草彅剛『罠の戦争』や櫻井翔『大病院占拠』も…「悔しいけどハマる」ベタなドラマ「侮れない実力」

「悔しい」、「やられた」……。多くの芸能記者やテレビ誌編集者たちにドラマ取材をしていると、今期はこんなセリフがやけに聞こえてくるのだ。つまらないだろうと侮っていたドラマが想像以上に面白く、悔しいことにハマってしまった、という意味である。

これらの声が気になり、あらためてこのテーマで取材を再実施。名付けて「想定外にハマって悔しいドラマ」ランキングを取ってみた。そのベスト３を紹介したいと思うが、１位は、まさに想定外すぎる一作であった。

３位：『罠の戦争』（関西テレビ系、月曜22時～）

「これまでも草彅剛でヒットを重ねてきた“罠”シリーズ。ただ前作は、８年前だからウケた“ベタさ”もあるので、この令和にどうかなあと懐疑的だった。ところがフタを開けてみれば、今期一番面白い。決して草彅の演技が上手いわけではないのだが、妙な迫力があって惹き込まれる。元ＳＭＡＰメンバーの底力を感じた」（テレビ誌編集者）

「弱い者が、権力を持つ政治家たちに挑むストーリーだが、毎回ラストに水戸黄門的“スカッと感”があって気持ちいい。現実にも、岸田政権が好き放題やっていて国民はなす術がなく歯がゆい思いをしている、という時期と重なったのも良かったのではないか。国民に代わって溜飲を下げてくれている、という点も視聴率好調の要因の一つだと思う」（インタビューライター）

２位：『ブラッシュアップライフ』（日本テレビ系・日曜22時半～）

「主人公が事故で死んでしまい、何度も赤ちゃんから人生をやり直すというドラマ。最近サブカル層に人気の『大豆田とわ子と三人の元夫』とか『カルテット』系だと思っていて、『この手の会話劇ドラマは好みじゃないんだよなあ』と腰が引け気味だったが、めちゃくちゃ面白い……。

その理由は何といっても、主演の安藤サクラの神レベルの演技の上手さ。バカリズムのシュールな脚本の魅力を120％引き出している。とくに、元同僚の男性に『玲奈ちゃんに手を出したら私が黙っていませんよ』とネト～ッと詰め寄るシーンとか最高だった(笑)。毎回、クスクス笑いが止まらない」（芸能ライター）

「安藤サクラも上手いが、小粒な役どころに黒木華とか染谷将太とか松坂桃李とか演技派を使っていて、細部にまで手を抜いてないところも大きいと思う。好き嫌いは分かれるかもしれないが、久しぶりに役者の演技を存分に楽しめるドラマ」（ＷＥＢ誌編集者）

１位：『大病院占拠』（日本テレビ系・土曜22時～）

「最新鋭の防御設備を備えた病院を、“鬼”と呼ばれるテロリストグループが占拠。そこに元刑事の櫻井翔が挑む、というストーリー。最初は『ダイ・ハード』と、スペインの銀行強盗を描いたネトフリドラマ『ペーパー・ハウス』感満載だったのが、途中から『24』も顔負けのタイムリミットものになってきて……。

これがハイテンポで何だかんだ飽きさせないし、こう言っては何だが、ストーリーの荒唐無稽ぶりもここまでくるともはや面白い。実は毎回楽しみにしているドラマになりつつあるのだが、微妙に恥ずかしくて、素直に好きと言えない悩ましい一作でもあります(笑)」（テレビ誌ライター）

「正直スタート前は、櫻井翔とアクションって違和感がハンパなかったが、何だかドタドタと奮闘している様が、人間味とリアリティがあってジワジワとハマってきた。

思えば『ダイ・ハード』のブルース・ウィリスだって、『24』のジャック・バウアーだって、決していかにもカッコいいアクション俳優ではない。だからこそ味があって惹き込まれたのであって、櫻井翔ももしかしたら意外な新境地を開拓したのかもしれない……」（芸能記者）

何が刺さるかはフタを開けてみなければ分からない。この結果からただ一つ分かることは、食わず嫌いは良くない、ということだろう。