<figure id="attachment_282031" aria-describedby="caption-attachment-282031" style="width: 900px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="4e0405cd"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/12/2b65aec49f794a918030c11b9bd35456.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-282031" class="wp-caption-text">直撃取材に応じる柳澤弘樹氏（撮影：等々力純生）</figcaption></figure>
「6歳～18歳までの障がいのある子どもや、発達に特性のあるお子さんが放課後や夏休みなどの長期休暇に利用できる福祉サービス『放課後等デイサービス』は“障がい児の学童”と言われています。ところが、私が働いていた『放課後等デイサービス』の事業所は人員不足、責任者不在が常態化していた。目の回るような忙しさでスタッフの目が行き届かず、特定の職員による児童への虐待も常習化していて、お子さんたちの安全や命にかかわるリスクと隣り合わせで運営されていました。今まで口をつぐんでいた私も同罪かもしれませんが、もう見て見ぬふりはできない。そう決意し、告発することにしました」
全国200近くの事業所で「放課後等デイサービス」をフランチャイズ展開している『こどもプラスホールディングス』。同社傘下の直営事業所で勤務していたＡさんはこう、苦しい胸の内を記者に打ち明けた。
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<h3>給付費の原資は税金</h3>
『こどもプラスホールディングス』の主要事業は、児童に対する運動療育や障がい者の支援事業だ。同社を立ち上げたのは脳科学者として多数の著書を持つ柳澤弘樹氏。『ビートたけしのTVタックル』（テレビ朝日系）に出演したこともある「業界の有名人」だ。柳澤の父・秋孝氏は松本短期大学の名誉教授で幼児運動学の専門家。運動遊びで心と身体を育てる「柳沢運動プログラム」の創始者である。
フランチャイズに加盟すれば「柳沢運動プログラム」が使用できるうえ、「放課後等デイサービス」の事業所を立ち上げるために必要な手続きの指導や運営のサポートが得られる。そのため、立ち上げから10年たたずにフランチャイズの加盟事業所は全国に拡大したのだが――前出のＡさんは「世間のプラスイメージと内情はかなり違う。人員不足に加え、障害児通所給付費（以下、給付費）の不正受給をしている疑惑もあるのです」と憤るのである。給付費は月ごとに各自治体に申請することで支払われる。原資はもちろん、税金だ。
「私が把握しているだけでも、東京都八王子市と茨城県つくば市にある『こどもプラスホールディングス』傘下の直営事業所が、不正に給付費を受給していた疑いがあります。『放課後等デイサービス』は県や都などの自治体から『障害児通所支援事業所』として資格を与えられてはじめて給付費を得られます。そのことを『指定を受ける』という言い方をしますが、どちらの事業所も指定を受けるための条件を満たしていなかったのです。
指定を受けるためには児童発達支援管理責任者（以下、児発管）が1人、児童指導員任用資格者（以下、指導員）が2人、事業所に常駐していなければなりません。児発管は保育園で言うところの園長先生、指導員は先生にあたるスタッフです。
八王子市の事業所では児発管が常駐していませんでした。また指導員として申請するには、教職免許か保育士免許を取得している人か、障がい者支援事業で2年間の実務経験が必要ですが、茨城県つくば市の事業所では指導員の資格がない人物が指導員として登録されていました。しかも指導員として登録されながら、その人物は常勤していなかったのです」
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Ａさんによれば、「こうした人員配置の不正は『こどもプラスホールディングス』傘下の直営事務所で横行」しており、「八王子とつくばの件は氷山の一角」とまで言うのだった。
「柳澤社長はとにかく直営事業所を増やすよう部下に指示していました。直営事業所を急いで増やすために行政に提出する書類の偽造が行われたのでしょう。実際、私の周りには『働いていない期間も働いていたことにされたスタッフ』や『勝手に指導員にされていたスタッフ』がいました」（Ａさん）
<div data-friday-nextpage-lead="柳澤氏は直撃取材に対し……"></div>
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<figure id="attachment_282032" aria-describedby="caption-attachment-282032" style="width: 541px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="3934d494"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/12/66571fe218690c9f7fc02b30a12e8de0-1.jpeg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-282032" class="wp-caption-text">2013年12月、人気番組『TVタックル』に出演。脳科学者として柳澤氏（右）は大竹まことに脳の判断能力実験を施した（写真：こどもプラスホールディングスHPより抜粋）</figcaption></figure>
<h3>「虚偽の経歴を書かされた」</h3>
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本誌は『こどもプラスホールディングス』直営の事業所が指定を受けるために茨城県に提出した「実務経験証明書」を入手。「実務経験証明書」は指導員の資格を得るのに必要な2年間の実務を証明する書類である。この書類に「2年間の実務経験を積んだ」と書くように命じられたＢ氏が言う。
「たしかにその『実務経験証明書』は私が記入しましたが、どこに何のために出す書類なのかの説明は一切なく、ただ『こどもプラスホールディングス』の幹部社員に指示されるままに記入しました。自分が“作り話”を書いていること……これが書類の偽造にあたることはわかっていましたが、幹部に逆らうと給料を減らされるので怖くて抵抗できなかった。こうした書類の偽造はあちこちで行われていたと思います。
指導員として登録されたＣさんについても、私は虚偽の経歴を書かされましたし、Ｃさんは他の事業所にも勝手に名前が登録されていました。私の周囲だけで、これだけ偽造が行われていたんですよ？」
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なぜこんな不正がまかり通るのか。Ｂさんは「自治体にも責任の一端がある」と言う。
