バラエティ、報道、スポーツ番組など幅広いジャンルで番組制作に携わる。女子アナ、アイドル、テレビ業界系の書籍も企画出版、多数。ドキュメンタリー番組に携わるうちに歴史に興味を抱き、近年『家康は関ケ原で死んでいた』（竹書房新書）を上梓。電子書籍『異聞 徒然草』シリーズも出版

島 右近

<figure id="attachment_281049" aria-describedby="caption-attachment-281049" style="width: 3108px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="4d35d967"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/12/aflo_145994344.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-281049" class="wp-caption-text">NHK朝ドラ『舞いあがれ！』でヒロインを務める福原遥。前半は上々の評価だったが…</figcaption></figure>
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女優・福原遥が主演する朝ドラ『舞いあがれ!』（NHK）の第８週「いざ、航空学校へ!」がスタートして以来、これまで影を潜めていた《#舞いあがれ反省会》がにわかに活気付き、これまで温かく見守ってきた視聴者からも心配する声が上がっている。
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「今回の朝ドラは、ヒロインの岩倉舞（福原）がものづくりの街・東大阪市と長崎県五島列島で育ち、大学で人力飛行機サークルに入り大空を飛ぶ夢に目覚めパイロットを目指す姿を描きます。
今まで登場人物一人一人の心情や背景を丁寧に繊細に描き高い評価を得てきましたが、第８週からヒロイン・舞のキャラが“勉強の苦手なドジでバカな子”に変わってしまい、ネット民からも“まったく別なものになってしまった”といった落胆の声が寄せられています」（ワイドショー関係者）
子供の頃、何事にも遠慮がちだった舞が、たくましくて優しい五島の人たちに見守られながら、素直に自分の気持ちを出せるようになっていく。
「五島の魅力を物語に組み込むことで『舞いあがれ!』というドラマが力強く走り出すことができた」
と話していた制作統括の熊野律時氏。ところがどうだろう。第８週が始まると
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「シチュエーションが変わり、学園モノの要素が濃くなっている。舞や６人のチームと教官の芝居で物語が進んでいくので、必然的に前週までとはテンポやタッチが変わる」
とまるで別のドラマが始まったかのような発言。しかし同じ学園モノでも、大学時代を描いた『なにわバードマン編』はどうだったのか。
「『なにわバードマン編』でも舞のパイロットへの挑戦が青春群像劇として描かれる一方、ものづくりの街で“ネジを作る工場”を経営する父・浩太（高橋克典）や母・めぐみ（永作博美）の夢、舞の幼馴染・貴司（赤楚衛二）や久留美（山下美月）の青春もしっかりと描かれている。
行方不明になった貴司を連れ戻しに舞や久留美が五島列島に向かう第７週は“泣きの朝ドラ”と呼ばれる今作において、序盤の名場面となりました」（制作会社プロデューサー）
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ところが第８週に入った途端、“勉強の苦手なドジでバカな子”にキャラ変した舞が、さしたる苦労もなく航空学校に合格する安易な展開には、驚きを通り越してア然とするばかり。
一体全体、朝ドラ『舞いあがれ!』に何が起きていたのか…。
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「『航空学校編』から脚本家がメインライターの桑原亮子さんから、嶋田うれ葉さん、佃良太さんに変更。その理由について制作統括の熊野氏は『航空学校編は極めて専門性が高く、台本を作るにあたり、モデルとなった航空大学校に取材してやりとりしたり確認したりがものすごく時間がかかりました。そのために脚本も演出もロケ等、様々な段取りをする制作スタッフも、航空学校編チームを結成した』。
しかし『もちろんベースは桑原さんの作った世界観を共有して作っています』と話していますが、果たしてそうでしょうか。桑原さんの世界観が踏襲されているとはどうしても思えません。一言一言、言葉を繊細に紡ぐ桑原さんのセリフこそ、今回の朝ドラの背骨となるもの。２人の脚本家にすべてを委ねるのではなく、全体の構成はもちろんのこと、セリフ一つ一つに至るまで桑原さんが関わっていたら舞とSnow Man目黒蓮演じる柏木弘明との初恋も“安っぽい青春ラブコメ”と揶揄されることもなかったはずです」（前出・プロデューサー）
朝ドラ『舞いあがれ!』を手掛ける脚本家・桑原亮子は、小学六年生の頃から耳が聞こえなくなり、そのハンディキャップを補おうと大学進学後は弁護士を目指すも20歳を迎える頃に人の声が全く聞き取れなくなり断念。童話や詩を投稿しながら脚本家を志している。
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「’14年にラジオドラマ『夏の午後、湾は光り、』でNHK大阪放送局が主催する『BKラジオドラマ脚本賞』最優秀賞を受賞して本格的に脚本家の道に進み、’20年に自身の被災（阪神淡路大震災）体験をモデルにした連ドラ『心の傷を癒すということ』（NHK）で大きな注目を集めました。今作で五島に住むめぐみの母・祥子役を演じる高畑淳子は『五島ことばが難しくて、何度も何度も読んでいると、気がつくとティッシュの山ができるほど、涙が止まらないんですよ』。
また桑原さんが重度の聴覚障害があることを知り『言葉を紡ぐという生業に、ご自身のいろいろなことを詰めておられるのだな』と思い『台本を読むたびに“胸が詰まるような気持ちになった』と告白しています」（制作会社ディレクター）
傷ついても立ち上がり、他の人にも手を差し伸べて“向かい風を受けて高く舞い上がる”。そんなヒロイン・舞が、再び蘇るのはいつの日のことか――。

バラエティ、報道、スポーツ番組など幅広いジャンルで番組制作に携わる。女子アナ、アイドル、テレビ業界系の書籍も企画出版、多数。ドキュメンタリー番組に携わるうちに歴史に興味を抱き、近年『家康は関ケ原で死んでいた』（竹書房新書）を上梓。電子書籍『異聞 徒然草』シリーズも出版中

島右近（放送作家・映像プロデューサー）

Pasya/アフロ

スタートは好評だった福原遥がヒロインを務めるNHK朝ドラ『舞いあがれ！』。だが、８週目を過ぎた辺りから評価は一変。前作の『ちむどんどん』のように”反省会”状態になりそうな予感が…

福原遥　NHK『舞いあがれ！』が“泣きの朝ドラ”から「安っぽい青春ラブコメ」になってしまったワケ

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