歴史的建造物も街中の建物も次々と崩落…死傷者4万人超 トルコ南東部大地震「甚大被害の理由」
2月6日、マグニチュード7.8の大地震がトルコ南東部を襲った。エネルギー量は阪神淡路大震災の10倍といわれ、倒壊した建物は1万棟以上。6世紀に完成したガジアンテップ城も城壁の一部が崩壊した。隣国のシリアと合わせ、死傷者数はすでに4万人を超える。トルコのエルドアン大統領は7日、今回の被災地で救助や支援活動を迅速に行うため3ヵ月間の非常事態を宣言した。
なぜこれほど甚大な被害が発生したのか。立命館大学環太平洋文明研究センター特任教授の高橋学氏が解説する。
「トルコに多数存在するイスラム教の教会はドーム状で柱がない構造になっています。また、住宅も地震に対する備えが十分ではなかった。多くの建物は鉄筋を使っておらず、石やレンガブロックで建てられており、脆弱です。早朝の4時過ぎに地震が起きたため、多くの被害者は目を覚ます間もないほど一瞬で埋もれてしまったでしょう」
長引く紛争も被害拡大に拍車をかけた。震源となった地域は反体制派が多く、紛争が絶えない地帯。インフラは未だに整備が行き届いていない。
「地震が起きた地域は僕も以前訪れたことがあります。反体制派の自治地域もあり、交通網が確立されているかさえ疑問です。不安定な政治情勢は救助の妨げにもなっています」(高橋氏)
すでに世界各地からの救助隊がトルコに到着しているが、車輌や重機が不足しているため被災地へアクセスしにくい状況だ。シリアでも悪天候や機材不足によって救助が難航している。
現地では今も懸命の救助活動が行われている。被災地の人々が1日でも早く平穏な日常を取り戻すことを願うばかりだ。
『FRIDAY』2023年2月24日号より
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