「陸連の海外視察でサッカー観戦」の怪文書…東京五輪談合事件で逮捕の森泰夫容疑者が見せた二つの顔 | FRIDAYデジタル

「陸連の海外視察でサッカー観戦」の怪文書…東京五輪談合事件で逮捕の森泰夫容疑者が見せた二つの顔

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東京五輪の談合事件で逮捕された森泰夫容疑者。会長職を途中辞任した森喜朗元首相と同姓ということもあり、“ミニ森”として存在感を示していた(写真:共同通信社)
東京五輪の談合事件で逮捕された森泰夫容疑者。会長職を途中辞任した森喜朗元首相と同姓ということもあり、“ミニ森”として存在感を示していた(写真:共同通信社)

東京五輪・パラリンピックの業務をめぐる談合事件で、東京地検特捜部は8日、組織委員会の運営局元次長の森泰夫容疑者(55)を独占禁止法違反容疑(不当な取引制限)で逮捕した。

最強の捜査機関といわれる東京地検特捜部が容疑を認めはじめた元次長を身柄を拘束してまで取り調べるのは、組織委のトップまで迫ろうとしているのでは、という見方がある。

森容疑者は落札業者の電通、博報堂など大手広告会社だけでなく、各競技団体に食い込み、五輪の運営を差配する立場にあったとみられている。政界、スポーツ界に強い影響力を持ち、会長職を途中辞任した森喜朗元首相と同姓ということもあり、“ミニ森”として存在感を示し、権勢をふるっていた。

では、いかなる人物なのか。

「横浜国立大を卒業後、1991年に東急電鉄に入社、都市開発に携わっていましたが、学生時代に陸上競技部に所属していたことから、2004年に日本陸上競技連盟に転職しました。『人たらし』というか、営業マンとしてのコミュニケーション能力で頭角を現し、事務局次長に就きました。陸連は競技団体の中核組織ですから、JOC(日本オリンピック委員会)や電通などに人脈を広げ、東京五輪組織委が設立されると、運営局の一員に加わりました」(日本陸連関係者)

五輪組織委運営局といえば、大会成功のカギを握る要職。その中でも、森容疑者は開閉会式会場の国立競技場の責任者を務めるなどキーパーソンとしてメディアからも注目され、五輪開催前の2019年11月と開催後の2022年3月の2回にわたり、日本記者クラブで講演している。

その席に出席した新聞記者は「大会会場の現場に必ずこの人あり」「大会運営に関わった人材の活用する仕組みを整備すべきとの考えを示した」などと持ち上げている。

森容疑者が任意の取り調べを受けているときでさえ、メディア関係者からは「談合なんかではない。森さんは大会成功のために頑張った人」と懸命に庇う声さえ聞かれたほどだ。

一方、陸連関係者は手厳しい。

「金集めばかりしていた。会議では何も発言せず、パソコンに向かいながら議事録を作っているわけでもない。だいたい、陸上は素人ですよ。そういえば、陸連のお金で海外の競技会を視察した足でサッカーも観戦していたという怪文書まで流されたことがありましたね」

森容疑者には、テスト大会だけでなく、随意契約で委託された計400億円の本大会分まで、談合により受注調整していたのでは、という疑いをかけられている。

自宅などを家宅捜索されても否認していたが、ここにきて一転、企業名が書かれた一覧表に落札者を割り振る意味合いがあったことを認める意向を示しているという。

検察としては、五輪汚職事件で高橋治之元理事らを逮捕したものの、竹田恒和元JOC会長や森元首相まで捜査の手を伸ばせなかった悔いがある。今回の談合疑惑は威信をかけて追及するとみられ、森元次長の逮捕は波乱の幕開けとなるかもしれない。

森容疑者の自宅に家宅捜索に入る瞬間(写真:産経新聞社)
森容疑者の自宅に家宅捜索に入る瞬間(写真:産経新聞社)

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