U.S.A.を山下達郎風にカバーしブレイク! ポセイドン・石川 | FRIDAYデジタル

U.S.A.を山下達郎風にカバーしブレイク! ポセイドン・石川

DA PUMP「U.S.A.」を達郎風に唄って大注目! 初メジャーアルバムも出す要チェック男の「前史~これから」

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ポセイドン・石川の決めポーズ(?)。写真をクリックすると大盛り上がりのライブスチールをご覧になれます

「カァ〜モンベイビィ〜アメリカッ〜!」。DA PUMPの「U.S.A.」が満員のライブ会場に鳴り響く。だがその歌いっぷりは、まるであの方・山下達郎! 2018年に話題を呼んだNo.1ヒット曲「U.S.A.」がDA PUMPを再ブレイクさせた。さらにこの曲を山下達郎風にカバーしてブレイクした男がいる。その名は「ポセイドン・石川」。なんと山下達郎の誕生日(2019年2月4日)には初のメジャーアルバムまで発表してしまうというノリに乗る男、その実力・正体を探るべく、ライブイベント「ポセイドン祭り」に突入し、ポセイドン・石川を取材した。

ライブ会場は前売り完売の満員御礼で熱気に溢れる。1曲目はあのX JAPANの「紅」でスタート。マルチトラックレコーディングを駆使して自らのコーラスワークを展開するカラオケをバックに、タツローフレーバーたっぷりの節回しが炸裂。歌い出しこそは客席からドッと笑いが起こるものの、タツロー張りのファルセット・ボイスをも操る心地よい歌唱には、気がつくと誰もが聴き入ってしまう。

2曲目には超話題曲「U.S.A.」(DA PUMP)が早くも登場し、プロモーションビデオ同様に小さな星条旗を手にしながら「カ〜モンベイビィ〜アメリカっ〜!」と見事な歌唱&やや切れの悪い(失礼!)サビの「いいねダンス」も披露して一気に盛り上がりを見せた。その後「さくらんぼ」(大塚愛)「Butterfly」(木村カエラ)「レット・イット・ゴー」(アナと雪の女王挿入歌)と続く。

ポセイドン・石川の根本的な面白さは、山下達郎が絶対にカバーしないであろう楽曲をチョイスしている点にある。ステージでの曲紹介でも「きゃりーぱみゅぱみゅのにんじゃりばんばんをモノにした山下達郎」といったキマリ文句が毎度観客に大ウケする。

山下達郎風カバーで脚光を浴びたが、ポセイドン・石川のオリジナル曲やピアノプレイにも注目が集まってきた。今回のライブでもオリジナルの「シャチに目をつけられて」「℃-bon(せっしぼん)」「東京Shower」を披露。これらの楽曲もピアノを弾きながらタツロー風に歌唱しているのだが、歌詞もさることながら曲やバンド演奏アレンジもなかなかエッジが効いたcity pop調で、逆に山下達郎がカバーしてもいいのではないか、と思うほどのクオリティーの高さを誇る。これぞポセイドンマジックだ。

インタビューでは、ポセイドン・石川の誕生秘話~メジャーデビュー、これまでの音楽活動やこれからの展望について赤裸々に語ってくれた。写真をクリックすると大盛り上がりのライブスチールをご覧になれます

名前の由来~インディーズで初アルバム

あだ名が“ポセイドン”だったんです。初めてのライブ前日に飲み会をしてまして。酔っぱらって横柄な僕の態度を見た先輩が「なんかポセイドンみたいやなぁ」と。あの頃は今よりもっと太っていましたし(笑) “石川”というのも出身の石川県というのもありますし、日本画の大家で大学時代の恩師だった石川義先生を尊敬していましたのでリスペクトを込めてといいますか“石川”という言葉は、あの時の自分にとっては強い言葉だったんですよね。

絵の勉強をしに京都へ来たのに、画壇を辞めてしまって金沢に帰れずで。引き返すに引き返せなくなってライブハウスに出入りするようになりました。そしてインディーズでアルバムを作ったんですけどもアルバムは本名の“今村大祐”で出しました。というのも、レーベルのプロデューサーから「ポセイドン・石川って、安物のプロレスラーみたいやな。パチモンみたいやからやめておけ」と言われ、本名でアルバムを出しました。ところがその時期に同姓同名のタレントがテレビ番組に取り上げられていまして。本名でのアーティスト活動はなんとも間の悪いものでした(笑)。

「あの方」の存在を知り、山下達郎風の『CAN YOU CELEBRATE?』も誕生

京都で音楽活動をしていた頃、山下達郎さんのアルバム「COZY」を友人から何気なくプレゼントされたんです。それまではジャズと洋楽一辺倒で歌モノについては聴いたことがありませんでした。初めて達郎さんの楽曲を聴いて耳を疑ったというか……とても感動しました。

ジャズって、まず初めの一段階として、模倣の音楽なんですよね。ジャズジャイアンツと呼ばれるアーティスト達の曲や歌をそっくりそのままマネるところから始めましたので、ジャズ同様に山下達郎さんという巨人をマネるところから入りました。ライブ活動ではアバンギャルドといいますかアクの強い音楽(ジャズ)ばかりをやっていたので、セットリスト6曲のうち山下達郎さんを1曲挟むと観客のみなさんがそこで喜んでくれたんですよね。友人の結婚式でも安室奈美恵さんの「CAN YOU CELEBRATE?」を披露したら、すごく喜ばれて。それだったら全曲山下達郎さんにしよう!って。

