「闇カジノ」報道で謹慎、傷害事件で契約解除…遠藤要が告白「馬鹿にされても見せたかったモノ」
「事務所には謝罪会見をさせてほしいと言ったんですが、止められました。自分から発信することはマイナスでしかないから、と」
FRIDAYが’17年2月に報じた「闇カジノ違法賭博疑惑」について、俳優の遠藤要(38)は静かにそう振り返った。
報道により、遠藤には所属事務所から謹慎処分が下された。その後、一度は復帰するものの、’18年4月に知人の俳優を殴ったというトラブルが報じられ、契約解除となった。
「友達の俳優が働いているバーに行ったら、会計が65万円くらいで。明らかにボッタクリだったので、『目の前でもう一度計算してみろ』と怒り、1発ビンタしてしまった。もちろん、暴力を振るった僕が完全に悪かったことです」
あれから4年半、男は意外な形で表舞台に戻ってくることとなった。来年1月7日に開催される格闘技イベント「競拳22」に出場することが決まったのだ。
これまで、どこで何をして暮らしていたのか。言葉を選びながら、しかし嘘のないように、遠藤は訥々と語り始めた。
「契約解除になった後、しばらくは東京にいました。絶対に芸能界で復活してやるという思いに、すがっていたんです」
しかし、やがて遠藤は四国の徳島に居を移す。きっかけを与えてくれたのは、映画『クローズZERO』で共演した俳優の高岡蒼佑(40)だったという。
「『家賃も高いし東京にいたって仕方ないだろう』と言ってくれました。蒼佑君は京都に移住していたので、『要も田舎に移ったほうがいいよ』と。俺も自分を見つめ直そうと考えるようになり、そのタイミングで徳島に誘ってくれた知人がいたんです。何日か徳島に滞在してみると、心が不思議と落ち着いた。それで、ここでイチから頑張ってみようと」
徳島でバーの経営などをしながら穏やかに暮らしていたが、再び事件が起きる。’21年6月、アルバイトの大学生に怪我を負わせたとして逮捕されたのだ。
「サボり癖のある子だったんですが、急に店を休んだ翌朝に酔っ払っているのを見つけてしまって。キレてしまった」
二つの傷害事件はともに不起訴になっている。しかし遠藤は「若者をボコボコにした悪人」として、ワイドショーやSNSでバッシングを受けた。人間不信にも陥ったという遠藤だが、なぜ、再び表舞台に、それも格闘技という形で戻ってくることにしたのか。
「オファーをもらったとき、正直、出たくなかったです。怖かった。殴り合うことがじゃなく、ネタにされて、世間に馬鹿にされるのではということが怖かった」
その気持ちを変えさせたのは、やはり親友の高岡だった。自身も今年6月に格闘技デビューした高岡は、遠藤にこう語りかけた。
「ファンや支えてくれた人たちに今の頑張っている姿を見せなきゃいけないと思う。勝ち負けじゃなく、一人でも遠藤要を心配してくれている人に挑戦する姿を見せるのが、俺たちの禊(みそぎ)なんじゃないか」
この言葉で、遠藤は挑戦を決意した。
「もちろん、これで役者に戻れるなんて思っていません。ただ、俺がどう生きてきて、これから何ができるかを見せたい。体重は10㎏落とし、酒もタバコもやめた。試合に出ることが前向きなニュースとして取り上げられているのを見ただけで、マジで泣きました。そのくらい、試合に向けて入り込んでいます」
プロのような華々しい試合にはならないかもしれない。だが、どん底を見た男が懸命に挑戦する姿は、必ず誰かの胸を打つはずだ。



『FRIDAY』2022年12月16日号より
PHOTO:加藤 慶