元アイドルと同棲、記者を熱血指導…入来智、村田兆治、門田博光「惜別・野球人」情熱溢れる秘蔵写真
昨年末から今年にかけて、往年のファンの胸を躍らせた多くの元有名プロ野球選手が旅立った。
村田兆治さん(享年72、ロッテ)、門田博光さん(享年74、南海、オリックスなど)、入来智さん(享年55、近鉄、巨人など)……。『FRIDAY』は、様々な形で名選手たちを取材している。秘蔵写真で情熱溢れる素顔を振り返りたいーー。
入来さんが亡くなったのは今年2月10日だ。宮崎県都城市内の交差点で、入来さんの運転していた軽自動車と普通乗用車が衝突。病院に運ばれたが、2時間後に死亡が確認された。
「彼女と2人で前向きにやっていこうと思っています。隠すようなことじゃないので『FRIDAY』さんの記事は全然いいんですよ」
02年2月、本誌の直撃に入来さんは人の良さをみせる。前年のシーズンで入来さんは、プロ入りして初めて2ケタ勝利を記録(10勝3敗)、ヤクルトの日本一へ貢献。一方でトラブルも抱えていた。
「01年1月、入来さんは元妻と離婚し、慰謝料と子どもの養育費を合わせて約9000万円支払う約束をしていました。しかし、当時の入来さんの年俸は推定1200万円。とても払える額ではないので、実母が土地を売却して慰謝料にあてるなどをしたそうです。そのため入来さんの生活は、プロ野球選手とは思えないほどつつましやかなものでした」(スポーツ紙担当記者)
入来さんは当時、さいたま市にある家賃8万円の2DKで暮らしており、ヤクルトの本拠地・神宮球場へは電車通勤をしていた。そんな入来さんを支えていたのが、22歳の元アイドルの女性だ。同棲生活を送っており、本誌は何度かスーパーに買い物に出かけたり駅に向かう2人を目撃。入来さんは前述の通り、記者の直撃に対しても気さくに応じてくれたのだ。
入来さんは「ケンカ投法」と呼ばれる闘志むき出しのスタイルで、最後までファンを魅了した。
「人間に限界はないの!」

「ほら、胸を張って! バネのイメージで、もっと腕を後ろに引く!」
「イテテテ……。もうムリです!」
「人間に限界はないの! オレが証明しているだろ」
本誌記者を手取り足取り熱血指導したのは、元ロッテのエース村田さんだ。トレーニングが行われたのは10年9月。村田さんは当時60歳だったにもかかわらず、「マサカリ投法」から投げ出される直球は140kmを記録した。還暦でも衰えを知らない理由を聞こうと村田氏を取材すると、「ちょっと投げるマネして」といきなり猛烈な指導が始まったのだ――。
そんな情熱的な村田さんが亡くなったのは昨年11月11日。東京・成城の自宅から火が出て、2階にいた村田さんは意識不明の状態で病院へ搬送され死亡が確認された。
「村田さんは、昨年9月23日に羽田空港(東京都大田区)の保安検査場で女性検査員に暴行を加えたとして現行犯逮捕されています。携帯電話を手にしていたため、何度も金属探知機に引っかかったことに腹を立てたようです。9月25日に保釈されましたが、検査場での対応には不満を持っている様子でした」(スポーツ紙担当記者)
前述した猛特訓以降も、村田さんは記者と交流を続けてくれた。羽田空港での一件には、思うところがあったのだろう。亡くなる1週間ほど前に記者へ電話をかけ、意味深なメッセージを残している。
「逮捕されたわけだから、もちろん謝るべきところは謝ります。ただ、一方的に私が悪いというのは納得がいかない。今は周囲と相談しているところだけど、落ち着いたらすべてを話しますよ。私の考えも主張したい。
残念なのは、今回の騒動で離島の子どもたちに野球を教えられなくなってしまったこと(村田さんは08年から野球を通じた全国の離島振興活動をライフワークにしていた)。最近は、野球をする子どもの数がどんどん減っているでしょう。サッカーやバスケットに流れてしまっている。私は、野球のすそ野を広げたいんだ。島に行けなくなってしまったのは本当に悔しい。事件が決着したら、また子どもたちに野球の楽しさを伝えたいね」
最後まで、自分の意思を貫こうとしていた村田さん。ブレない「先発完投」の人生だった。亡くなった偉大なる野球人たちに、心から敬意を表したい。







撮影:小松寛之 蓮尾真司 加藤 慶 安部俊太郎