首都近郊で積雪1m 国内でマイナス50℃を記録する日「殺人寒波が日本列島を狙っている」 | FRIDAYデジタル

首都近郊で積雪1m 国内でマイナス50℃を記録する日「殺人寒波が日本列島を狙っている」

ロシア東部、中国北部ではすべてが凍りついた 兵庫県上空5kmでは過去30年間で最低のマイナス45℃を記録

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大雪が高速道路での大渋滞を招き鉄道網をズタズタに。写真は福井県の北陸自動車道で起きた大規模な立ち往生(画像:共同通信社)
大雪が高速道路での大渋滞を招き鉄道網をズタズタに。写真は福井県の北陸自動車道で起きた大規模な立ち往生(画像:共同通信社)

海は大荒れで台風のよう。強烈な吹雪(ふぶき)で視界が遮(さえぎ)られ、船のデッキからは海面が見えない……。1月19日から31日まで日本海を観測した三重大学大学院教授の立花義裕氏(気象学)は、かつてないほどの寒波を体験したという。

「兵庫県沖で船から気球を飛ばし寒波の指標となる上空約5㎞の気温を観測したのですが、マイナス45℃を計測しました。兵庫県沖の上空は平年マイナス28℃ほどで、マイナス45℃というのは記憶にない。おそらく過去30年で最低でしょう」

近年は地球温暖化によって、世界的に偏西風が蛇行しやすくなっている。日本付近では南に大きくえぐれ、その分、強烈な寒気が列島へ流れ込んでいるのだ(下図参照)。立花氏が続ける。

「驚いたのは、温暖化で温められた海面水温と気温の差が16℃もあったことです。冬は温度差が出やすいですが、通常は5℃ほど。差が大きいほど水蒸気が増え、寒気に触れて大量の雪を降らせます」

列車は10時間立ち往生し高速は28時間の大渋滞

世界的に偏西風が蛇行し日本付近では大きく南にえぐれている。その分、強烈な寒気と凍てつく風が列島全体を覆っている構造だ
世界的に偏西風が蛇行し日本付近では大きく南にえぐれている。その分、強烈な寒気と凍てつく風が列島全体を覆っている構造だ

記録的な大雪の被害は甚大だ。1月24日には、JR京都線などで列車15本が立ち往生。乗客約7000人が、最大10時間にわたり混雑した車内に閉じ込められた。翌25日には、三重と滋賀の県境を走る新名神高速道路で28時間、最長34㎞の大渋滞が発生している。『NHKニュース7』などにレギュラー出演していた、気象予報士の村山貢司氏が解説する。

「大雪は日本海側で降る印象がありますが、太平洋側も油断できません。北陸から東海にかけて高い山がなく、雪雲が流れ込みやすいんです。東海道新幹線や関東から関西を結ぶ高速道路がストップし、物流が寸断される恐れがあります」

東京も決して安心はできない。警戒すべき時期は、まだ続きそうだ。

「東京に雪を降らせるのは、日本列島の南岸を発達しながら東に進む南岸低気圧です。南岸低気圧は、2月や3月に発生するケースが多いですから」(立花氏)

実際’14年2月には、記録的な大雪が2週連続で東京を襲っている。積雪は首都近郊でも1mを超えた。

「近年の雪は以前のように乾いておらず、大量の水分を含み重い。積もった雪の重みで電柱が倒れ、電線が切れるかもしれません。電気がストップし暖房が使えなくなれば、高齢者を中心に命の危険にさらされることになります」(村山氏)

殺人寒波は、世界的に猛威を振るっている。ロシア東部ヤクーツクでマイナス62.7℃、中国北部の漠河(ばくが)市ではマイナス53℃を記録。すべてを凍りつかせているのだ。武蔵野学院大学特任教授・島村英紀氏(地球物理学)が語る。

「日本も他人事ではありません。列島を襲うのは北極から押し出されたロシアや中国と同じ寒気です。いつ国内でマイナス50℃を記録してもおかしくない」

前出の村山氏が警鐘を鳴らす。

「最も恐ろしいのは、吹雪で一寸先が見えないホワイトアウトです。’19年1月には北海道当別町で家が見えず、玄関の手前数十㎝で住民が凍死するという事故がありました。東京でも起こりえます」

マイナス50℃の大寒波は首都のインフラを壊滅させ、人々を死に追いやるのだ。

『FRIDAY』2023年2月17日号より

  • 写真共同通信社

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