フォロワー37万…ぬこー様ちゃんが訴える“無名漫画家”のリアル | FRIDAYデジタル

フォロワー37万…ぬこー様ちゃんが訴える“無名漫画家”のリアル

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元漫画講師のぬこー様ちゃんが教える「漫画家として令和を生き抜く方法」

Twitterで37万人のフォロワーを誇る人気漫画家のぬこー様ちゃん
Twitterで37万人のフォロワーを誇る人気漫画家のぬこー様ちゃん

“個人活動”をメインに活躍するプロの漫画家「ぬこー様ちゃん」。代表作『専門学校JK』では、アニメ×エンタメ系専門学校で起こりがちな残念な実態を描き、Twitterでは、自身の経験を元にした漫画業界のリアルや闇を赤裸々に伝えている。そんなぬこー様ちゃんの最新の嘆きが、連続する友人漫画家の廃業だ。 

今の時代、漫画家志望者の多くは、なぜ諦めてしまうか? どうしたら、して長く漫画家として生きていけるのか?  世間が知らない“無名”漫画家の世界をうかがった。 

廃業してしまう漫画家の共通点とは?

――先日、ぬこー様ちゃんのご友人の漫画さんの廃業を嘆くツイートがバズっていました。

ぬこー様ちゃん:そうですね。友人以外にも言えることなんですが、漫画家を辞める人達に共通してるのは、失敗することを考えていないんで、失敗した時の準備をしていないとこだと思います。 

大きな驚きと反響があった嘆きのつぶやき
大きな驚きと反響があった嘆きのつぶやき

大まかにはなりますが、ほとんどの人が漫画雑誌のような商業誌で連載を目指してて、毎週のように担当編集さんとネームのやり取りをして、頑張って連載を取ったけど、単行本がそこまで売れなくて打ち切られる、という流れだと思います。 

連載を取るために一生懸命頑張るのはいいんですが、それ以外にしているのはバイトくらいという人がほとんどです。同人活動もSNSも一切してないんで、商業誌の連載が終わると同時に、無職の状態に戻ってしまうんですね。 

厳しいことを言いますが、今って有名漫画雑誌で描いてても、名前はそんなに売れないですし、何かが有利に働くような肩書にもなりません。連載が終わってからも業界で暮らしていくには、専門学校の講師くらいしかないと思います。 

Twitterに投稿した漫画「夢とリスクヘッジはニコイチって話」
Twitterに投稿した漫画「夢とリスクヘッジはニコイチって話」

ぬこー様ちゃん的成功の秘訣「失敗することが前提」 

――漫画家を目指す多くの人がピュアで、真面目で、まっすぐなんですね。 

ぬこー様ちゃん:だからこそ、リスクヘッジをかけていないのかもしれません……。 

僕自身が商業誌の連載が打ち切りになった漫画家なんで、特に強く感じてるんだと思いますが、漫画業界はかなりシビアな世界です。何年もかけて商業誌で連載を持つ漫画家になったとしても、人気がなくなれば、すぐに一般人に逆戻りです。 

――ぬこー様ちゃんは逆戻りされていませんよね? 

ぬこー様ちゃん:一応、そうですね。常に失敗すると思って行動する派で、失敗しても大丈夫なように、次の種を早めから撒くんで。 

僕は、大学卒業後に地元のスポーツクラブに正社員として就職して、20代半ばで漫画家を目指したんですが、仕事は辞めませんでした。そして、商業誌を目指しながら、同人活動も平行してやってましたし、オリジナルモノだけじゃなく、好きな作品を元にした二次創作モノも描いていました。 

同人活動をする中で、代々木アニメーション学院の方と知り合い、そちらに転職して、広島校の講師になりました。その後、埼玉県の大宮校、東京校へと移っていき、最終的にはイラスト課のコース長もつとめました。でも、その頃は商業誌の連載を複数抱えていて、両立が難しくなったんで、非常勤講師になりました。 

