森泉も苦言…!「水際対策」大丈夫? 確認はまさかの「目視」…デジタル庁入国サービスがポンコツな件 | FRIDAYデジタル

森泉も苦言…!「水際対策」大丈夫? 確認はまさかの「目視」…デジタル庁入国サービスがポンコツな件

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コロナ感染者もスルー!? お粗末すぎる日本帰国時の「検疫」手続き

新型コロナウイルス禍で、世界各国は“3密防止”の目的もあり、幅広いジャンルでDX化が進んだ。それは、各国の入国ルールや出入国システムなども該当する。

一方、日本では現在、デジタル庁による「Visit Japan Web」で入国手続きサービスが利用できる。従来の「入国審査」「税関申告」に加え、2022年11月1日から「検疫(ファストトラック)」も利用可能に。一連の入国手続きをWEBで事前登録し、空港ではスマートフォンの画面を“見せる”だけでスムーズに行えると、国を挙げてアピールする。

しかし、そのサービス開始直後から、実際に使った人々による評判がすこぶる良くない。「えっ、これがデジタル化!? 日本はもはや時代遅れ、やることがポンコツ過ぎる」との声まで聞かれる。

10月22日のデジタルの日のイベントに、アバター姿で登場した河野太郎デジタル大臣。当日は、「どうなる!?日本のデジタル社会」をテーマに意見交換が行われた(デジタル庁のプレスリリースより)
10月22日のデジタルの日のイベントに、アバター姿で登場した河野太郎デジタル大臣。当日は、「どうなる!?日本のデジタル社会」をテーマに意見交換が行われた(デジタル庁のプレスリリースより)

満を持して登場した入国手続オンラインサービスだけど…形だけのDX化

「Visit Japan Web」では、まずアカウントを作成し、ログインする。続いて、日本入国(帰国)前までに「利用者情報」「渡航などのスケジュール」「必要な手続きの情報」を登録。そして、日本到着時の入国(帰国)手続きで、スマートフォンの画面上に表示されるQRコードを提示する流れだ。

日本の入国手続きオンラインサービス「Visit Japan Web」は、検疫・入国審査・税関申告が一括してWEB手続きできて便利になったと思いきや…(デジタル庁プレスリリースより)
日本の入国手続きオンラインサービス「Visit Japan Web」は、検疫・入国審査・税関申告が一括してWEB手続きできて便利になったと思いきや…(デジタル庁プレスリリースより)

今までバラバラだった「検疫」「入国審査」「税関申告」を一括で、しかもWEB上で行うシステムができたことは、非常に画期的と言える。しかし、いかに“入口”が立派でも、その中身が実はダメというお粗末さを呈している。モデル・タレントの森泉さんが自身のインスタグラムで、日本帰国時の検疫手続きなどに苦言を呈したことも一時期話題となった。

渡航直前の健康状態は? 1ヵ月以上前でも登録可能な「体調情報」 

入国者が多くなると水際対策で最も大切なのが、検疫の「体調情報」の項目だろう。「Visit Japan Web」の場合、検疫は事前にいつでも登録可能だ。例えば、1ヵ月以上前に登録しても事前手続きが完了すれば「青」画面になる。

韓国の検疫システムQ-CODEの場合、健康申告は到着3日前から可能。シンガポールも、到着3日前から入国管理局のウェブサイトで「SGアライバルカード/健康申告書」がオンライン提出できるようになる。渡航直前の健康状態こそ、重要ではないのだろうか。 

そして、この「Visit Japan Web」は現在、日本のすべての空港で使用することはできない。しかも、“必須”ではなく、従来の「紙」での申請もいまだ可能だ。そうなると、新たな感染症などの発病者が出た場合、膨大な書類から「人」の力で当該者を探し、所在を特定する必要があるだろう。中途半端なデジタル化は結局、時間も手間もかかる。

例えば、アメリカの「ESTA」(電子渡航認証システム)をはじめ、世界各国は入国情報をデジタル化して管理し、もし何かあれば瞬時にデータを見つけられる。韓国の「K-ETA」(韓国電子旅行許可制度)は2021年5月3日から試験的に始まり、現在は義務化されている。義務だと、事前登録済みでないと飛行機に乗ることすらできない。

検疫手続事前登録(ファストトラック)画面。パスポート情報、質問票(滞在先、体調情報など)、ワクチン証明書(または、出国72時間以内の検査証明書)を入力すると“数時間後”に受理され上部が「青色」に変わり「審査完了」となる(写真右)(厚生労働省HPより)
検疫手続事前登録(ファストトラック)画面。パスポート情報、質問票(滞在先、体調情報など)、ワクチン証明書(または、出国72時間以内の検査証明書)を入力すると“数時間後”に受理され上部が「青色」に変わり「審査完了」となる(写真右)(厚生労働省HPより)

到着時に大勢のスタッフが「目視」チェック…他人のスクショ画面でもOK!?

