ゴールデン街で火災発生! 現場取材で浮かび上がってきた令和の時代ゆえの問題点 | FRIDAYデジタル

ゴールデン街で火災発生! 現場取材で浮かび上がってきた令和の時代ゆえの問題点

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火災発生翌日のゴールデン街。多数の消防士や警察官が現場検証にあたっていた
火災発生翌日のゴールデン街。多数の消防士や警察官が現場検証にあたっていた

12月17日午後2時前、新宿歌舞伎町「ゴールデン街」に緊張が走った。通りに立つ店舗の2階から突如火の手が上がったのだ。昼時で人通りが少なかったとはいえ、4店舗に被害が広がり、消防車20台が出動。3時間にも及ぶ消火活動で周囲は騒然となった。

火災現場に隣接する店舗の関係者が、当日の様子を振り返る。

「消防士と警察官に野次馬がごった返し、現場はパニック状態でした。漏電による火災と言われていますが、原因はまだよくわかっていません。幸いにも怪我人などは出ませんでしたが、出火があった店舗周辺は防犯カメラがない場所だったため、出火原因の捜査も難航していたようです。18日に警察官が現場検証を行い、周辺店舗に聞き込みもしていました。火が回らなかった周辺の店舗も消火活動の影響で壁や天井がボロボロになり、営業再開の目処がたっていない店もあります。年末のかきいれ時だけに、大打撃です」

どうやら今回の火事に事件性はなさそうだ。しかし、取材を進めると、ここ最近のゴールデン街が抱える問題も浮き彫りになってきた。老舗バーの店主はこう嘆息する。

「ここ10年で急速に観光地化したゴールデン街では、後味が悪い事件もたくさん起こっています。その多くは飲み逃げや窃盗という軽犯罪ですが、昨年は女性店員への昏睡強盗という悪質な事件もありました。いろいろなことが起こりすぎて、最近は何かあっても『またか』と思うようになってしまいました……」

この店主が話すように、近年のゴールデン街は急速に観光地化が進み、あらゆる値段が釣り上がっていった面がある。その最たるものがテナント料だ。10年ほど前までは月々15万円程度で借りられた店舗もあったが、今では新規のテナントは30万円近い賃料を取られることも珍しくないという。店主がため息交じりに続ける。

「もともと新宿の相場よりも値段が安い場所でしたが、それはこの街の文化を残そうという先人たちの配慮があったから。ある程度暗黙の了解でオーナーが安く値段を設定していたんです。ところが、古くから店を切り盛りしてきた方々が高齢で店を手放すことが増え、その結果筋が悪いオーナーも増えてきたと感じています。テナント料が上がり、酒代も上がるという悪循環に陥っている。実際にウチも契約更新のたびに家賃が10%ずつ上がるという法外な条件が示されており、正直憤りを感じています」

外国人観光客向けの商業的な店が増えたことで、古き良き時代を知る常連客の足は遠のいているという。そこにコロナの感染拡大や軽犯罪の増加が起き、嫌気が差して店を閉めるという選択も増えつつある。そんな状況に危機感を持つ店主たちは少なくない。

「今のままだとゴールデン街で受け継がれてきた文化が死んでしまう。そう店主同士でよく話すんです。誰かが現状を発信していかないと、本当にただの商業主義の場所になってしまうかもしれない。この場所が好きで店を構えているので、そんな悲しい未来を迎えたくはないですよ」

かつての文化人の社交場は、令和の時代を迎えその姿を少しずつ変えつつあるのかもしれない。この街で働き、文化を支えてきた人々は、その変化を敏感に感じている。

被害のあった店舗から持ち出した丸焦げの物体
被害のあった店舗から持ち出した丸焦げの物体
他の店舗関係者らも現場検証に立ち会っていた
他の店舗関係者らも現場検証に立ち会っていた
  • 取材・文栗田シメイ写真結束武郎

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