スキャンダル連発の「文部科学省」に暗躍する“霞が関ブローカー”
腐った役所は金まみれ、利権まみれ、幹部はみんなクズばかり
「文科省の汚職事件では、贈収賄の現場となった飲食接待に現職事務次官(戸谷一夫氏)が同席していたことが判明し、霞ヶ関に大きな衝撃が走りました。もはや文科省の腐敗は底なしで、幹部はみんなクズばかりと言われても、誰も反論できない。今後、さらなる逮捕者が出る可能性があります」(全国紙社会部記者)
文部科学省でスキャンダルが連発している。7月4日、東京医科大学が文科省の私立大学支援事業の対象校に選定されることの見返りに、自分の子を大学入試で合格させてもらったとして、文科省局長の佐野太容疑者(59)が逮捕された。
さらに26日には、宇宙航空研究開発機構(JAXA)に理事として出向していた同国際統括官の川端和明容疑者(57)が、医療コンサルティング会社に便宜を図る見返りに140万円相当の接待を受けたとして逮捕されている。
この2つの汚職事件には、どちらも官僚と事業者の間をつなぐ”霞が関ブローカー”と呼ばれる男が介在していた。コンサル会社元役員の谷口浩司容疑者(47)だ。
佐野容疑者も、谷口容疑者を介して東京医科大学の臼井正彦前理事長(77)と秘密裏に会合し、助成金と息子の医学部裏口入学とを取り引きした。
「大学入試にもブローカーは暗躍しています。官僚が大学に裏口入学を直接頼むのはマズい。そこでブローカーが間に立つ。特に文科省と大学病院の癒着の問題は昔から腐るほどあります。東京医科大だけの問題ではありません。学生1枠で補助金を得られれば大学としてもありがたい。S大学やN大学でも同じことがおきています」(医療関係者)
文科省は学生が東京に集中しすぎているとして、東京都23区内の私立大学への助成金交付基準を厳格化。’18年度からは入学者数が定員の10%を超えた場合、助成金を全額カットする、というものだ。
「この制度を受け、各大学は学部ごとにできるだけ定員数をギリギリに収めるよう合格者数を減らしたんです」(教育ジャーナリスト)
その結果、大学当局はますます文科省の顔色を窺うようになっている。文科省と大学の癒着は、今後よりいっそう加速していくのかもしれない。
それにしても、なぜ文科省ではこれほど汚職が蔓延(まんえん)しているのか。元文科省官僚で京都造形芸術大学教授の寺脇研氏は驚きをもってこう語る。
「以前はブローカーと呼ばれる人物が霞が関に多数出入りしていました。ただし、’98年の大蔵省接待汚職事件(ノーパンしゃぶしゃぶ事件)で、それが表沙汰になった。その反省から『国家公務員倫理法』が生まれ、接待やワイロなどの不正が根絶されたはずでした。なのに、文科省にはいまだに残っていた。OBとして、驚きを超えて残念でなりません」
元財務省官僚で嘉悦大学教授の髙橋洋一氏は、文科省のそうした化石のような体質を厳しく批判する。
「20年前の汚職事件から、文科省は時間が止まっているようです。霞が関の中で文科省は”三流”と揶揄(やゆ)されますが、そのため逆に監視の目がゆるく、旧時代のような過剰接待や不正がそのまままかり通ってきたのではないか。今回のような不祥事は氷山の一角である可能性が高く、文科省の信用失墜はまだ始まったばかりなのかもしれません」
元経産官僚の古賀茂明氏は、安倍政権の責任問題にも言及する。
「本来は大臣が辞任してもおかしくないほどの問題です。安倍政権は、政治主導で官僚人事も掌握している。局長クラスの人事は役所ではなく、政権が選んでいるんです。林芳正文部科学大臣はもちろん、安倍晋三首相にも大いに責任がある。官僚の不祥事をなくすつもりがあるのであれば、政権側に任命責任があることを明確にするべきです。官僚が起こした問題だから、と素知らぬ顔をしているのは許されません」
役所も政権も、一度解体して建て直したほうがいいのではないか。
写真:時事通信フォト(文部科学省)、読売新聞/アフロ(佐野太被告)、共同通信イメージズ(臼井正彦前理事長、川端和明容疑者)