「ピザ風お好み焼き」?「お好み焼き風ピザ」?…関西限定”いいとこ取りピザ”を実食してみた!
見た目は「シーフードピザ」、香りは「お好み焼き」…
「お好み焼き風ピザ」が発売されました!というネットのニュースを見て、えっ普通じゃんと一瞬思ったのですが、よく考えたら「ピザ風お好み焼き」はあるけど「お好み焼き風ピザ」ってあんまり聞かないですよね。

ピザーラが35周年を記念して1月5日から関西限定で売り出したそうです。しかも、あの「千房」とのコラボです。千房と言ったら大阪の本店にいっつも行列ができている人気お好み焼き店。1973年に千日前で創業し、今や国内外に72店舗を展開しているんですって。

エセ関西人としてこれは食べとかなアカンやろ。と、早速注文してみることに。
本当はマルゲリータとのハーフ&ハーフにしたかったのですが、ビジュアルのインパクトを考えて潔くお好み焼きオンリーに。ピザーラの店員も、「男前やなー」と思ったことでしょう。
久しぶりにピザの宅配を利用したのですが、今は便利ですね。ネットでポチッとやるだけで到着時間も分かるし決済もできるし。しかもなんということでしょう、生地を「スーパークリスピー(うす型生地)」「イタリアン(耳までチーズ)」「ハンドトス(耳までふっくら)」の3種類から無料で選べます。お好み焼きの場合どうするのが正解なのか悩みましたが、結局一番コスパが高そうな「イタリアン」にしました。

しかし一人暮らしでピザを注文することに羞恥心がなくなったなと我ながら思います。若き乙女の頃、配達員に「こいつ1人でピザ食う気かよ」と軽蔑されるのが嫌で、届いた瞬間に「ピザ来たよ〜♪」と友達に呼びかけるふりをしてパリピを偽装した思い出がよみがえります。
かつお節、千房特製のお好み焼きソース&ホワイトソース…さっそく実食!

おお、見た目的には普通のシーフードピザですね。具はエビ、ホタテ、イカ、キャベツ。ソースは千房特製のお好み焼きソースで、別添のホワイトソースを後からかける仕様です。青のりが唯一、お好み焼き感を出しています。香りはちゃんとお好み焼きです。お好み焼きソースって驚異ですね。
でも考えてみたら、お好み焼きも小麦粉だし、ピザも小麦粉じゃないですか。じゃあ結局これってただのお好み焼きじゃねーか!だまされた!といきなり納得いかない気持ちになったのですが、いざ食べてみると。
ピザとお好み焼きの波が交互に押し寄せてくる…
というか、「お好み焼き風ピザ」としか言いようがない食べ物です。生地もチーズも具材もちゃんとピザなのに、キャベツと甘辛いソースと青のりが「俺、お好み焼き!」と主張します。ピザ風お好み焼きとは全く違うシロモノです。

もちろんただのお好み焼きでもありません。そうか、同じ小麦粉でもピザ生地はパンのように発酵しているので、独特の酸味と香りがあるんですね。酵母ってスゲエ。
かつお節をかけたら今度は魚介だしのような風味が加わって、ますますお好み焼きの海に溺れる感覚になりました。ビジュアルもお好み焼きに寄ってきました。
マヨネーズは欠かせません。なんでもコレは千房オリジナルで、酸味と甘みを利かせたお好みソースにベストマッチングなソースなんだとか。
チーズ、マヨ、エビ、ピザ生地、キャベツ、ソース…。一口食べるごとにピザとお好み焼きの波が交互に押し寄せてくるようで、食べる手が止まらなくなります。
売り文句は「片手で食べられるお好み焼き!」

けどこのピザ、なんで関西限定で発売されたんだろう。お好み焼きにうるさい大阪人に「ありえへん」とか厳しいジャッジをされることを恐れなかったんだろうか?と考えるうちに一つの結論を見出したんですが、このピザ、売り文句に「片手で食べられるお好み焼き!」とあるんです。
そうなんです、大阪人、みなさんが思っている以上にお好み焼きが大好き。何かと口実をつけてお好み焼きを食べたがるし、スーパーの隅や店の軒先などでも隙あらばお好み焼きを焼いています。でも、お好み焼きって手で食べられるものではないですよね。なのできっと、「箸とかじゃまくさいし、一刻も早よかぶりつきたいんや!」というせっかちな大阪人のニーズを汲み取ってピザ化したのでしょう。
大阪人に寄り添ってますねえピザーラ。しかし、またこのピザをオーダーするかと聞かれたら、確かに美味しいんですが、やっぱりマルゲリータとのハーフ&ハーフぐらいでいいかな。と思っちゃう私はまだ関西人魂に染まり切っていないのでしょうかねえ。
取材・文・写真:猫田しげる
1979年生まれ。タウン誌、旅行本、レシピ本などの編集・ライター業に従事。現在はウェブライターとしてデカ盛りから伝統工芸まで幅広い分野で執筆。弱いのに酒好きで、「酒は歩きながら飲むのが一番旨い」が人生訓。
猫田しげるの食ブログ 「クセの強い店が好きだ!」https://nekotashigeru.site/