ラグビー日本代表 李承信インタビュー「ジャパンの10番を背負う覚悟はできました」
悲願のW杯ベスト4進出のカギを握る若き司令塔
|スポーツ
「今までは代表に”なりたい”一心でプレーしてました。でも、’22年シーズンを戦い抜いて”なる”前提で仲間のために何ができるのかを考えるようになりました」
ラグビー日本代表のスタンドオフ、李承信(りすんしん)(21)は、そう言い切った。プロ2年目の’22年は冷静な判断力とキック精度を武器に、所属するコベルコ神戸スティーラーズで唯一のフル出場を達成。6月には日本代表にも初選出された。
「自信になったのは10月末に行われたニュージーランドとの強化試合です。世界トップを相手に、司令塔として日本のアタックをリードし、キックでも4得点を挙げることができた。最終的に31-38で敗れましたが、世界でも自分の武器が通じるという手応えを得られました」
大躍進のウラには、コロナ禍で経験した大きな挫折があった。’20年に大学を中退して、海外への武者修行を決断。しかし渡航制限で計画は頓挫し、大学にも戻れず練習場所を失った。一時は近所の公園の遊具で一人、トレーニングに励んだ。
「ラグビーをやめることも考えました。でも諦めずに練習していたら、小学生時代の元コーチや今の仲間が手を差し伸べてくれた。支えてくれた人たちのためにも責務を果たしたい」
’23年9月にフランスW杯が控えている。悲願のベスト4へ、準備は整った。
「ジャパンの10番を背負う覚悟はできています。自分がチームを勝たせるという強い気持ちでW杯に挑みます」
若き司令塔が、日本を快挙へ導く。


『FRIDAY』2022年1月6・13日号より
写真::霜越春樹