日本帰国時、機内からすぐ出られず、しばらく機内で待たされるケースが新型コロナ禍で増えた。そして、やっと出られたと思ったら、入国審査場までスタッフ、「人」が“大量”に待ち構えている光景を目にする。

そのスタッフたちは乗客に対し、現在は「検疫手続事前登録(ファストトラック)を見せてくださーい!」とひたすら声をかけ、スマートフォンが“青画面”だと「ピンクの紙」を渡していく。このピンクの紙を持って先へと進むのだが、実はこのピンク色の印刷物がスタッフによる「目視」チェックの目印となっている。

そして、検疫ブースを通過して入国審査場に着き、ここで「あれっ、検疫のQRコードは読み取らないの?」と気づかされるだろう。そういえば、QRコードを読み取るための機械も見当たらない。結局、QRコードをスタッフが「目視」でチェックしただけである。つまり、他人のスクショ画面を見せても気づかれないということだ。

文字通り“見せるだけ”だけど…、それってDX化!?(デジタル庁のプレスリリースより)
文字通り“見せるだけ”だけど…、それってDX化!?(デジタル庁のプレスリリースより)

何度も読み込ませられるパスポート…「紙の列が空いている」という矛盾

最後は、税関だ。機内で配布される税関申告書の紙に記入し、税関スタッフに提出するのが長年の流れだった。「Visit Japan Web」では税関申告書もWEB上で事前登録でき、QRコードが表示される。「QRコードをあとはかざすだけ!すぐ通過!」と思いきや、その手前にある立派な“機械”でQRコードとパスポートを読み込ませると、やっと通ることができる。

入国審査後なのに、再びパスポートの登録。そもそも「Visit Japan Web」で、パスポートを登録済みである。所管がそれぞれ違うと、まったく連携が取れていない。

しかも、税関では今、その機械で登録するのに手間取ると、わざわざイチから説明する大量のスタッフという「人」がいるおかげで時間がかかり、「紙の申告書の方が早く通過できる」というデジタル化に逆行した事態が起こっている。もはや本末転倒と言わざるを得ない。

「Visit Japan Web」の操作説明書はPDF、しかも95ページ!

「Visit Japan Web」の操作説明書が、デジタル庁の公式サイトに掲載されている。これがなんと95ページにもおよぶ「PDF」なのだ。これには誰しも正直、読む気がまず失せるだろう。

目次をクリックするとそのページに飛ぶが、戻るには延々とスクロールする必要がある。より詳しい情報を確認しようとすると別のサイトに飛ばされ、戻るとまた1ページ目の表紙からになる。利用者にまったくやさしくない…。

「人」と「紙」が減らない日本、諸外国のデジタル化とも逆行

日本入国時のシステムが世界から遅れを取っているのは、今に始まったことではない。特に新型コロナ禍で、その旧態依然な「お役所体質」がはっきり明るみに出た。

例えば、入国前72時間以内の陰性証明書に「厚生労働省指定フォーマット」なる書式の「紙」提出を強いたり、隔離期間中の案内など分厚い冊子を渡されたりしたのは、まだ記憶に新しい。以前の「MySOS」も、そのアプリ内で手続きが完結せず、途中からブラウザ画面に飛び、フリーズするとスマートフォンを再起動してやり直し。

2021年9月の日本帰国時に機内で配布された「紙」が、「Visit Japan Web」でなくなったのは大きい。しかし、空港での面倒さはあまり変わっていない(画像:シカマアキ)
2021年9月の日本帰国時に機内で配布された「紙」が、「Visit Japan Web」でなくなったのは大きい。しかし、空港での面倒さはあまり変わっていない(画像:シカマアキ)

ちなみに、筆者はコロナ禍に海外渡航5回を経験した。その結果として「我が国(日本)に先進国並みをもはや期待してはいけない」という現実がすっかり身に付いてしまった。

それにしても、当初は「紙」の多さ、そして今も到着時の空港でやたらとスタッフ、「人」の多さが目に付く。その割に、「MySOS」時代から現在も、申請から登録完了まで数分ないし数時間という「タイムラグ」がある。まさかだと思いたいが、システムをデジタル化しても、中の「人」によって作業しているのだろうか。紙も人もデジタル化も、すべて「税金」で賄われるとも考えると、あまりにも切なすぎる。

  • 文・写真シカマアキ(特記以外)

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