司忍組長は「静岡」に現れ…23年に六代目山口組が本気で仕掛ける「頂上作戦」の行方 | FRIDAYデジタル

司忍組長は「静岡」に現れ…23年に六代目山口組が本気で仕掛ける「頂上作戦」の行方

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12月13日に静岡県にある國領屋一家の本部で行われた「事始め式」にやってきた司組長。笑みを浮かべていた
12月13日に静岡県にある國領屋一家の本部で行われた「事始め式」にやってきた司組長。笑みを浮かべていた

神奈川県横浜市にある指定暴力団「稲川会」の拠点「稲川会館」は、物々しい雰囲気に包まれていた。昨年12月20日の午前9時過ぎのことである。組員らはざっと60〜70人。十数人の神奈川県警、そして兵庫県警の捜査員らが周囲を警戒し、上空にはヘリも飛んでいる。

午前10時20分頃、到着した白いワンボックスの後部座席から一人の男性が姿を現した。指定暴力団「六代目山口組」の高山清司若頭である。その約1時間後、「侠友会」の寺岡修会長も稲川会館へと入っていった。

「この日、行われたのは寺岡会長から高山若頭への『謝罪』です。もともと、侠友会は指定暴力団『神戸山口組』の中核団体でした。それが徐々に神戸が劣勢になっていくなか、寺岡会長は神戸の井上邦雄組長の引退を唱え、対外交渉を行っていました。しかし、それが上手くいかず、昨年8月に神戸山口組を脱退することを表明。そして今回、六代目山口組に対して謝罪を行い、高山若頭もそれを受け入れたという形です」(全国紙社会部記者)

この日、高山若頭と寺岡会長は30分ほど二人で話したという。12時20分頃に寺岡会長、しばらくしてから高山若頭が稲川会館を後にした。「仲介役」となった稲川会の内堀和也会長にこの日の会の趣旨について話を聞くと、こう答えた。

「道を外れたことをしたことの謝罪と組織の解散と、本人はおとなしくカタギとして生きていかせてもらいたい、ということだよ」

終わる方法は2つある

『山口組分裂の真相』などの著書があるノンフィクション作家・尾島正洋氏が語る。

「寺岡会長は引退し、侠友会は12月21日に兵庫県警に解散届を提出しました。’15年8月に山口組が分裂した際に神戸側の中核組織だった山健組、宅見組、池田組、正木組、侠友会の5組織はすべて抜けました。最後まで付き合っていた宅見組も抜け、今回、侠友会が解散した。衝撃は非常に大きいと思います」

山口組分裂抗争は今年8月に9年目を迎えるが、司忍組長が率いる六代目山口組は攻勢を強めている。昨年6月には井上組長の自宅に17発の銃弾が撃ち込まれた。実行犯は六代目山口組系の組員だった。同10月には、神戸山口組を脱退した独立組織の暴力団「池田組」の池田孝志組長が理髪店で六代目山口組系幹部に襲撃されるという事件も起きた。その中で、今回の「謝罪劇」はどのような意味を持つのか。暴力団事情に詳しいノンフィクションライター・鈴木智彦氏が語る。

「今回、寺岡会長がメディアの前で謝罪したということで、六代目側は神戸側に圧力をかけたのです。つまり『謝罪をしてカタギに戻れば命は保証する。だからこちら側に転びなさい』と示したのです。実際にこれで寝返る人間が出る可能性はあります」

今回の寺岡会長の件に先立ち、12月19日には六代目山口組の竹内照明若頭補佐が稲川会を訪問。友好団体との関係強化にも余念がない。鈴木氏が続ける。

「今年中に分裂抗争が終わる可能性は十分あると思います。終わる方法は2つあります。神戸山口組が解散するか、六代目山口組が相手を潰(つぶ)しにかかるかです。今回の寺岡会長の引退劇で寝返る人間が出てきて、神戸側の勢いがそがれて解散する――という可能性はある。

しかし、六代目側は井上組長と、独立組織となった宅見組の入江禎(ただし)組長はやめることはないと踏んでいる。ですので『潰しにかかる』可能性はある。池田組襲撃事件のようなレベルではなく、トップのタマ(命)を取るような事件が起きてもおかしくないでしょう」

12月13日に静岡県浜松市で行われた「事始め式」での司組長は、余裕からか、満面の笑みを浮かべていた。六代目山口組が仕掛ける「頂上作戦」は、「終結まで10年はかかる」と言われた分裂抗争に、ついに終止符を打つかもしれない。

12月20日、稲川会館に赴いた高山若頭。寺岡会長との話し合いが行われた部屋からは笑い声も漏れたという
12月20日、稲川会館に赴いた高山若頭。寺岡会長との話し合いが行われた部屋からは笑い声も漏れたという
竹内照明若頭補佐は、12月19日に稲川会本部を訪問。この後、内堀和也会長と二人で昼食をとったという
竹内照明若頭補佐は、12月19日に稲川会本部を訪問。この後、内堀和也会長と二人で昼食をとったという

『FRIDAY』2023年1月20・27日号より

  • PHOTO濱﨑慎治

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