SNSの拡散力とブレイクの反響

バイトをしながら細々とした音楽活動をしていました。実家近くのライブハウスでお客さんは自分の父だけとか、おふくろだけみたいな(笑)。ライブハウスで演奏するには、お客さんを一人は入れないと出入りできないという暗黙のルールがありまして(笑)。

先が見えない状況でしたが僕はモノづくりが好きなんでしょうね、オリジナルのミュージックビデオを外注で作りYouTubeで配信していましたが、同期の岡崎体育さんがSNSでブレイクしたことでSNSの力はすごいなーと思いました。

Twitterは頻繁にやってこなかったので、一週間に1本は動画を上げようと自分に課しました。はじめはプロモーション動画が作れなかったので、ホームセンターで突っ張り棒と板の切れ端で配信用のiPhone台を作り、ピアノの弾き語りを撮ってアップするところから始まりました。そうこうしていると、いいねやリツイートがどんどん増えていきました。

反響といえば、京都時代に2~3回対バン(共演)した中村佳穂さんから連絡いただいて。僕が山下達郎さんネタで活動していることを知って「最近すごいですね、元気にしていますか?」と。

僕は以前、ホラージャズというネーミングで活動していたんです。ホラージャズとはジャズの複雑な和音を駆使した感じとか、まぁ不協和音が多いですね。歌唱も井上陽水さんのような歌い方をして、今とは全く違っていました。その当時のアルバムを初対面だった中村さんがご購入くださって。「今でもその時のCDはお気に入りです」と言ってくださいました。中村さんはとても音楽的な方で、つい先日も米津玄師さんにリツイートされたのがバズって、一気にフォロワーを抜かれました(笑)。

メジャーデビューアルバムへの本音

恐らくリスナーの方は「なんで『U.S.A.』『にんじゃりばんばん』が入ってないのか」って。(諸事情で)人気の二本柱を入れることができなかったのは心残りがあります。当初は全部カバー曲にしようという話でしたが、オリジナルを3曲入れていただけてありがたいです。東京の高いスタジオで録音したカバー曲と、昔作ったオリジナル曲では雲泥の差がありますが一人でやっていた分思い入れが深いといいますか未熟な部分も聴いてもらえればと思います。結果的には自分の出せるものは全て収めることができたと思っています。

メジャー1stミニアルバム「POSEIDON TIME」
1.紅 (X JAPAN)
2.め組のひと (ラッツ&スター)
3.あんたがたどこさ
4.リンゴ追分 (美空ひばり)
5.4 (オリジナルインスト)
6.握手会Generation (オリジナル)
7.黄色い声が聞きたくて (オリジナル/新曲)
8.ありがとう (いきものがかり)

「ポセイドン・石川 オフィシャルウェブサイト」DISCOGRAPHYコーナーを見る

もし山下達郎、ご本人に会ったら…。そしてポセイドンのこれから…

そうですね……緊張して言葉が出てくるかっていうところなんですが、音楽の話は恐れ多くて聞けないので好きな食べ物を聞いてみたいです(笑)。山下達郎さんはアルバムのアートワークをご自身で手掛けてらっしゃるくらい絵画アートに造詣が深い方で、僕も絵を描いていましたので絵の話をしてみたいです。でも、しどろもどろになって何を言うのかわからないです。まだ心の準備はできていないですね。

自分の本質はここ(ホラージャズ)だなっていうのはあるので、2作目、3作目あたりまではこのシリーズをと考えていますが、一段落ついたらオリジナルのトータルアルバムも作りたいですねと事務所と話しあっています。

オリジナルに戻って、みなさんがどういう反応になるかもちょっと怖いんですけども。音楽って、どこまでも自我といいますか……やはり自分自身を忠実に出していきたいと思っています。エンジニア的なものやミックスなども勉強したくて、これまでプラグインなどをいろいろ買い集めて試していました。Pro Toolsは最近から使い始めましたが、『U.S.A.』でそれどころではなくなってしまったというか。いつかはまたプロデュースも勉強したいと思ってるんです。

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プロフィール:ポセイドン・石川 出身地 石川県。敬愛してやまない「あの方」風に歌う楽曲で話題になり、DA PUNP「U.S.A.」がTwitter動画で150万回以上の再生を記録(掲載期間約1か月)。大学時代にジャズピアノにのめり込み、複雑なコードワークやブラックミュージックに傾倒。大学卒業後、専攻していた日本画を学ぶため京都に移り住み、28歳ごろから京都でライブ活動を始め、ムッシュかまやつ、椎名純平、岡崎体育等と共演。30歳の時、ジングルウィークオーディション(平山みき主催)に出場、音楽プロデューサー渡辺忠孝氏と出会い東京でライブ活動を開始。34歳の時、ポセイドン・石川として活動を始める。レーベルPoseidon recordsを立ち上げ、2017年ポセイドン・石川名義として初となるFirst Alibum『TOKYO SHOWER』を制作、初の全国流通を果たす。大学時代には第37回日展(日本画)入選作品「session」を残すなど多才な一面をもつ。

ポセイドン・石川 オフィシャルウェブサイトに行く

  • 取材・文椙浦菖子

    (すぎうらしょうこ)

  • 撮影菊地弘一

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