これが港社長の掲げる〝フジテレビルネサンス″…？新番組バラエティに思うフジテレビ社員の本音

「私はフジテレビに76年に入社しました。明るく楽しく元気な会社だった。社員のみんなにはそのDNAをよみがえらせるように話した。題して『フジテレビルネサンス』。80年代からは視聴率３冠王も続けた。『楽しくなければテレビじゃない』という標語は今も変わらない。もの作りが原点の会社です」

昨年６月に就任したフジテレビの港浩一社長（70）は初の定例会で声高らかに“バラエティ番組の復権”を掲げ、閉塞感を感じていた若い社員たちは大いに刺激を受けたという。当時、フジテレビの30代社員は、こう話していた。

「フジテレビはこれまで番組改編期のたびに“改革”をスローガンのように叫び、その手始めとして18年と21年の２度、満50歳以上の社員に早期退職を募りました。しかし、局の方向性は見えてきませんでした。

そんな中、今回の港社長就任人事は、『これぞ改革だ！』と若い社員の間ではけっこう盛り上がっているんです。つまり、これからは『バラエティのフジテレビで行くぞ！』という方針を明確にしたということ。これでやっとフジテレビは変われる。でも、『変わらないと終わるぞ』という期待と不安が入り混じるような雰囲気も漂い始めています」

あれから半年。今、社員たちは現状をどう感じているのだろう。別の30代社員は、こう語る。

「これが港社長の言う『フジテレビルネサンス』なのかと。正直、ドキドキしています」

社員たちがピリピリしている原因は、１月から始まった新番組『ぽかぽか』と『にたもの３組』だ。

『ぽかぽか』は、『笑っていいとも！』『バイキング』を手掛けてきたバラエティ制作センターが総力を挙げて挑む“生バラエティ番組”で、ターゲットをテレビど真ん中世代のF２層（35～49歳の女性）、M２層（35～49歳の男性）に絞り、MCにお笑い芸人『ハライチ』の岩井勇気と澤部佑、フリーアナウンサーの神田愛花の３人を起用した。さらに、月曜レギュラーには、これが芸能界デビューとなる元横綱・貴乃花と元フジテレビアナウンサーの河野景子の次女である白河れい（20）を起用し、視聴者を驚かせた。

一方の、『にたもの３組』は深夜の火曜NEXT枠で、あえてキャラが被っているタレント３人＝にたもの３組を集め、その３人だけでロケしてみたらどんな化学反応が起こるのかを楽しむ新感覚バラエティだ。初回は『コロコロチキチキペッパーズ』のナダルと『モグライダー』のともしげ、『トム・ブラウン』のみちおがMCを務めた。

「港社長の号令は、『面白いと思ったことはとりあえずなんでもやってみよう』ということ。以前であれば、若手社員が出した企画が編成会議で没になったらそのままお蔵入りになっていましたが、今は、没プランも全て社長が一度は目を通すシステムになっています。だから、予測がつかなかったキャストに決定したことも納得なんです。それにしても攻めるなぁと」（フジテレビ中堅社員）

別の中堅社員はこう語る。

「ルネサンスですから『既成のものを全て廃除して、ゼロから始めないと改革はできない』という社長の意志はすごく伝わりました。放送初回でいきなり『４月から３時間放送を２時間に短縮する』と宣言しましたが、これも、３月まではあくまで実験放送であって、とにかくやりたいことを全てやって、４月からはその経験を踏まえてより凝縮してブラッシュアップしたものをお見せするというメッセージなのだと思います」

“実験期間”とはいえ、３月までの３ヵ月間で、がっちり視聴者を掴んでおきたいのは間違いない。

「たしかに『笑っていいとも！』の頃とは時代が違います。１月10日に出演して好評だったマツコ・デラックスさんのような数字を持っている方を日替わりレギュラーにすることも簡単ではありません。もちろん視聴率が上がらなければ、このままというわけにはいかないでしょう。ただ、社員のモチベーションは本当に高いので、これからどんどん新しい企画が出てくると思います」（フジテレビ幹部）

フジテレビルネサンスの行方はーー。