「業務実態を調査する自治体の実地指導は事前に告知してから来るので全く意味がないんです。実地指導の時だけ人員を揃えられてしまいます。私は指導員が1人しかいない事業所で働いていましたが、保護者からクレームが入ろうが、人員が足りなかろうが、これまで一度も問題にはなりませんでした。自治体とのなあなあな関係がまかり通っていたので、今年の夏、八王子の事業所に同市の監査が入って問題化している、という話を聞いて驚きました。これを機に、膿を出し切ってほしいです」
介護事業所・放課後等デイサービスの問題に詳しい団野克己弁護士が解説する。
「指定を受けるために必要な人員配置基準は児童発達支援管理の常駐と指導員2名の常駐です。それらの条件を満たさない場合は当然、人員配置基準違反になります。無資格者を有資格者として登録する場合も人員配置基準違反になります。行政の管轄になりますので、どんな処分が下されるかはケースバイケースですが、軽微な場合は過誤調整で給付費の減算が行われます。悪質だと判断された場合は、指定が取り消されて給付費の返還命令が下ります」
ちなみにＡさんが「不正に給付費を受給していた」と指摘する八王子市とつくば市にある事業所はどれぐらいの給付費をもらっているのだろうか。
「たとえば私が知っている事業所に対して5年前の2017年11月から今年11月まで給付費が支払われたと仮定すると、1億円は軽く超えると思います」（Ａさん）
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わかっている不正が「氷山の一角」であるのならば、『こどもプラスホールディングス』が不正に受け取った給付費の額は、いくらに膨れ上がるのだろうか。柳澤氏を直撃した。
――『こどもプラスホールディングス』傘下の事業所で、無資格の人間を指導員としたり、常勤ではないのに常勤と自治体に申請するなどの不正が行われているが、把握しているか。
「私が把握している限りはないですね。ウチとしては健全に行っていたつもりですし、もしそこに齟齬（そご）があるのであれば、そこは訂正すべきだと思うんですけど。僕としては現場に任せているので、もしウチの職員たちにミスがあったのなら、それは役所の指導のもとに訂正すべきだという指示を出しています」
――あなたの名前で申請された不正な書類も確認している。
「私のサインは入ってないと思いますよ。私が勤務していた事業所の書類には名前が入っていますけど、そんな（不正）ことはなかったと思います」
――御社傘下の事業所に八王子市の監査が入った後、『こどもプラスホールディングス』と関連会社『チャイルドブレイン』の代表取締役を辞任しているが、理由は何なのか。
「もともと会社を譲渡するという話を進めていて、現社長が資金を準備できたのがそのタイミングだった。もう4年ぐらい前から進めている話です」
――八王子市の監査が理由ではない？
「ではないですね」
――あなたが代表取締役を務めている間に申請書類の偽造が行われている事実を本誌は確認している。そして今日まで、当該事業所には給付費が支払われている。これは給付金の不正受給ととらえられても仕方がないのではないか。
「僕が給付費の詐欺を行っていた、ということを事実としてあったことにして、私たちとの契約を無効化したい事業者さんがいるんですよ」
この後、柳澤氏は「会社に来ていただければちゃんとお話しします」と記者に告げて立ち去ったのだが、取材は叶わず、代理人弁護士名で「当社は各自治体の監督の下、各自治体に全面的に協力し、適切に運営しております」との回答が文書で届けられた。
障がいのある子を持つ親は、自分が亡くなった後に我が子が一人で生きていくことも視野に入れているため、投資は惜しまない。そんな親の想いに付けこむようなズサンな経営実態に対して部下があげた怒りの声を、柳澤氏はどう聞くのか。
<figure id="attachment_281593" aria-describedby="caption-attachment-281593" style="width: 3024px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="cd7ed150"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/12/430d4bb00f2de27c42a93c74b41dd06a.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-281593" class="wp-caption-text">FRIDAYデジタルが入手したＣさんの「実務経験証明書」。Ｃさんは指導員として登録されているが、記入されていた期間、Ｃさんは指導員としての資格を得ていなかった。代表者氏名として柳澤弘樹氏の印鑑が押されている</figcaption></figure>
<figure id="attachment_281594" aria-describedby="caption-attachment-281594" style="width: 3024px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="f77808af"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/12/f97caf3a0156b8b04b0d8ac8a67c4e0e.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-281594" class="wp-caption-text">Ｂさんが幹部社員から書くように命じられたＣさんの「実務経験証明書」。「業務期間」に書かれていた期間、Ｃさんは全く別の業界で働いていた。提出の日付が記入されていないにもかかわらず、自治体に受理されていたことも問題だ</figcaption></figure>
<figure id="attachment_281595" aria-describedby="caption-attachment-281595" style="width: 1573px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="37e2a7ef"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/12/add3d73dfbfaa607cac3653bad821b8e.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-281595" class="wp-caption-text">新宿区にあるこどもプラスホールディングス株式会社の本部</figcaption></figure>

等々力純生（柳澤氏直撃）

直撃取材に応じる柳澤弘樹氏（撮影：等々力純生） 「6歳～18歳までの障がいのある子どもや、発達に特性のあるお子さんが放課後や夏休みなどの長期休暇に利用できる福祉サービス『放課後等デイサービス』は“障が

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