知事が決意の告白!山梨県知事と富士急行の間で″ドロ沼法廷バトル″勃発中 | FRIDAYデジタル

知事が決意の告白!山梨県知事と富士急行の間で″ドロ沼法廷バトル″勃発中

「山中湖畔の県有地の貸付料が安すぎる」 議会で孤立無援、地元メディアとも敵対……

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いま山梨県では、県知事と県内有数の大企業・富士急行の間で信じられないトラブルが発生している。トラブルは法廷闘争にまで及び、昨年12月の一審判決で富士急行が勝訴。すぐさま知事が控訴し、ドロ沼の様相を呈しているのだ。

山梨県庁前にて。「ネットでは『震えて眠れ』と脅迫されたりしますが、県有地問題への取り組みを県民に信任いただいたと解釈したい」
山梨県庁前にて。「ネットでは『震えて眠れ』と脅迫されたりしますが、県有地問題への取り組みを県民に信任いただいたと解釈したい」

きっかけは’15年にさかのぼる。長崎幸太郎氏(54・現山梨県知事)が語る。

「当時、私は衆議院議員で、かねてから耳にしていた『広大な土地を安い賃料で借りて商売をしている者がいる』という有権者の訴えについて調査に乗り出したところ、山中湖畔の県有地の賃料が『開発前の山林原野』を想定していることがわかりました。高速道路からわずか5分の距離にある別荘地で、近くにゴルフ場があり、県がお金を投じて道路も生活インフラも整備しているのに、山奥にあるスキー場『ふじてんスノーリゾート』の1㎡あたりと同じ価格が当てはめられていた」

’17年になると「山梨県が富士急行に貸している県有地352ヘクタールの賃料が不当に安い」として、南アルプス市在住の男性が約159億円の支払いを求める住民訴訟を起こした。それにより、’19年の知事選に勝利した長崎氏は裁判の被告となった。

「虚心坦懐(きょしんたんかい)に議論すべきじゃないかと何度も申し上げたんですが、当時、県は富士急さんとベッタリで、情報をすべて共有しながら闘っていました。これは癒着しすぎだと考え、まず弁護士を代えました。私の母校・東大法学部の仲間に相談して、推挙されたのが足立格弁護士です。その結果、『適正な賃料とはおよそ言えない』との結論に達し、真実を追及するという方針に転換することにしました」

突然の知事の方針転換に議会は大混乱となった。しかしながら、知事と同じ自民党の最大会派「誠心会」の反対に遭い、和解案は葬り去られた。

「驚くべきは共産党ですら敵に回ったこと。彼らは以前から『県有地の賃料が安すぎる』と主張していたのに、『方針転換のプロセスが見えない』などと議会で私を非難し始めた。新聞やテレビなど地元メディアも『誠心会』の主張はしっかり報じるけど、私の発言はポイントだけ。揶揄され、曲げて伝えられました」

富士急行は’21年3月、県との賃貸借契約が有効であること、県に同社への損害賠償請求権等が存在しないことの確認を求めて訴訟を提起。同年7月に県が反訴し、″ドロ沼法廷闘争″が幕を開けた。

争点となったのは、山中湖畔の県有地の賃料が適正か否か。現行の賃料は3億円あまりだが、県側は「適正賃料は約20億円」と主張。賃貸借契約は違法・無効だとして「適正賃料との差額と損害賠償等」約93億円の支払いを求めたが、甲府地裁は棄却。富士急行が勝訴した。ここまで長崎氏がこだわるのには理由がある。

「我々が目指すのは教育立県です。公教育の再興で教育格差を是正したい。25人学級を拡大したい。少子化対策として、山梨大学で不妊治療ができるよう、胚培養士の人材育成も進めています。ただ、いずれも財源が必要。増税せず実現させるために、県土の30%を占める県有地の活用が大きなテーマになっており、その大事なパーツが山中湖畔の440ヘクタールなのです。

県有地の賃料が上がっても、地方交付税交付金は減額されない。まるまる増収になる。これが大きい。全額、県民に還元しますし、すべてガラス張りにします。現在、富士急さん以外のほぼすべての県有地の賃借人に(賃料改定を)ご納得いただいています。高くなりすぎる場合は減免しています。子供の夢と可能性を大事にしたいのは、県も富士急さんも同じ。わかり合えないはずがない」

一方、富士急行は現行賃料を日本の三大鑑定事務所が「適正」と鑑定していること、裁判所も「不動産鑑定評価基準の評価方法に即した形で算定されたものであると認められる」と判示していること等を前提として示しつつ、こう反論した。

「本件土地について賃貸借契約は違法無効などと主張され、控訴されている状況では建設的なお話は難しいのではないかと思います。適正な賃料改定による賃料収入を県民に還元するのであれば結構なお考えだと思いますが、現状では、不当な賃料改定によって山中湖県有地にお住まいの住民の方々に負担を強いることになり、却って地域の発展を阻害する可能性があるものと考えます」

長崎氏はこう覚悟を見せた。

「(三大)鑑定事務所の見解は『開発前の山林原野を想定』という条件のもとでの、いわばシミュレーションであったと認識しています。これを受け入れたら、山中湖畔はいくら開発しても未来永劫、『開発前の山林原野』でフィックスしてしまい、大変な汚名を後世に残してしまう」

最後に長崎氏が漏らした「双方にとって良い解決策を見出すことができれば、もはや裁判は必要なくなる」との言葉に、本誌は山梨の明るい未来を見たが……。

本誌未掲載カット 山梨県知事と富士急行の間で″ドロ沼法廷バトル″勃発中 知事が決意の告白!
本誌未掲載カット 山梨県知事と富士急行の間で″ドロ沼法廷バトル″勃発中 知事が決意の告白!

FRIDAY2023年2月24日号より

  • PHOTO鬼怒川 毅

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