「一週間泣いて父を説得して女優に」一級建築士に合格した田中道子が語っていた筋金入りの〝ど根性″ | FRIDAYデジタル

「一週間泣いて父を説得して女優に」一級建築士に合格した田中道子が語っていた筋金入りの〝ど根性″

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〈昨年末に、女優の田中道子(33)が一級建築士試験に合格したことを所属事務所の公式ホームページで発表した。田中は静岡文化芸術大学を卒業後、二級建築士資格を取得しており、建築会社への就職を望んでいたが、スカウトされて女優の道に進んでいた。10日に都内で会見し、受験した理由を、

「受験資格が緩和したのと、コロナ禍になって人のためになりたいと思い、今しかない、二刀流の女優がいていいんじゃないか」

と語っていた。一級建築士は建築科の学生や不動産、設計業の専業者ばかりが受ける国家試験であり、合格率は9.9%。初受験での合格者となると、7%を下回るといわれている。そんな超難関にストレート合格した田中だが、彼女は筋金入りの“ど根性”娘だったのだ。本誌は20年10月、女優として活躍する田中に独占インタビューを行っていた。そこで語られた彼女の“ど根性”話とは…。当時のインタビュー記事を再録する(記事中の年齢・肩書きは掲載時のものです)〉

田中道子(撮影:加藤誠)
田中道子(撮影:加藤誠)

極道時代は「不死身の龍(たつ)」の異名で恐れられてきたが、 バリキャリだけれどルーズで家事が苦手な美久(川口春奈)との結婚を機に極道の世界から足を洗い、専業主夫業に打ち込んでいる主人公・龍(玉木宏)。そんな龍(たつ)と彼を取り巻く人々の姿を描く仁義なきヒューマン任侠コメディドラマの『極主夫道』(毎週日曜/夜10:30〜/読売テレビ・日テレ系)。龍が所属する町内の婦人会のメンバーである太田佳世を演じているのが田中道子だ。

「ここまでテンションの高いコメディに出演させていただくのは初めてかもしれません。現場もドラマ同様にとても和やかです。

私は特に同じ婦人会の会長役のMEGUMIさんと、龍がかつて所属していた『天雀会』の会長の菊次郎役の竹中直人さんとご一緒させていただくことが多いのですが、おふたりとの現場はとても刺激的で、学ばせていただくことが多いですね。

竹中さんもMEGUMIさんもアドリブが上手で、撮影の前のドライ、リハーサル、そして本番のすべてで掛け合いが違うし、しかもそのどれもおもしろいんです」

確かに掛け合いのうまさとアドリブの瞬発力の高さでは玄人の粋にいるふたりと、同じ勢いで演じるのが大変なのは想像に難くない。

「そうなんです。ついおふたりの演技に飲まれてしまって、グイグイいくチャンスを逃してしまっていて……。でも、そのことをMEGUMIさんにお話しをしたら、“どんな作品でも、全部オーディションだと思って演じている”とお話をされていて、私も反省している場合ではなくて、もっと行動していかなくちゃって気持ちを切り変えました」

インタビューをしていても伝わってくる彼女の朗らかで落ち着いてる様子を見ると、遠慮なく人との距離感を詰めてくる“若いおばさま主婦”はかけ離れているようにも思える。

「アドリブで言葉がポンポンと出てくるように、友人やマネージャーさんとの会話であえて日ごろは使わないようなちょっと悪い言葉を使ったりして、自分の中の引き出しを増やしています。

でも、主婦役ということなので、一番イメージしているのは自分の母親かもしれませんね。日頃の母の様子を思い出して、演じています」

話題のドラマ『M 愛すべき人がいて』では“です。”のセリフで話題を呼び、その後、本作にも連続で出演するなど、これからの活躍がさらに期待される彼女。とはいえ、浜松の小さな町で育った彼女にとって、芸能界は夢のまた夢の話だったという。

「もともと女優という仕事に興味はあったのですが、コンビニに行くにも車で行くような田舎町だったのでどうしていいか分からなくて、心の奥に憧れを抱きながらもそのまま大学に進学し、建築を学んでいました。

でも、どうしても憧れを忘れることができず、このまま就職をしたら一生後悔するだろうと思い、親を説得したんです。母は中立の立場で私をサポートしてくれたのですが、教師の父はどうしても許してくれなくて……泣きながら1週間父に向かって頭を下げ続けました。結局許しを得ることはできず、そのまま父には内緒で高速バスに乗って東京に出てきたんです。

今になって思えば、どんな世界かも分からないところへ娘を送り出すのは父としては不安で仕方なかったんだと思います。娘が傷つくことから守りたいという一心からの行動だったんですよね。そんな父も今は応援をしてくれていて、学校で私が出演するドラマを教室の黒板に書いて告知したりしてくれているそうです」

ふわりとした優しいイメージの田中だが、涙ぐみながらもこの話をする姿に、彼女の意思の強さと女優にかける強い思いを感じた。

田中道子(撮影:加藤誠)
田中道子(撮影:加藤誠)

「昔は家族で毎日1本映画を見るような環境で育って、その頃にミラ・ジョヴォビッチやアンジェリーナ・ジョリーの作品を見て“アクション女優ってカッコいい”って思ったことが芸能界に憧れた理由のひとつでもあったので、今後はアクションも積極的に取り組んでいきたいですし、映画にもフィールドを広げられたらうれしいです。

あ、そういえば実はいつか役立つかと思いバイクの中型免許を取ったんです! その話をドラマの現場でしたら、玉木さんもハーレーに乗っているらしく、“いつか一緒にツーリング行こうね”と誘っていただいたんです。いつかは大型免許も取って、カッコよく乗りこなせる女性になりたいですね。とか言いながら、転倒した中型バイクを起こそうとしただけで、ぎっくり腰になってしまったんですけどね(笑)」

笑いながら話す彼女を見て、きれいな目の人だなぁ、と思う。それはきっと真摯に自分の思いを伝えようとする彼女だから見せることのできるまなざしなのだろう。柔らかい雰囲気でオブラートに包んで見せているけれども、実は芯の強い凛とした女性の田中道子。まっすぐ見つめる先にある夢をそう遠くないうちに彼女は手に入れることができるような気がする。

撮影:加藤誠
取材・文:知野美紀子
構成:SUPER MIX

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