【試し読み付き】緊迫の手術シーンは一切なし! 今夜放送開始の『リエゾン』が挑む医療ドラマの新境地
1月20日からテレビ朝日の金曜ナイトドラマ枠で『リエゾン-こどものこころ診療所』がスタートする。「発達障害」にスポットを当てた今作は、発達障害者の苦しみや彼らを取り巻く現状をテーマにした新しい医療ドラマとして、注目を集めている。
小児科の研修医である主人公・遠野志保は、生活や業務に支障が出るほど遅刻や忘れ物が多い。本人なりに対策を立てて実行しているが効果は薄く、薬の処方を間違えて書くという深刻なミスも引き起こしてきた。
そんなある日、小児科医になるための臨床研修で、志保は児童精神科病院「さやま・こどもクリニック」(原作漫画では「佐山クリニック」)へと向かう。そこで志保は、院長の佐山卓から「あなたは発達障害です」と告げられる。そして佐山自身も、発達障害であることを明かすのだった。
日本で発達障害が広く認知されるようになったのは、2016年5月に放送されたNHK「あさイチ」で、俳優・モデルの栗原類(28)が症状を告白したことがきっかけだろう。それまで、忘れ物が多い、約束の時間が守れない、落ち着きがない、こだわりが強いといった行動は、「本人の性格」や「努力不足」という誤った認識で片づけられることが多かった。特に子どもは、自分が困っていることを周囲の大人に訴えることができず、周囲から「問題児」として扱われることも多かった。また発達障害の認知度が高まるにつれて、学校を卒業し社会人となって働き始めてから「困りごと」を抱える、「大人の発達障害」の存在も知られるようになる。
そういった時代背景を受けて誕生した『リエゾン』の見どころは、「困りごと」を抱えた人たちの悩みを、ドラマを通じて感じられることだ。また発達障害者がどんなサポートを求めているのかについても理解を深めることができる。さらには、発達障害者を支える医療体制の実態、そして精神医療の専門家が他の診療科と連携・協力して、チームとして総合的な医療サービスを行う “リエゾンチーム”の存在を知るきっかけにもなるはずだ。
手術シーンのない“医療ドラマ”は役者の演技に注目

精神科の治療は医師と患者、患者の親族との対話で行われる。必然、緊迫感のある手術シーンをメインとした従来の医療ドラマとは一線を画した、「対話」をメインとした新しい形の医療ドラマが展開される。特に目には見えない「こころ」の問題を探り、解きほぐしていく医師の仕事ぶりを表現するには役者陣の演技が肝だ。そんな難役に挑むのは山崎育三郎(37)だ。朝ドラ『エール』(NHK)で一躍注目を浴びるようになった山崎が、華やかな色気を封じて新境地を切り開く。さらに主人公の志保は、『桜のような僕の恋人』(Netflix)で人の何十倍もの早さで歳を取る難病を発症したヒロイン・美咲を演じた松本穂香(25)が演じる。
脇を固める俳優陣も実力派ばかりだ。栗山千明(38)や志田未来(29)、風吹ジュン(70)らが出演。さらにNHK大河ドラマ『八重の桜』で山本八重の幼少期を演じた鈴木梨央(17)、今注目の女優・片岡凛(19)など、期待の若手も勢揃いしている。
さらに子役陣も朝ドラや大河ドラマで活躍している注目株ばかり。9歳の浅田芭路(『舞いあがれ!』岩倉舞・幼少期)や同じく9歳の川原瑛都(『カンナさーん!』カンナの息子)、6歳の佐藤恋和(『なつぞら』)、同じく6歳の沢田優乃(『祈りのカルテ 研修医の謎解き診察記録』)らが揃う。
確かなキャストで挑む、新たな医療ドラマ。第1話は今夜、放送予定だ。
取材・文:中村美奈子