いきなり登場人物が別人キャラに…関係者が語る『舞いあがれ!』“迷走”の「ある裏事情」 | FRIDAYデジタル

いきなり登場人物が別人キャラに…関係者が語る『舞いあがれ!』“迷走”の「ある裏事情」

  • Facebook シェアボタン
  • X(旧Twitter) シェアボタン
  • LINE シェアボタン
  • はてなブックマーク シェアボタン

脚本がメインライターの桑原亮子氏に戻って…

  • 「桑原さん脚本に戻って、やっと安心して見られる」
  • 「桑原さん戻って来てくださってありがとうございます!」
  • 「ここまでのキャラクターを引き継ぎつつ、前任者が荒らしたフィールドを整え直す桑原脚本、すごい」

そんな称賛コメントが12月19日の朝、SNSで飛び交った。件の話題は、福原遥主演の朝ドラ『舞いあがれ!』で、今週(第12週)から脚本担当がメインライターの桑原亮子氏に戻ったことを受けて多数つぶやかれたもの。

同作は、『心の傷を癒すということ』を手掛けた桑原亮子氏と、朝ドラ『エール』などを手掛けた嶋田うれ葉氏、さらに佃良太氏との3人チーム制脚本が注目されてきた。そんな中、第1~7週を担当していた桑原脚本は、繊細な言葉選びと行間や余韻を大事にする作風で、登場人物一人一人の心情や背景を丁寧に繊細に描き、高評価を得ていた。しかし、第8週の「航空学校編」で脚本がメインライターの桑原氏から嶋田氏に交代するや、SNSでは「舞いあがれ反省会」が突如大盛り上がりに。

『舞いあがれ!』公式HPより
『舞いあがれ!』公式HPより

別人キャラ、4~6分割の顔アップ、ドタバタコメディ演出…

航空学校編では、もともと人の気持ちには敏感だが、自分の気持ちはなかなか言えなかったヒロインが、急にドジでおバカな子に変わってしまったこと、新キャラがいずれもステレオタイプであること、航空学校のチームメイトの顔のアップが4~6分割で映し出されるクセの強い謎演出やドタバタコメディ演出が多いことなどに、違和感を唱える視聴者が続出。

元来、朝ドラでは評判の良し悪しにかかわらず、どんな作品にも「反省会」が立ち上がるのが常だ。しかし、本作のように脚本家が交代した途端に作品のトーンが変わり、子役から本役にバトンタッチしたタイミングならいざ知らず、同じ役者が演じる同じ人物が別人のようなキャラになったことで「反省会」が盛り上がるパターンは他に類を見ない。

実際、作品のトーンなどが大きく変わることについては、制作統括・熊野律時氏が「約1年間、徹底的に航空大学校に取材した。何も知らない人間が取材に行って、一から教えてもらう状況で準備を始め、台本を書き進める時も徹底的に協力していただいた」「航空学校編は準備段階からの作業が大変なので専門チームを結成した。脚本は内容を確認するため、航空大学校とのやり取りが必要だった。桑原さんの脚本の基本的なところは維持しているが、シチュエーションが変わり、学園モノの要素が濃くなっている。舞や6人のチームと教官の芝居で物語が進んでいくので、必然的に前週までとはテンポやタッチが変わる」とスポニチ(11月22日)のインタビューで説明しているように、意図的なものではあった。

そんな中、視聴者に特に酷評されていたのは、野田雄介氏が演出を担当した第8週と第10週。前者の脚本は嶋田氏、後者は佃氏が担当していたが、脚本家が異なるにもかかわらず、いずれも分割画面が何度も登場したり、ベタなラブコメ演出があったりと、作風がガラリと変わることから、「(演出家が)野田さんの回はほんとにあかん」「野田雄介演出じゃないと快適に見られる」「桑原さんに戻る時、演出野田氏だったら泣く」などの指摘が、SNS上の一部朝ドラマニアの間で語られているのだ(※桑原脚本の元で演出を手掛けた第2週は好評)。

航空学校編が長くたっぷり描かれることになった「ある事情」

「実際、野田さんの演出のクセの強さや、脚本にかなり口も手も出すことはNHKのドラマ関係者の間では比較的知られています。しかし、『舞いあがれ!』の場合、他の事情もいろいろあるのです」

そう話すのは、BK(NHK大阪放送局)に長年出入りしている、とある業者。

「12月19日からの第12週からメインライターの桑原さんの脚本に戻り、リーマンショックが描かれていきます。 

しかし、実はそこに至るまで、嶋田さんと佃さんが脚本を担当する航空学校編は、当初の予定ではもっと短くコンパクトな内容でまとまる予定でした。それが、諸事情により、予定より長くたっぷり描かれたことで作品のトーンが変わったという側面もあるのです」

気になるのは、「諸事情」の部分。視聴者の中には、航空学校編が拡大されたのではないかと読む人もいて、一部では舞の初恋の相手・柏木を演じるジャニーズのタレント・Snow Manの目黒蓮の出番を増やしたいためではないかという憶測も呟かれているが……。

「当初より航空学校編の尺をたっぷりとることにした理由に、ジャニーズのタレントさんの出番が関係していたかどうかはわかりません。 

しかし、そもそも当初はヒロインが航空学校の途中でフェイル(退学)してしまう予定だったそうです。それがドラマではチームメイトのフェイルに変わり、ヒロインは卒業できるという内容に変わったのは、ヒロインが行く航空学校のモデルとなった航空大学校が監修という立場で全面的に協力しているためではないかといわれています」

航空学校編では、「プロシージャー(飛行機を安全に飛ばすための基本となる作業)」「フェイル(失敗、落第する)」「JA01TC=ジュリエットアルファゼロワンタンゴチャーリー(舞のチームが帯広分校で乗る飛行機の機体記号。世界の共通ルールで決まっている。管制官との航空無線では聞き間違いのないようフォネティックコードが使われる)」「ブリーフィング(フライト前に訓練計画を担当教官に説明すること)」「プリソロチェック(一人で空を飛べるか判定する中間考査)」など、数々の専門用語が登場する。

そうしたことを踏まえ、リアリティを大切にするため、徹底した取材をする都合上、脚本家の3人チーム制がとられたわけだが。

「実際、あそこまで専門用語がたくさん登場するパイロット養成のドラマをNHKが作るというのはかなりの冒険です。そのため、NHKは視聴者からツッコミを受けないよう、専門用語が頻繁に登場するやり取りなどは正確さを期すため、航空学校の関係者にセリフなどもかなり具体的に協力してもらったようです。 

つまり、訓練部分の教官と学生のやり取りなどの多くを航空学校関係者が作り、監修し、そこに『学園モノ』『ドタバタラブコメ』の物語を脚本家や演出家が加えたわけですから、統一感がないのも当たり前です」

そうした混沌を経て、ここまでのキャラも引き継ぎつつ、ソフトランディングさせた桑原脚本復活の第12週は始まったばかり。ここから再び序盤の高評価を取り戻すことができるかどうかは大きな見どころだ。

FRIDAYの最新情報をGET!

Photo Selection

あなたへのおすすめ記事を写真から

関連記事