<figure id="attachment_277278" aria-describedby="caption-attachment-277278" style="width: 1080px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="efea6fad"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/11/de4bbc44d82dec581c901995897594f5.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-277278" class="wp-caption-text">2019年1月、三重県の実家に７兄弟が勢ぞろいしたとき。右から生まれた順番に長男・将輝さん、次男・昇平さん、三男・拓磨、四男・雄也さん、五男・史也さん、六男・快斗さん、長女・小春さん（写真：浅野拓磨のインスタグラム：asatakugramより）</figcaption></figure>
<p>サッカーワールドカップの初戦、強豪ドイツ戦で決勝ゴールをあげた浅野拓磨は生まれ故郷の三重県四日市市で高級食パン店『朝のらしさ』のオーナーをつとめている。店長として毎日、パンを焼いている兄・昇平さんは歴史的ゴールをあげた翌朝から嬉しい悲鳴をあげていた。</p>
<p><span class="strongInContent">「（夕方になっても）興奮が冷めやりません。今日だけで（パンを）200本以上焼きましたが、焼いても焼いても、追いつきません。しばらくは予約していただいていますが、数日先まで予約でいっぱいです」</span></p>
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<p>浅野が決勝ゴールをあげた翌日の11月24日の夕方４時頃、店の前で「予約券を所持する方のみ販売」と告知されると、並んでいたお客さんは残念そうに肩を落とし、「せめて写真だけでも」と、店長の昇平さんやお店にカメラを向けたり、数日先の予約をする女性客もいた。</p>
<p>2020年にパン屋をオープンするまで浅野とどんな話をしたのだろうか。昇平さんは以前、FRIDAYデジタルの取材にこう明かしている。</p>
<p><span class="strongInContent">「ある時、拓磨から『晃平兄ちゃん、いっしょにパン屋せえへんか』と言われました。そのとき、私はパンや食品ともまったく関係のない仕事をしていましたが、もともとパン好きだったので、ぜひやってみたいと思いました。</span><span class="strongInContent">たくさんいる兄弟の中でも、私たちはパン好きで、社会人になってからも美味しいパンがあると知るとすぐに買いに行ったり。パンには目がなかったんですよ」</span></p>
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<figure id="attachment_277281" aria-describedby="caption-attachment-277281" style="width: 1968px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="bfd0d440"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/11/21c098cea37d61254f3ee35313f4afb5.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-277281" class="wp-caption-text">2002年ごろの兄弟。この時はまだ７番目にあたる長女・小春さんは生まれていない（昇平さん提供）</figcaption></figure>
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<p>兄妹７人と両親をあわせて９人の大家族。しかも７人目に女の子が生まれるまではすべて男だった。６人とも三重県菰野町にあるペルナSCでサッカーをしたが、浅野は９人家族の家計に遠慮して、サッカー中心の生活をあきらめようとしたこともあったという。しかし両親の熱心なすすめで地元の強豪・四日市中央工業に進学し、高校選手権で得点王になるなど才能が開花。高校卒業と同時にサンフレッチェ広島に入団した。浅野の母・都姉子さんは以前、FRIDAYの取材に、こう明かしていた。</p>
<p><span class="strongInContent">「子供のころから家族への誕生日プレゼントは欠かさなくて、（プロ入りの際は）『恩返し』としてホンダのステーションワゴンをプレゼントしてくれました」</span></p>
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<p>プロ入りして離れ離れになっても、浅野の家族愛は変わらなかった。浅野は子どもたちを学校へ送り出し、最後に自分の朝食としてパンを食べる母・都志子さんの姿が、脳裏に焼き付いていた。</p>
<p><span class="strongInContent">「いつも冷めたパンを食べていた母に、温かくてふっくらしたパンを食べさせたい…」</span></p>
<p>ちょうどその頃、「変な名前の高級食パン店」を国内外に390店舗まで広げた「ジャパン・ベーカリー・マーケティング（以下、JBM）」のベーカリープロデューサー・岸本拓也氏と浅野が出会い、おぼろげな願いを形にするきっかけとなった。ドイツ在住の浅野がオーナーとなり、昇平さんが店長としてお店を切り盛りする今の形ができあがった。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="試合前にかける母への電話"></div>
