″頂上作戦″を仕掛けられている組のトップが…「道仁会」小林会長が「稲川会」内堀会長を電撃訪問の訳
ぐっと冷え込んだ12月5日の東京・六本木(港区)。昼12時過ぎ、指定暴力団「稲川会」総本部の前に黒塗りの高級車が4台停車した。車から出てきたのは同「道仁会」の小林哲治会長だ。
「訪問の目的は『暮れの挨拶』ということでした。会食もなく、滞在時間は15分ほどでした」(稲川会関係者)
しばらくして、総本部から小林会長と稲川会の内堀和也会長が談笑しながら出てきた。挨拶を交わした後、小林会長は車に乗り込み走り去っていった。
道仁会はいま最も警察からマークされている組織の一つだ。全国紙記者が語る。
「今年8月、福岡県警が福岡県内のホテルに身分を隠して宿泊した詐欺容疑で、小林会長ら3人を逮捕しました。小林会長をターゲットにした、いわゆる″頂上作戦″です。この事件は結局不起訴処分になりましたが、12月6日には熊本県警などの合同捜査本部が、特殊詐欺事件の捜査の一環で福岡県久留米市にある道仁会の事務所に家宅捜索に入っています」
なぜ道仁会はここまで捜査当局から警戒されているのか。そして、その渦中に稲川会総本部を電撃訪問した理由とはなんなのか。
『山口組分裂の真相』などの著書がある、ノンフィクションライター・尾島正洋氏が話す。
「小林会長は六代目山口組と神戸山口組の対立抗争の仲裁をするために水面下で動いていたという話があります。そうした暴力団業界の『調整役』として、警察が小林会長をマークしているという面はある。そういった中で堂々と稲川会総本部に暮れの挨拶に赴いた。暴力団業界、そして警察に対して、自らの存在を誇示するという意図があったのではないでしょうか。来年、小林会長の動向はより注目されていくと思います」
10月下旬には「池田組」組長が襲撃されるなど、山口組分裂抗争も激しさを増している。「血の雨」が降る日は遠くない。

『FRIDAY』2022年12月23日号より
PHOTO:結束武郎