その後、商業誌の方がうまくいかなくなったので、3年ほど前から個人活動をメインにしています。Kindleインディーズマンガをはじめて、今年スタートした絵日記でフォロワーが増えて、PR案件などもいただけるようになりました。 

Twitterでも公開されている『ぬこー様ちゃん絵日記集 (現在全13巻)』
Twitterでも公開されている『ぬこー様ちゃん絵日記集 (現在全13巻)』

漫画家を目指してからは2年おきぐらいに、やってることや働く場所が変わってるんですが、これってうまくいかなくなったから次にシフトしてるだけなんです。常に次に行ける準備をしているんで切り替えもスムーズだし、活動期間に穴ができないんだと思います。 

――商業誌以外の種をちゃんと蒔いていたから、漫画家業が続けられたんですね。 

ぬこー様ちゃん:そうだと思います。とにかく色んな方面で影響力をつけることを意識してやってました。そういったことをしていない人から、どんどん廃業されている気がします。 

今の同人誌市場 

――複数の活動を同時進行するのは難しくありませんか? 

ぬこー様ちゃん:一歩踏み出す勇気さえあれば、そんなに難しくないと思います。一昔前までは「同人活動=コミケ」という感じでした。でも、東京オリンピック開催が決定したぐらいの時に、コミケで出回っている作品に青年向けの過激な内容のものが多かったことから、「過激な性描写や残酷表現」が問題視されて規制が厳しくなりました。 

一方で、デジタルの方が盛んになって、Amazonインディーズマンガをはじめ、DLsiteDMMにBOOTHなどの大手デジタル同人サイト、FantiaやpixivFANBOXなどのサブスクサービスといった活動場所が増えました。コロナの影響もあって、同人誌の市場は、昔とは比べものにならないくらい大きくなっています。 

「どうしても商業誌で連載を持ちたい!」という気持ちもわかりますが、商業誌と同人誌には、それぞれ違ったメリット・デメリットがあります。今の時代で長く漫画家としてやっていきたいのなら、まずはちゃんと就職した方がいいと思います。その上で、商業誌だけに絞らずに、自分に合った個人活動もして、色んな方面で影響力をつけていってほしいですね。

――ぬこー様ちゃん自身の今後の計画は? 

ぬこー様ちゃん:3つあるんですが、1つは商業誌への再チャレンジです。というのは、日本のAmazon内でのフォロワーが増えたので、次に商業誌で漫画を描いたときに影響するんじゃないかと思ってるんです。初の重版も狙えるんじゃないかっていうのもあるんで、その検証も兼ねて挑戦してみたいですね。 

2つ目は、いわゆる海外進出です。これまでに描いてきた漫画はたくさんあるんで、エージェントと組んで、翻訳版を海外で販売できないかと。まさに今、準備の真っ最中で、早ければ来年からスタートできるんじゃないかなと思っています。 

3つ目はNFTです。色々といわれていますが、可能性がないわけではないですし、もう一度ブームの波が来るんじゃないかという気もしているので、今は動向を見守っています。 

自分でも、レアケースな道を歩いていると思いますが、漫画家を目指している人は、商業誌だけを見つめるのではなく、もう少し視野を広げて、どうしていけばいいのかを考えることが必要な時代なのかもしれません。 

ぬこー様ちゃん  Twitterで配信している絵日記漫画が人気の漫画家。元代々木アニメーション学院の非常勤講師でもあり、DMなどで送られてくる漫画家志望者の相談役にも力を入れている。 

■「ぬこー様ちゃん」さんのTwitterはコチラ

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  • 取材・文安倍川モチ子

    WEBを中心にフリーライターとして活動。また、書籍や企業PR誌の制作にも携わっている。専門分野は持たずに、歴史・お笑い・健康・美容・旅行・グルメ・介護など、興味のそそられるものを幅広く手掛ける。

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