【試し読み付き!今年完結した名作漫画】人々に『亜人ちゃんは語りたい』が刺さる「納得の理由」
〈今年完結を迎えた大ヒット漫画を振り返る短期集中連載。平成から令和にかけて時代を超えて愛された漫画の中から、「スポーツ」「アクション」「ファンタジー」「恋愛」「日常系」のそれぞれのジャンルにおいて、厳選した名作漫画をお届けする〉

累計発行部数270万部を突破した『亜人(デミ)ちゃんは語りたい』が、12月20日発売の「月刊ヤングマガジン」でついに最終回を迎えた。同作は、2016年の第2回「次にくるマンガ大賞・コミックス部門」で第2位に輝き人気を博し、2017年にはTOKYO MXでアニメ化もされた人気タイトル。ネット上では「亜人ちゃんやっぱり名作」「俺的、本当の意味での神マンガ」と絶賛され、多くのファンの心を鷲つかみにしている。
主人公は高校の物理教師である高橋鉄男。同じ高校に在学する人の血を吸いたくなるバンパイアや、頭と胴体が離れたデュラハンなど特別な性質を持つ「亜人」たちとの交流を深めていく学園日常系コメディだ。

今作が他の日常系漫画と一線を画す点は、作品の根底に流れるメッセージ性が、現代社会で悩みを抱える多くの読者の心を揺さぶったからに他ならない。作中では亜人に対する国の政策や差別意識についても作り込まれている。そのため、登場する亜人ちゃんたちは自分たちの性質をどこか後ろめたいもの、恥ずかしいものと感じているのだが、主人公の高橋は「どんな特徴も個性だ」と優しく寄り添う。この作品を読むと、他人と違う自分の癖や特徴を「すべて個性だ」と肯定されたような気持ちになるのだ。

ぺトス氏は過去のインタビューで、漫画を書く際に意識していることを聞かれ、
「『優しいマンガにしたい』ということですね。若い世代の方々も読んでくださっているみたいですし、人に優しくなれるような心を育んでいただけるマンガにしたいです」
と語っていた。
亜人ちゃんたちの特徴を、個性と捉えた上で、認め合い、尊重し合うことの大切さを教えてくれる本作。作品の中に溢れるキャラクターたちの優しさは、これからも多くの読者を勇気づけてくれるに違いない。
取材・文:味道苑