「陸のトップガン」と評されて世界中で大反響!映画『アライブフーン』の監督が明かす究極のリアル志向 | FRIDAYデジタル

「陸のトップガン」と評されて世界中で大反響!映画『アライブフーン』の監督が明かす究極のリアル志向

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インタビューに応じた下山天監督。リアルにこだわった演出から、主演の野村周平との秘話まで語り尽くした
インタビューに応じた下山天監督。リアルにこだわった演出から、主演の野村周平との秘話まで語り尽くした

今年6月に日本で公開されたある映画が、世界各国で大絶賛されている。

その名は『ALIVEHOON (アライブフーン)』。海外では「陸のトップガン」と評され、9月にアメリカ・シカゴで開催された映画祭「Asian Pop-Up Cinema」では観客投票1位を獲得し、最高栄誉である「Audience Choice Award」を受賞。さらに世界15ヵ国で劇場公開され、シンガポールやタイ、台湾では興行収入で公開月のトップ10入りを果たした。

主人公は野村周平(29)演じるeスポーツの天才青年・大羽紘一。レースゲームで日本チャンピオンに輝いた大羽が、現実世界のドリフトチーム「チームアライブ」にスカウトされ、その才能を開花させていく様子を描く。2020年からはF1と同じく、FIA(世界自動車連盟)によって統一車両規則が定められるなど、国際的なモータースポーツして認知され、海外で盛り上がっている「ドリフト」に焦点を当てた『ALIVEHOON』。その魅力と特徴を、監督の下山天氏が語る。

撮影ではリアルにとことんこだわった。大迫力のドリフトシーンが最大の見どころだ
撮影ではリアルにとことんこだわった。大迫力のドリフトシーンが最大の見どころだ

――『ALIVEHOON』制作のきっかけを教えてください。

ハリウッド映画『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』や香港映画『頭文字D』など多くの映画の監修を務めてきた“ドリフト・キング”こと土屋圭一さん(66)の企画発案によって生まれました。また土屋さん自身もeスポーツとの関わりが深く、「リアルとバーチャルが融合したストーリーの映画を作りたい」という思いがあり、僕もその考えに共鳴したことが始まりです。

――海外で大きな反響を生んだ理由は、どこだと考えておられますか。

やはり「CGなし、全て実写によるリアルスピードでの撮影」にこだわったところだと思います。これも土屋さんの強い意向です。ドリフト映画でドリフトの世界観、迫力を伝えるには「すべて本物じゃないと意味がない!」という思いは私も同じでした。煙や音、横方向の重力のかかり方などの迫力をリアルに伝えるために苦心しましたね。

――もう一つの魅力として、登場する競技車両が全て日本車である点が挙げられると思います。日産シルビアS15、トヨタGRスープラ、トヨタGRヤリス、トヨタマークII、トヨタチェイサーなどなど……。登場するクルマを全て日本車で統一した狙いはなんでしょうか。

日本は世界に誇る名車を数多く生産する世界屈指の自動車王国です。それなのに、クルマを題材にした映画が少ない……。また、「ドリフト」は日本のストリート発祥の競技です。だからこそドリフトを題材にした映画で、日本から世界に向けて発信できる作品を作りたかった。ロケ地も福島県で行い、登場するクルマも全て日本車という「純日本」映画。それを貫いたところが、特に海外でウケた理由かもしれませんね。

煙や音など細部までこだわり抜いた。それらを美しく見せるために、ライティングまで計算され尽くされている
煙や音など細部までこだわり抜いた。それらを美しく見せるために、ライティングまで計算され尽くされている

――リアル志向のために、撮影では苦労されたこともあったそうですね。

主人公の野村さんはもちろん、カメラや照明さんを乗せる時も、常にリアルスピードで撮影しています。普通は俳優さんを乗せた時点で時速40~60キロくらいが上限です。しかし、今回は野村さんや他のキャストの方を説得して、安全性に十分配慮した上でそれらを遥かに超えた速度で撮影しています。とにかくリアリティーにこだわりたかったんです。

その熱意にキャストやスタッフさんが応えてくれた。野村さんなんて、「慣れるため」と言って、カットがかかった後もドライバーさんに乗せてもらってぐるぐる回ってるんです。本当はエンジン冷やしたり、走るとタイヤが減るから車を休ませたいのに(笑)。

――作品に嘘がないことが、大絶賛されている一番の理由なんですね。

日本映画の現場はどうしても「お芝居」の撮影が優先されてしまう傾向にあります。若い男女が出てくる映画であれば、二人が恋に落ちる、といったラブストーリーも要求されたり(笑)。その残り時間でアクションやスタントを撮る……。だからなかなかクオリティが上がらないのだと感じます。本作では、ストーリーは極限までシンプルにして迫力あるドリフトマシンの走りを全面的に伝えられるような映画を作ろうと思いました。ぜひホンモノを、味わっていただきたいです。

すでに日本での凱旋上映も決定。1月15日から全国の映画館で順次再上映が予定されている。世界基準のド迫力を、ぜひ体験していただきたい。

下山天監督:1966年生まれ。1984年に松竹大船撮影所で契約助監督として活動開始。大物ミュージシャンのMVやCMから、テレビドラマまで幅広く手がける。今作では、35年を超えるキャリアの全てのノウハウを注ぎ込んだ
下山天監督:1966年生まれ。1984年に松竹大船撮影所で契約助監督として活動開始。大物ミュージシャンのMVやCMから、テレビドラマまで幅広く手がける。今作では、35年を超えるキャリアの全てのノウハウを注ぎ込んだ
  • 取材・文・写真加藤久美子

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