【無料試し読み付】サッカーの常識に一石を投じる問題作!『ブルーロック』から学ぶ日本代表の解決策
ワールドカップ“ベスト8”の壁をぶち壊すヒントに⁉︎ 史上最もイカれたサッカー漫画
いよいよ最終盤を迎えたFIFAワールドカップカタール2022。日本時間12月18日0時には3位決定戦が、19日0時には決勝戦が行われる。
残念ながら、日本代表は決勝トーナメント1回戦でクロアチアに敗北し、今大会も“ベスト8”の壁を越えられず、夢は次の大会へ持ち越されることとなった。しかし日本代表チームは、森保一監督が帰国会見で述べたように、私たちに“新しい時代”を見せてくれた。日本サッカーW杯史上「もっとも苛酷」と言われた予選グループEで、格上のドイツとスペインに勝利する日が来るなんて、初めてワールドカップに出場した29年前には考えられなかった快挙だ。
“稀代のストライカー”育成する独自のサッカー理論
次回のワールドカップ開催は2026年。参加国数は今大会より16ヵ国増えて48ヵ国となり、ラウンド16の前にトーナメント方式の試合が追加されるため、決勝への道がさらに険しくなることが予想されている。そこでサッカーファンが気になるのが、「ワールドカップを勝ち抜くために、日本のサッカーに必要なのはなにか?」だろう。そして、サッカーが好きであればあるほど、「こんな選手がいたら」などと、夢想するのではないか。
その夢想のひとつとして、そして日本サッカーの弱点を見事に突いた“問題作”としても注目を浴びているのが、サッカー漫画『ブルーロック』だ。
本作では、スポーツの美徳ともされているチームワークや絆といった“仲良し”要素を真っ向から否定。世界の年間最優秀選手を表彰するFIFAバロンドールを受賞した作中の登場人物ノエル・ノア、実在の人物であるエリック・カントナやペレといった世界的ストライカーの発言を引用し、「日本サッカーに足りないのは、自分が点を取ることしか頭にない稀代のエゴイスト」と断言。日本各地から高校生FW選手300人を集めて“青い監獄”の中で、ひたすら己の勝利のみを目指し、もがき、あがき、這い上がっていく若者たちの姿を描いている。
失格すれば永久に日本代表入りの資格を失うという、選手生命を賭けたデスゲームの非情さは、読んでいてゾクゾクする。一方で、苛酷な能力選抜をくぐり抜けるごとに変わっていく選手たちのだれが、最後のひとりに選ばれるのか、目が離せない。漫画の舞台は、ベスト16で終えた2018年大会直後という時代設定だが、今このタイミングで、森保一監督の「選手それぞれが“個”の能力を上げることが、日本の強化につながると思う」という言葉を念頭に置いて読むと、「これを実践していたら」と思わずにいられない、熱い情熱と強い執念を感じとることができるだろう。
現在の日本代表の課題をあぶり出す漫画にして、W杯で「悲願のベスト8」へ辿り着くために必要なことを知ることができる作品。『ブルーロック』には、日本サッカー界が学ぶべきアイディアがたくさん込め込まれている。
- 取材・文:中村美奈子