「ぼっち写真」入手!宮台真司襲撃事件 容疑者が”クラスの人気者”から「引きこもり中年」になるまで
社会学者の宮台真司氏(63)が切りつけられ、重傷を負った事件で容疑者として追われていた男が、自ら命を絶っていたことが1月末に明らかになった。警視庁が犯人を特定するため、昨年12月12日に犯行直後の防犯カメラの映像を公開した矢先、首を吊っていたのだ。
「この事件の犯人とみられるのが神奈川県相模原市在住の倉光実容疑者(41)です。映像公開の4日後、自宅から300mほどの別宅で首を吊っているのを母親が発見しました。遺書には事件については書かれておらず、家族や知り合いに迷惑をかけたという趣旨の内容が書かれていました」(全国紙社会部記者)
倉光容疑者は水道管工事の仕事に就く父親と介護関係で働く母親との3人暮らし。長年仕事をせずに引きこもりのような生活を送っていたという。毎日、自転車で別宅と本宅を行き来するという生活を送る倉光容疑者は、近隣住民から奇異の目で見られていた。
「母親に購入してもらったという別宅から、毎日朝7時30分頃に実家に行って、夜は21時頃帰ってきていました。いつも坊主頭で黄ばんだTシャツを着て、体を丸めて自転車に乗っている。挨拶をしても聞こえていないかのような反応で……すこし気味が悪かったです」(近隣住民)
現在わかっている倉光容疑者と宮台氏の″つながり″は、実家から見つかった同氏の共著1冊のみ。母親が新興宗教「エホバの証人」の信者だったとの報道もあるが、動機の解明には至っていない。だが、容疑者がいつ頃社会との接点を絶ち、孤独な引きこもり中年になっていったのか、その経緯は取材によって浮かび上がってきた。
本誌は、倉光容疑者の小学校と中学校の卒業アルバムと文集を入手した。小学校では明るい表情で写真に写り、クラス内の投票では「かっこいい人」と「運動神経がいい人」ともに1位に選ばれている。小中時代の同級生は「引きこもるようなタイプではなかった」と口を揃える。
「おとなしい奴でしたけど……さわやかなイケメンでモテていました。中学校でも野球部で頑張っていた。学校でトラブルを起こしたこともないです」(同級生)
小学校の卒業アルバムにも「将来の夢は野球選手」と書いていた倉光容疑者。だが、高校入学後に人生は大きく狂ったようだ。幼少期から倉光容疑者を知る知人が語る。
「高校は甲子園常連校に投手として入学したと聞いています。学校からも期待されていたみたいですが……。もともとすごく優しい子だったので、他人を蹴落とすような厳しい練習に耐えられなかったのかもしれません。結局高校を中退してしまい、そこから引きこもりがちになったと聞いています」
母親によると、倉光容疑者は携帯電話も所持していなかったという。この知人は、高校中退後はぱったりと姿を見かけることはなくなったと続ける。
「お母さんは『息子が精神を病んで、ずっと家で本を読んでいる』と言っていました。数年前、自転車で20分くらいのところにある図書館で彼を見かけました。私に気づかないくらい集中して本を読んでいましたよ」
宮台氏は、孤独を受け入れ無気力に生きる人々を厳しく批判してきたことで知られる。ひとり書物を貪り読む孤独な生活の中で、倉光容疑者は宮台氏の思想に触れ、一方的に恨みを募らせていったのか……。しかし、本人の口から本当の動機が語られる機会は永遠に失われてしまった。
『FRIDAY』2023年2月24日号より
- PHOTO:警視庁提供(1枚目)