安倍首相 辺野古基地問題で「口から出まかせ」「言ったもの勝ち」
ウソつきぶりはグルーバルに拡散 国内は「怒り」と「失望」が充満
最近、首相官邸でこんなやり取りがあったという。
安倍 「『QUEEN』のブライアン・メイが呼び掛けたせいで、ホワイトハウスでも(辺野古埋め立て反対の)座り込みが起きているんだって?」
側近 「そのようです」
安倍 「マズいなあ」
沖縄県名護市辺野古の米軍基地建設問題で、いまや安倍晋三首相はワールドワイドに「ウソつき」として認定されつつある。
昨年12月、政府は辺野古沖で埋め立てのための土砂投入を開始した。この件で首相は、1月6日のテレビ番組で「砂をさらって、あそこのサンゴは移植している」などと語り環境への配慮をアピールしたが、これが真っ赤なウソだった。
「確かに防衛省沖縄防衛局はサンゴの一部を移植しましたが、現在、埋め立てが進んでいる区域のサンゴはひとつも移植されていません」(全国紙政治部記者)
慌てた政府は、10日に菅義偉官房長官が乗り出して「埋め立て区域に生息していた移植対象のサンゴはすべて移植した」などと釈明。だが、実際に移植されたサンゴは、対象となる7万4000群体のうち、たったの9群体に止まっている。
そもそも、「砂をさらって移植」という首相の発言自体、意味が分からないと指摘するのは、サンゴの生態に詳しい琉球大学海洋自然科学科の中村崇准教授だ。
「サンゴは植物のように思われていますが、実際はクラゲやイソギンチャクと同じ刺胞動物に分類されます。別の場所に移しても、そこにはこれまでの条件とは異なる別の環境があるので、ポン、と植え付ければ大丈夫という単純な話にはなりません。環境変化に特に敏感なサンゴは移植後の生存率が低いことでも知られているデリケートな動物なのです」
サンゴの事はよく知らないが、適当に口から出まかせを言って誤魔化しておけ――。首相の発言には「驕(おご)り」が滲む。
「五輪を東京に招致する際にも、世界に向けて『汚染水はアンダーコントロールだ』とウソのスピーチをしましたが、結局それもうやむやになった。言い繕(つくろ)ってその場を切り抜ければいい、何を言っても大丈夫、と思い違いをしているのでしょう」(政治アナリスト・伊藤惇夫氏)
だが、そんな「言ったもの勝ち」戦法も、そろそろ限界が見えてきた。「マズいなあ」と本人もぼやくように、首相のウソつきぶりはグローバルに拡散しつつあり、同時に日本国内では、「怒り」と「失望」が確実に充満し始めている。
「安倍首相の側近も危惧しています。世論調査で政権の支持は安定しているように見えますが、一方で不支持率は、常に4割前後で固まって層のようになってきている。これは非常によくない兆候です。次に『何か』が起こればあっという間に支持率と不支持率が逆転し、政権が追い込まれる下地があるということです」(政治ジャーナリスト・鈴木哲夫氏)
動かないはずの岩盤層が動くとき、安倍政権はかつてない激震に見舞われる。
撮影:鬼怒川毅