【試し読み付】美少女×貯蓄!?『老後に備えて異世界で8万枚の金貨を貯めます』が異世界もの好き必見
今や一大ジャンルとなった「異世界もの」。毎クール、異世界を題材にしたアニメが放送されているほど人気を博している。
そんななか、2023年1月開始のアニメ作品で注目したいのが、『老後に備えて異世界で8万枚の金貨を貯めます』、通称“ろうきん”だ。
原作はFUNA氏による同名小説で、WEB小説サイト「小説家になろう」で累計1億2000万PVを突破した大人気作品。
ライトノベルは既刊7巻まで発売中で、さらにニコニコ漫画「水曜日のシリウス」ではモトエ恵介氏によるコミカライズが連載中だ(コミックス既刊10巻 〜以下続刊)。シリーズ累計は電子を含め145万部 を突破している。アニメ化を記念して、今作の魅力を改めて紹介したい。
主人公の山野光波(ミツハ)は、両親と兄を事故で亡くし、天涯孤独となってしまった18歳。遺産を相続したため当面の生活には困らないものの、今後の人生設計をどうするべきか悩んでいた。
そんなある日、男たちに絡まれたミツハは崖から足を滑らせてしまい、目を覚ますとそこは異世界! 実は崖から落下していく最中、謎の生命体の一部を引きちぎったことにより、ミツハは異世界と元の世界とを自在に行き来する「世界間転移」能力を得たのだ。
世界を渡る能力に、大きなビジネスチャンスを見出すミツハ。老後のために「金貨を8万枚(※およそ20億円)貯める」ことを目標に、異世界での生活をスタートするのだった……。
近年の異世界ものでは、主人公の目的も多種多様。「勇者として世界を救う」という王道なものから、『転生したらスライムだった件』のように王国を築いたり、はたまた『本好きの下剋上』のように「本の存在しない世界で本を作ること」を目指したり、『とんでもスキルで異世界放浪メシ』のようにスローライフを送ったりと、実にバラエティに富んでいる。
ろうきんの場合、「老後のための貯蓄」という身近な目標設定に、異世界ファンタジーならではの要素が絡んでくるのが大きな特色だ。
異世界に存在しない地球の商品や技術を輸入するだけでなく、プロデュースやマーケティングなど現代的な考え方を導入したビジネス展開で客の心を掴み、どんどん収益を上げていくミツハ。
手腕が試される出来事が次々起こるなか、見た目は可憐な美少女であるミツハが現代で得た知識を活かし、海千山千の異世界貴族や王族、ライバル商人たちなどと渡り合っていく姿は見ていて痛快だ。
敬愛するお兄ちゃんから教わった偏った知識の影響もあり、ちょっと思考が残念なミツハが取る大胆な策や行動の数々、一喜一憂する姿なども見ていて楽しいポイントのひとつ。それに加えて、「会話した人物から言語知識を習得する」などの便利な能力をフルに活用し、「異世界で無双する」という、異世界もの作品では鉄板の面白さもしっかりと抑えている。
人気ジャンルであるがゆえに、ある意味飽和状態にもなっている異世界もの。ファンタジックな異世界で「お金を貯める」という現実的な目標を掲げ、メイクマネーに邁進するミツハの姿は、多くの異世界ものに慣れ親しんできた人にもきっと新鮮に感じられるはずだ。
アニメ化で注目が集まる『老後に備えて異世界で金貨を貯めます』。2月9日にはコミックス最新11巻が、3月2日頃には小説最新8巻(Kラノベブックス)が発売予定で、今後もますます目が離せない。