「毎日不安に駆られろ!」…巨人・オコエ「原監督の期待大も」重圧となるコーチ陣の荒い鼻息
「(獲得は)念願だった!」
サプライズ訪問だった。12月14日に巨人の球団事務所で行われた、現役ドラフトにより楽天から移籍したオコエ瑠偉(25)の入団記者会見直前のこと。巨人を意識しオレンジ色のネクタイを締めたオコエが控室で待機していると突然、原辰徳監督が現れガッチリ握手したのだ。
「電撃訪問の様子は、球団の公式ツイッターにあげられています。原監督は『(プロ入り)2年目だったかな。(沖縄県)那覇での練習試合をみていたよ』と、気さくに話しかけていました。指揮官のサプライズに、オコエも感激した様子。会見では『チームに貢献できるように精一杯がんばります。新しい環境で、精一杯、後がないという気持ちでがんばりたいと思います』と、殊勝に話していました」(球団関係者)
オコエと巨人の縁は深い。オコエは小学校6年の時に、ジャイアンツジュニアのメンバーに選出。それまでは捕手だったが、オコエの走力と肩を見込んだジャイアンツジュニアのコーチの勧めで外野手に転向したのだ。
「オコエは楽天で出場機会に恵まれず、くすぶっていました。原監督は、オコエの覚醒に自信があるようです。日本ハムで暴力事件を起こし『もうダメだろう』といわれた、中田翔を再生させていますからね。
原監督がほれ込んでいるのが、オコエの身体能力の高さでしょう。遠投120mの強肩に2.0以上の視力、50m走5秒96、スイングスピード157km……。今の巨人には貴重な、スター性十分の選手ですからね。オコエは原監督の肝入りで巨人が獲得したようです」(同前)
1日2000スイングの「愛のムチ」
将来性のある期待の選手が加入し、コーチ陣の鼻息も荒い。大久保博元・打撃チーフコーチは、12月18日に開いた「デーブ・ベースボールアカデミー」の冬期講習後、報道陣からオコエについて聞かれ次のように答えている。
「鼻っ柱が強いようだね。そういうところがないと、プロじゃないと思う。レギュラーになるチャンスは十分あるでしょう。監督に選んでもらえるようにするのが、コーチとしての私の役目です」
大久保コーチは、宮崎で行われた秋季キャンプで早朝6時半からの「アーリー・ワーク」を実施。若手野手に1日2000スイングのノルマを課し、ヘトヘトにさせた「実績」がある。オコエにも、容赦なく「愛のムチ」が振られるだろう。
阿部慎之助・ヘッド兼バッテリーコーチも怪気炎を上げている。
「オフの過ごし方について、選手にこう力説しています。『一日、一瞬たりとも野球を忘れないでくれ。毎日大丈夫かなと悩んで、不安に駆られて生活してほしい!』と。春には、強い気持ちでオフを過ごせたかがスグにわかるそうです。
こうも続けました。『やってきたな、変わったなと、目にみえてわかるように過ごしてほしい。やらないヤツはやらないでいい。ケツを叩いてやらせる必要もないだろう。そこは競争だから。現状に満足したらプロとして終わり』」(スポーツ紙担当記者)
オコエは、コーチ陣の猛特訓についていけるのだろうか。不安は残る。
「気持ちにムラがありますからね。楽天では毎年のように『順調すぎるぐらい順調に成長している』と自己肯定する一方、コーチや監督から注意を受けるとフテ腐れていました。石井一久監督は、こう苦言をていしています。『考えが甘い。自己評価が少し高い感じがする。もう一皮むけないと』と。
環境が変わったからといって、オコエが厳しいコーチの指導を素直に受け入れるか疑問でしょう。自由でのびのびした性格のオコエが、規律が厳しく注目度の高い巨人で息苦しさを感じてしまわないか心配になります」(同前)
会見での言葉どおり「後がない」という意識で、「現状に満足せず」に「不安に駆られる」オフを過ごすことができるか。オコエの新たな挑戦は、すでに始まっている。
写真:時事通信社