「足跡がない」「冬眠明けを狙うしか」…ベテランハンターも大苦戦OSO18捕獲作戦の厳しすぎる現状
昨年末の大規模作戦は失敗に終わった
OSO18の捕獲作戦が難航している。標茶町や厚岸町の職員はもちろん、北海道各地から腕利きのハンターも投入されているが、65頭の牛を襲ってきた神出鬼没な”最凶ヒグマ”はなかなか捉えられない。
地元・標茶町のベテランハンターが言う。
「昨年11月15日、OSO18対策を話し合う『OSO18捕獲対応推進本部会議』が開かれ、役場の担当者やNPOの職員、そして地元のハンターが集まりました。会議では、『雪が降ってから冬眠するまでの10日間がチャンス。その間に足跡を発見して捕獲する』という作戦が示された。つまり、雪に残った足跡を辿ってOSO18を探し出そうということです。参加者のなかには、『OSO18をかなり追い詰めつつある』と自信を見せている人もいました」
だが、結果としてこの捕獲作戦が成功することはなかった。今冬は道東での降雪が例年よりかなり遅く、ようやく雪が積もったのは昨年のクリスマス頃だった。そのため、OSO18は降雪を待たずに冬眠に入ってしまった可能性が高いのだ。
「待ちに待った降雪の後、NPO団体が中心になっている『OSO18特別対策班』、そして我々地元のハンターが必死に足跡を捜索しましたが、どれだけ歩き回ってもまったく見つかりませんでした。捜索する上では、雪質の問題もあったと思います。今回積もった雪は、一度降ってそのままガチガチに固まってしまった。クマの足は幅い上に肉球もあり柔らかいため、固い雪質だとほとんど足跡が残らないんです」(同前)
ハンターたちは、「もはや冬の間にOSO18を見つけるのは不可能に近い」と口を揃える。ヒグマの冬眠が明ける3月20日頃~4月10日頃を待って、捜索を再開するしかないのが現状だ。
厚岸町役場の関係者が言う。
「現在、OSO18の捜索に関しては進展がない状況です。1月中旬、地域の農家さんを対象に説明会を行い、現状報告と情報提供のお願いをしました。いただいた情報を蓄積し、しかるべきときに動くしかない、というのが現状です」
OSO18を撃退したことで知られる乳牛「リオン」を飼育する、厚岸町「久松牧場」の久松昭治氏もこう悔しさを滲ませる。
「情報提供したくても、出すものがありません。というのも、昨年8月にうちの『リオン』を襲って以来、オソはぱったりと姿を消していますから。私もハンターとしてヒグマを撃ったことがありますが、『クマに出会うのは宝くじに当たるようなもの』と言われている。それだけ、ヒグマを見つけるのは難しいことなんです。あまり言いたくはないけど、冬眠が明けた後も今のやり方ではオソは獲れないと思う。やっぱり、犬を連れたハンターじゃないと無理だと思いますよ」
標茶町周辺ではこの時期、北海道だけでなく全国各地からハンターが集まるという。前出の地元のベテランハンターはこうも警鐘を鳴らす。
「この時期、全国各地からハンターが来て、
山場は冬眠が明ける春――。今年こそ、被害を食い止められるか。
- 写真:標茶町(OSO18)