京口紘人 “宿敵”寺地拳四朗との死闘で掴んだ「これが僕の生きる道」 | FRIDAYデジタル

京口紘人 “宿敵”寺地拳四朗との死闘で掴んだ「これが僕の生きる道」

「年間最高試合」 との声が上がった WBC・WBA統一タイトルマッチに敗れたのに、 YouTubeの登録者は5000人増えた!

  • Facebook シェアボタン
  • X(旧Twitter) シェアボタン
  • LINE シェアボタン
  • はてなブックマーク シェアボタン
人懐っこい笑顔は健在! タン、サガリ、ハラミ、カイノミ、カルビにライスとスープをパワフルにかきこんだ
人懐っこい笑顔は健在! タン、サガリ、ハラミ、カイノミ、カルビにライスとスープをパワフルにかきこんだ

〈負けた時に本当の友がわかる〉

連戦連勝だった世界王者でも、たった一つの敗北を機に、周囲にいた人間が蜘蛛(くも)の子を散らすように去って行く。残った者だけが真の仲間――。ボクシング界で日常的に語られる言葉だ。

11月1日のWBC/WBA統一ライトフライ級タイトルマッチでベルトを失った京口紘人(きょうぐち・ひろと、29)は、友が去るどころか新たなファンを獲得した。

「毎日のように街で声を掛けられます。YouTubeチャンネルの登録者数も、5000人ほど増えました」

7回KOで敗れた寺地拳四朗(30)との統一戦から、6週間が過ぎた。まだ本格的な練習は始めていないが、再起に向け、時折ジムで汗を流す日々だ。

「試合の映像は一度目にしたくらいです。やるだけのことはやりましたが、相手が一枚上でした。5ラウンドに彼を追い詰めたものの、6回から戦い方を変えてきて、仕留めに行けなかった……」

それでも、5ラウンドにダウンを奪われてからの京口の猛反撃と、試合後の「自分は不器用だからこそ、人の何倍も努力してここまで来た。『出来るまでやる』と決めて、ずっと取り組んできた」という言葉は、ファンや関係者の胸を打った。

16戦全勝11KOで、ミニマム、ライトフライと2階級を制した京口だが、「拳四朗戦が一番感動した」「年間最高試合」との声が数多く寄せられている。

「僕はアマチュア時代に14回負けていますが、プロになって今回が初黒星。その重みを感じています。同時に勝つことの難しさも。よく『この1敗を糧に』と言いますけど、再チャレンジしている人の数に比して、トップに返り咲いた人の数は少ないですから。プロですから、負けを美化してはいけませんが、ファンのそういう反応は素直に嬉しい。僕の負けっぷりが良かったのかな」

格闘家として、かなり早期にYouTubeに参入。21万人超のチャンネル登録者数を誇る京口は、常に自分を客観視する努力を怠らない。時にはエゴサーチをしながら、己がどう見られているかのデータを集める。それは、リングでのパフォーマンスにも結び付いている。

京口を育ててきたワタナベボクシングジムの渡辺均会長(72)は言う。

「自分を追い込めるからこそ、見る人に感動を生んだ。選手として、ここから円熟期に入るでしょう。必ず、世界王者に返り咲かせますよ」

まだ具体的な目標は定まっていない。決めているのは、「京口のファイトを見ると勇気付けられる」と言ってもらえる、そんなボクサーとなることだ。

すでに、同期で親友でもあるWBOミニマム級チャンプの谷口将隆(28)も、一つ年下の後輩である日本ライト級王者、宇津木秀(28)も、京口の姿に感化され、魂の入ったトレーニングをこなしている。

「今後は海外でスパーリング中心のキャンプなんかもやってみたいです」

京口は自身の新たな章で何を見せていくか。間もなく、再スタートを切る。

大学時代の対戦成績は京口の1勝3敗。11月1日の統一戦が、拳四朗とのプロでの初戦だった。再戦が見たい!
大学時代の対戦成績は京口の1勝3敗。11月1日の統一戦が、拳四朗とのプロでの初戦だった。再戦が見たい!
本誌未掲載カット 京口紘人 “宿敵”寺地拳四朗との死闘で掴んだ「これが僕の生きる道」
本誌未掲載カット 京口紘人 “宿敵”寺地拳四朗との死闘で掴んだ「これが僕の生きる道」
本誌未掲載カット 京口紘人 “宿敵”寺地拳四朗との死闘で掴んだ「これが僕の生きる道」
本誌未掲載カット 京口紘人 “宿敵”寺地拳四朗との死闘で掴んだ「これが僕の生きる道」

『FRIDAY』2022年12月30日号より

  • 取材・文林 壮一

    ノンフィクション作家

  • PHOTO鬼怒川 毅(1枚目) 山口フィニート裕朗/アフロ

Photo Gallery4

FRIDAYの最新情報をGET!

Photo Selection

あなたへのおすすめ記事を写真から

関連記事