「息ができない」と地下室で高齢者が死亡…ロシア軍が子供らウクライナ住民を「人間の盾」非人道実態
支給されるのは70年代のサビついた銃で、使い物にならない。彼らは「肉」と呼ばれ、砲弾が降り注ぐウクライナとの最前線に配備。「人間の盾」にされた――。
ロシアの独立系メディア『アストラ』は、昨年末から招集された予備動員兵約30万人の悲惨な実態を報じている。
「ロシアのSNS『テレグラム』には、動員兵に支給された穴の開いた防弾チョッキやボロボロの銃の画像が多数アップされています。中には、招集状が届いた日に上官から『武器や止血品は自前で調達しろ』と命じられた兵士もいるそうです。当初3ヵ月の訓練期間が約束されていましたが、なし崩し的に数日で前線に投入されるケースもあるとか。
こうした悲惨な状況から、動員兵の多くが戦闘参加を拒否しています。逃亡する兵士も後を絶ちません。懲罰として、動員兵は戦闘の激しい最前線へ送られているんです。正規軍を温存するため、ウクライナ軍の注意を向けさせる『弾よけ』に使われているんですよ」(全国紙国際部記者)
狭い地下室に350人が1ヵ月閉じ込められ……
「人間の盾」となっているのは、ロシアの動員兵ばかりではない。捕虜となったウクライナの一般住民も、被害にあっているのだ。
「ウクライナの検察当局の発表によると、ロシア軍は北部チェルニヒウ州に侵攻した際、現地の学校の地下室に住民350人以上を1ヵ月にわたり閉じ込めたそうです。ウクライナ軍の攻撃をかわすためですよ。中には80人ほどの子供も含まれていました。
地下室は14m四方ほどの広さしかなく、トイレの時以外は外部に出られないという劣悪な環境だったといいます。通気口もなく、横になることも難しい。食料不足と酸欠から、高齢者が『息ができない……』と次々に亡くなったそうです」(同前)
ウクライナでは、各地で住民が「人間の盾」にされているようだ。1月19日付の『産経新聞』は、南部ヘルソン州でロシア軍が西岸の住民5000人を自分たちが撤退した東岸に連行したと報道。ウクライナ軍の反撃を避けるためだという。
「ロシア軍は、非人道的な兵器も多数使用しているといわれます。昨年4月に東部クラマトルスクへの攻撃で使用されたとされるのが、『SS21B型(通称トーチカ)』という短距離弾道ミサイルに搭載されたクラスター弾です。無数の金属片が飛散し、広範囲にいる人々を無差別に殺傷。不発弾が多いため、戦闘終了後も被害が拡大することでも知られる爆弾です。
さらに猛毒物質『サリン』の散布や、燃焼力が高く被害にあった人々の肌が焼けただれる『白リン弾』の使用も疑われています。通常の戦闘ではウクライナへ提供された西側の最新兵器に太刀打ちできないため、国際法で禁止されている化学兵器の使用にも踏み切ると考えられているんです」(同前)
国際刑事裁判所は、ウクライナ当局と協力してロシア軍による戦争犯罪の証拠を集めている。
写真:Andriy Yermak Via Telegram/ロイター/アフロ