ドラマで森七菜とW主演…出口夏希インタビュー「舞妓の演技指導で人生で初めてくらい怒られました」

出口夏希（21）は、今もっとも注目されている若手女優の一人である。しかしスカウトされた当初は、芸能界にまったく興味がなかったという。

「『遊びに来て！』と熱心に誘っていただいたので、何回か事務所に行きました。雑談だったけど、緊張しないで話せたことを覚えています。その後、事務所の方が説得しに学校にまで来てくれて、その熱意にほだされ……。やってみようと思ったんです」

’18年に芸能活動を開始。ＣＭやモデルの仕事から始まった。’19年に女優デビューし、昨年は福山雅治主演の「ガリレオ」シリーズ最新作『沈黙のパレード』で、映画初出演を果たし話題に。

「以前からセリフを覚えるのが苦手なんです。自分で紙に書いて覚えていました。『沈黙のパレード』に出演する頃には何度も声に出す方法に変えて、少しずつ覚えが早くなりました。この１〜２年で女優の仕事が増え、少しだけ演技に慣れてこられたかな。最近は演じることが楽しくなってきました」

『沈黙のパレード』では、姉を亡くしたが、頑張って明るく振る舞う定食屋の娘・夏美を演じた。

「夏美は明るく活発で、とにかく元気な子。意識的に声を張ったり、自分なりに工夫しました。監督が熱心に指導してくださって、それに応えるのに必死でした」

１月12日からＮｅｔｆｌｉｘで配信が開始する是枝裕和総合演出のドラマ『舞妓さんちのまかないさん』では、森七菜と初のＷ主演を務める。彼女が演じるすみれは、百年に一度の逸材と言われる舞妓だ。見事、主演を勝ちとったオーディションについて、こう振り返る。

「是枝監督の作品は観ていましたが、監督さんの顔を知らないままオーディションに向かったんです。オーディション現場で知らない人がずっと横で写真を撮っているなと思っていたら、それが是枝監督でした。出演決定も、２回目のオーディションで部屋に入った時に、是枝監督から『出口さんで決めたいと思います』と言われて……。マネージャーさんよりも早く知らされて、ビックリしました」

舞妓役を演じるための、前稽古がとにかく大変だったという。

「すみれは、ズバ抜けた努力をして上達していく役。撮影の１年前からお稽古が始まり、生け花や鼓(つづみ)もやりましたが、”舞”の練習がいちばん大変でした。頭のてっぺんから足の先まですべての動きを厳しく指導されるんです。お稽古の度に辛くて逃げたい気持ちのまま臨んでいたらそれを指摘されて……。人生であんなに怒られたのは初めてでした。うまい下手以前に気持ちが足りなかったことに気づき、絶対負けないという姿勢に切り替えました。”舞”の撮影の日、お師匠さんが現場に来てくださって、撮影が終わって目が合ったらはじめて笑ってくれたんです。深い意味はなかったかもしれませんが、とても安心しました」

演技に稽古に奮闘する日々だが、プライベートでは年相応の女の子の一面を見せている。

「『舞妓さんちのまかないさん』での共演がきっかけで、森七菜ちゃんと仲良くなりました。二人とも辛いものが好きだったり、撮影がない日にご飯を食べに行ったのが楽しかったです」

今年のお仕事の目標の一つは、「お芝居に慣れること」だという。目の前の仕事に常に全力で臨む彼女の活躍に、期待が膨らむ。

でぐち・なつき／2001年、中国生まれ。’18年、『Seventeen』専属モデルに就任。『Seventeen』を卒業後、’22年より『non-no』専属モデルとして活躍している。女優としても活動の場を広げており、’19年のテレビドラマ初出演以降、数多くの話題作を経験。’22年は映画『沈黙のパレード』でヒロインを好演し、注目を集めた。１月12日にNetfilxで配信予定の『舞妓さんちのまかないさん』で森七菜とのW主演を務める

『FRIDAY』2023年1月20・27日号より