい、スポーツジャーナリストの友成那智氏が語る。
「出塁率の高さから、1、2番打者としてメジャーでも需要があるでしょう。吉田が本職の外野陣に衰えが目立ち若手が伸び悩むツインズなどが、獲得に乗り出すと思います。吉田は補強ポイントにピッタリですから」
メジャー移籍情報サイト「MLB TRADE RUMORS」は、昨オフにカブスへ入団した鈴木誠也の5年総額8500万ドル(約118億円)を超える契約になる可能性があると報じている。しかし友成氏の予想はシビアだ。獲得に乗り出す球団はあっても、評価は鈴木の7分の1ほどだという。
「2年1200万ドル(約17億円)から、3年2000万ドル(約28億円)ほどでしょう。今オフのFA市場の外野手は、ジャッジ(ヤンキース)とニモ(メッツ)がトップクラス。吉田は2番手クラスになります」
なぜ吉田の評価は、高くないのだろうか。友成氏が続ける。
「理由は2つあります。1つは守備への不安です。今季は119試合に出場しましたが、守備についたのは39試合だけ。メジャーで重視される肩についても、弱さが指摘されています。2つ目は腰痛などケガが多いこと。守備機会が少ない要因でもあります。
秋山翔吾や筒香嘉智が、今季メジャーで不本意な成績に終わり事実上の戦力外になったことも影響しているでしょう。2人とも吉田と同じ左の外野手。日本人野手の評価が、相対的に下がっているんです」
メジャーの評価が吉田の希望と一致しなければ、厳しい結末が待っているかもしれない。
「巨人の菅野智之と同じパターンです。菅野は20年オフにポスティング制度を利用しメジャーに挑戦しましたが、結局、巨人に残留しました。獲得に名乗りを上げる球団はあったものの、複数年契約など条件面で合意にいたらなかったそうです。
満足のいく条件にならなかった理由は、菅野が抱えていた腰痛ですよ。ケガがマイナス評価になったのは、吉田と似ています。メジャー球団の考えが自己評価と合わなければ、吉田がオリックスに残留する可能性も出てくると思います」(スポーツ紙担当記者)
ポスティングの申請期限は12月15日。交渉期限の45日間で、吉田は条件に見合ったメジャー球団と合意にいたれるだろうか。
写真:共同通信社