市川海老蔵は「13代目團十郎」になって歌舞伎を救えるのか

勘三郎、三津五郎の急逝で実は存亡の危機に

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会見での海老蔵と息子の堀越勸玄くん(5)。来年5月に海老蔵は「市川團十郎白猿」を、勸玄くんが「市川新之助」を襲名し、披露公演を行う予定だ

「己の命の限り、懸命に歌舞伎に生きてまいりたいと思います」

1月14日、歌舞伎座で会見した市川海老蔵(41)は、亡き父の跡を継ぎ、團十郎を名乗る決意をこう語った。歌舞伎関係者にとって、冒頭の海老蔵の決意表明は、決して大げさなたとえではない。なぜなら、外見的な華やかさとは裏腹に、歌舞伎界にはあまりにも不幸が続き、存亡の機を迎えているからだ。

’12年8月には、市川染五郎(現・松本幸四郎)が舞台から転落し、奈落の底が血だまりになるほどの重傷を負った。その衝撃も覚めやらぬ同年12月、歌舞伎界随一の実力者でもあり人気者だった中村勘三郎が57歳の若さで急逝する。それからわずか2ヵ月後には、白血病を患っていた海老蔵の父・市川團十郎が66歳で死去。それどころか、勘三郎と同い年で親友だった踊りの名手・坂東三津五郎(享年59)までも’15年2月、膵臓がんで逝った。

ほかにも中村福助が女形の大名跡(みょうせき)・中村歌右衛門(うたえもん)襲名を発表したとたん脳内出血で長期休業。また’17年10月には、スーパー歌舞伎『ワンピース』の主役・市川猿之助が昇降装置に衣裳を巻き込まれ、腕の骨を19ヵ所折る大事故が起こった。

「今の歌舞伎界は、本来ならば歌舞伎座で昼夜公演の座長を務めるはずの勘三郎さん世代がごっそりと抜け、25年ぐらいぽっかりと穴のあいたいびつな年齢構成になってしまっている。だからこそ、松竹は海老蔵さんの團十郎襲名を前倒しにしてでも進めたかったのでしょう。彼の集客力は歌舞伎界でダントツ。東京五輪という世界的ビッグイベントの年に”歌舞伎のシンボル”である團十郎のお披露目とあらば、襲名披露公演の大成功は今から約束されたも同然です」

海老蔵への取材も度々おこなっているジャーナリスト・生島淳氏はこう語る。

「しかも世間でのイメージと違い、実際の海老蔵さんはものすごい勉強家です。代々の團十郎は、明治維新や終戦後といった歌舞伎の危機の時代にも果敢な変革をして後世にインパクトを与えてきた。彼はそのことをよくわかっているんです」

そして、海老蔵の妻、麻央さんが34歳という若さで亡くなったことを忘れた人はいないだろう。生島氏が続ける。

「歌舞伎ファンというものは、欧米で人気の『リアリティショー』みたいに実際の家庭環境や生き方まで含めて応援する。今の海老蔵さんは、かつて漂わせていたダークサイドの危うい魅力だけでなく、麻央さんを失って男手ひとつで二人の幼い子供を育てているという悲劇性でも観客を引きつけています」

窮地に立たされた歌舞伎界を救えるのは海老蔵しかいないのだ。

勸玄くんが生まれる約1ヵ月前、2013年2月に亡くなった海老蔵の父・十二代目市川團十郎さん
  • 写真朝日新聞社

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