岩崎 大輔

<p>少子高齢化が叫ばれるいま、あるところの高齢化がとんでもないスピードで進んでいる。「東京23区の区長」である。</p>
<p>東京23区の区長は70歳以上が10名で、平均65歳。最高齢である東京都北区の花川與惣太（よそうた）区長は87歳だ。</p>
<p>花川区長は新年会で区内小中学校の給食費無償化を掲げ、昨年末には周囲に「最高齢首長でギネスを狙う」「やり残したことがある」と今年の４月に行われる区長選挙への出馬に意欲を示していた。</p>
<figure id="attachment_295060" aria-describedby="caption-attachment-295060" style="width: 831px" class="wp-caption aligncenter"><a href="#" data-ident_hash="84b69e7c"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/02/5358-1.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-295060" class="wp-caption-text">次回選挙への出馬を表明した東京都北区の花川與惣太（よそうた）区長（87）</figcaption></figure>
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<p><span class="strongInContent">「東京23区の区長の高齢化はすごいことになっています。23区の首長の中で、87歳の花川区長の他、75歳以上の方を指す後期高齢者が７名もいるんです。彼らと千代田区、品川区の40代区長が並ぶとまるで『おじいちゃんと孫』のようです」（都政担当記者）</span></p>
<p>最年少の千代田区の樋口高顕（40）区長や、美人区長と話題の品川区の森沢恭子（44）区長のように若い区長もいない訳ではない。しかし、50歳以下の区長は23名中４名しかいない。</p>
<p>国会議員と比べると、最高齢は自由民主党の二階俊博氏で83歳とそう変わらないものの、最年少は立憲民主党の馬場雄基氏で30歳、平均年齢が56歳なので、23区の区長の平均年齢65歳というのは、かなり高齢だといえる。</p>
<p>なぜ、ほかの政治家と比べて23区の区長は高齢になってしまったのか。地方政治に詳しい社会構想大学院大学の北島純教授はこう分析する。</p>
<p><span class="strongInContent">「23区は、他の市町村と同じ基礎的自治体ですが、並の国家より財政規模が大きく1500万人超の昼間人口を抱える巨大都市・東京都の『お膝元』。少子高齢化や財政危機など様々な課題がありますが、住民としては切迫した危機感というよりも、区が安定した行政サービスを提供していれば、現状維持で区政を追認しやすいという事情があります。</span></p>
<p><span class="strongInContent">日本政治のスターを選ぶような都知事選と違って区長選はそれほどの注目を集めることもありませんから、浮動票も見込めません。そういった事情もあって、組織力のある現職が有利なことが多く、多選・高齢化につながりやすいんです」</span></p>
<p>北島氏は、多選による政治経験の長さも武器になる、としてこう続ける。</p>
<p><span class="strongInContent">「昨年亡くなった『都議会の首領（ドン）』こと内田茂元自民党都連幹事長のような政治家は、都議会と東京都の調整にとどまらず、政府与党・国会議員・霞が関の官僚から民間企業までさまざまなところに顔が利き、利害調整の要としての役割も担います。</span></p>
<p><span class="strongInContent">都・永田町・霞が関を相手に調整しながら政策を前にすすめるために豊富な政治経験が物をいう訳です。区政でも、政治経験が豊富で行政の隅々まで勝手知ったる現職が『調整力』を発揮して実績を積み上げますので、多選区長が選挙でも優位になるということでしょう」</span></p>
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<div data-friday-nextpage-lead="美人すぎる品川区長の森沢氏はあきれ顔"></div>
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<p>そのような事情もあってか、今年４月に行われる12区の区長選挙では大田区の松原忠義区長などが不出馬を示したのみで、残りの10区は現職が出馬するとみられている。北区の花川区長も２月９日に出馬表明を行い、当選すれば在任中に90歳を越えることになる。</p>
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<p>90歳というとかなりの高齢者だ。当然、心配になってくるのは体力面や政治手腕に影響はないのだろうかという点だろう。区の幹部職員からは不安の声も届いている。</p>
<p>世代交代の象徴ともいえる、品川区・森沢区長に２月２日、令和５年度の一般会見予算案発表の際、23区首長の「多選・高齢化」を尋ねるとこう述べた。</p>
<figure id="attachment_295063" aria-describedby="caption-attachment-295063" style="width: 1477px" class="wp-caption aligncenter"><a href="#" data-ident_hash="c9811cf3"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/02/5086.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-295063" class="wp-caption-text">美人区長と話題の品川区の森沢恭子（44）区長は多選・高齢の区長が増えていることにはコメントしなかった</figcaption></figure>
<p><span class="strongInContent">「政治の世界には年齢や性別、多様な人材が入っていくことで、区民の多様なニーズを汲み上げることができる。最終的には区民が選挙で（区長を）選ばれるので、区民の判断に委ねられる」</span></p>
<p>——多選・高齢の区長の大半が次の選挙にも意欲的だが</p>
<p><span class="strongInContent">「他区のことはコメントを控えたい」</span></p>
<p>44歳の若き区長は言葉をそう濁した。</p>
<p>もちろん、選挙では年齢ではなく政策や能力で判断すべきだが、若者の政治参加や世代交代のきっかけづくりのためにも定年制のような制度が必要なのではないだろうか。</p>
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<figure id="attachment_295057" aria-describedby="caption-attachment-295057" style="width: 1108px" class="wp-caption aligncenter"><a href="#" data-ident_hash="6d77778b"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/02/5346.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-295057" class="wp-caption-text">北区の花川区長。耳が遠くなっており、質問をすると近くによってきた</figcaption></figure>
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岩崎大輔

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