「バンクシーで大ハシャギ」の小池百合子都知事に見える焦り
見ているほうが恥ずかしくなる
「そもそも、小池知事はメディアが取り上げるような話題を提供し、政治に関心の薄い人を味方につけるのが上手い。今回の件も、『炎上してもいい。この話題に乗っかると自分が目立つ』という思惑があったのでしょう」
こう語るのは、日本維新の会所属の都議会議員・柳ヶ瀬裕文氏(44)だ。
どこからともなく現れ、世界中の壁に落書きを残す路上アーティスト・バンクシー。1月17日、そんな彼(?)の作品と思しき風刺画が東京・港区の防潮扉で発見された。約10年前から放置されていたというこの落書きはホンモノなのか――。謎が謎を呼ぶなか、騒ぎに便乗した小池百合子都知事(66)の”大ハシャギ”に冷ややかな声が上がっている。
「小池知事はツイッターで『東京への贈り物かも?』と浮かれた投稿をしていましたが、とんでもないですよ。都から見れば、あれはあくまで落書き。本来ならば、小池知事は怒らなければいけない立場です。職員の間でも『あの人のミーハーっぷりは相変わらずだ』とタメ息が漏れています」(都庁職員)
いくらアートとはいえ、行政からすれば落書きは迷惑行為。刑事訴訟に詳しい西口竜司弁護士はこう指摘する。
「今回の落書きは、公的な防潮扉に描かれている。これは物の効用を害する行為になり、器物損壊罪にあたります。ただ、器物損壊は親告罪で、被害者である都が動かなければ事件化しない。小池知事の行動を見ていると、告訴する様子は感じられません。都民の財産を傷つけた行為を放置していると言えます」
振り返れば昨年11月、東京都は入国管理局近くの路上に書かれた『FREE REFUGEES(難民を解放せよ)』というメッセージに対し、「道路は公共物だ」と怒りを表明した。それにもかかわらず、人気アーティストのバンクシーが描いたという理由で有り難がる小池知事の姿勢は典型的なダブルスタンダードだ。
「小池知事が話題を集めたがるのには理由があります。来年には都知事選が控えるなか、『都民ファーストの会』の支持率は低迷し、地方選も連敗している。そんな状況で話題作りをしないといけない。今回のツイートは、彼女の再選への焦りが透けてみえます」(前出・柳ヶ瀬氏)
そもそも、バンクシーは政治的なメッセージを込めた風刺画が身上。小池知事の振る舞いは政治の軽薄さを浮き彫りにした――。バンクシーのモチーフはそこにあったのかもしれない。


写真:AFP/時事通信社(2枚目写真)