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<figure id="attachment_277279" aria-describedby="caption-attachment-277279" style="width: 1417px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="d994a767"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/11/977e83f1b696a506cb645672b88038c9.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-277279" class="wp-caption-text">2014年、兄夫婦と一緒にUSJに遊びに行ったときの記念写真。右端が母・都姉子さん。後列左から３人目が浅野拓磨。前列左端が妹の心春ちゃん（「FRIDAY」2016年2月19日号に掲載）</figcaption></figure>
<p>店をオープンして以来、浅野家にも温かいパンが食卓に並ぶようになった。父・智之さんは現役のトラック運転手として忙しく、浅野のひとつ下の弟、４男・雄也は浅野に続いてJ１広島でプレー。兄弟は国内外に散って活躍しており、『朝のらしさ』に関わっているのは昇平店長と浅野だけだが、店長の昇平さんは焼きたてパンを母・都姉子さんにも食べてもらえるようになったことを喜んでいる。</p>
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<p><span class="strongInContent">「仕事の合間に時間があるときに実家に寄ると、母が（ドイツにいる）拓磨と電話している姿をよく見かけます。どうも、拓磨の方からかけてくるようです。試合前は必ずかけているみたいです」</span></p>
<p>話の中身は定かではないが、浅野にとっては試合でいいプレーをするための「願掛け」なのだろうか。それはW杯直前まで続いていたという。</p>
<p><span class="strongInContent">「内容まではわかりませんが、母は（浅野）本人とは、ちょくちょく、連絡を取り合っています。今回、(サッカー少年時代から)拓磨に付きっきりだった五男（史也さん）とそして唯一の妹（小春さん）、両親ででカタールに向かいました。パン屋に来て下さるお客さんからの応援メッセージが描かれた店(パン屋)の横断幕をもっていってくれました」</span></p>
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<p>浅野は前回2018年のロシアW杯では日本代表からは外れ、予備登録メンバーとしてチームに帯同することを余儀なくされた。今回は悲願のW杯切符を得たが、メンバーが発表される約２か月前の9月10日、ドイツのリーグ戦で右ひざ内側のじん帯を断裂してしまった。手術を行わずに保存療法で治療することを選択し、クラブの練習に復帰できたのはW杯がはじまる約2週間前だった。</p>
<p>11月17日にカナダ代表との強化試合に出ただけでW杯にのぞむ、ほぼぶっつけ本番だったが、心折れることなくW杯出場にかけてきた。ドイツ戦で世界最高峰との呼び声が高いドイツのGKノイアーの脇を狙って振りぬいたのは、負傷しているほうの右足。痛みを忘れさせているのは、カタールのスタンドに見に来てくれた浅野家の「家族愛」なのだろう。</p>
<figure id="attachment_277283" aria-describedby="caption-attachment-277283" style="width: 1620px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="303d55d7"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/11/DSC_0034_1.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-277283" class="wp-caption-text">ドイツ戦翌日の11月24日、三重県四日市市にある高級食パン店「朝のらしさ」は夕方まで店外に列ができた（撮影：川柳まさ裕）</figcaption></figure>
<figure id="attachment_277284" aria-describedby="caption-attachment-277284" style="width: 1080px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="09482bb3"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/11/DSC_0040_1-rotated.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-277284" class="wp-caption-text">マロンあん以外、すべて売り切れる盛況ぶり。「うれしい悲鳴」はしばらく続きそうだ（撮影：川柳まさ裕）</figcaption></figure>
<figure id="attachment_277280" aria-describedby="caption-attachment-277280" style="width: 2494px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="a918fa55"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/11/c3be2f28627a52c12ab0b02036a3dbae.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-277280" class="wp-caption-text">浅野は短いオフの合間を縫って、ドイツから三重に戻ってきたとき、店舗に顔を出すという</figcaption></figure>


2019年1月、三重県の実家に７兄弟が勢ぞろいしたとき。右から生まれた順番に長男・将輝さん、次男・昇平さん、三男・拓磨、四男・雄也さん、五男・史也さん、六男・快斗さん、長女・小春さん（写真：浅野拓磨の

ドイツ戦でゴラッソ！９人家族で育まれた浅野拓磨の「家族愛」写真

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