「おとり広告」に社長逮捕…ともにトラブルで「かっぱ寿司」と「スシロー」に明暗も「厳しい現実」 | FRIDAYデジタル

「おとり広告」に社長逮捕…ともにトラブルで「かっぱ寿司」と「スシロー」に明暗も「厳しい現実」

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スキャンダルの影響をもろに受けた「スシロー」
スキャンダルの影響をもろに受けた「スシロー」

スキャンダルが噴出した、大手回転寿司チェーン「スシロー」と「かっぱ寿司」で明暗が分かれている。まずは両チェーンの、近々の既存店前年比売上高をご覧いただきたい(数字はいずれも%で12月までは昨年、1月は今年)。

・「スシロー」
10月:81.5 11月:74.8 12月:77.7 1月:89.6

・「かっぱ寿司」
10月:98.7 11月:101.2 12月:108.2 1月:108.2

お分かりの通り「スシロー」の売上は前年を大きく下回っているが、「かっぱ寿司」は10月が落ち込んだものの順調に伸ばしている。

「スシロー」は昨年6月に行われた販売されていない商品の宣伝を、消費者庁が「おとり広告」と指摘。翌月のビール半額キャンペーン中には、一部の店舗で品切れになっていた。「かっぱ寿司」も昨年9月に田辺公己社長(当時)が、古巣の「はま寿司」から営業上の機密データを不正に持ち出したとして逮捕されている。ともに大きなトラブルを起こしながら、両者の売上に差がついた理由はなんなのだろうか。経済ジャーナリストの松崎隆司氏が解説する。

「最も影響が大きかったのは、昨年10月に『スシロー』が値上げに踏み切ったことです。1皿の最低料金が110円だったのを120円ほどに。150円まで値上げされた商品もあります。

一方の『かっぱ寿司』は、原材料高にもかかわらず1皿110円を維持しました。実質的な値下げです。昨年10月に売上が落ちたのは、当時の社長逮捕の影響でしょう。しかし実質的な値下げをしたことで11月以降は売上が回復し、スキャンダルの『止血』ができた形となりました」

消費者が敏感に反応した「スキャンダルの性質」

社長が逮捕されながら売上に大きな影響のなかった「かっぱ寿司」
社長が逮捕されながら売上に大きな影響のなかった「かっぱ寿司」

明暗が分かれた理由は、値段の改定だけではない。松崎氏が続ける。

「スキャダルの性質が影響していると思います。『スシロー』が起こした『おとり広告』やビール半額トラブルの被害者は、お客さんでしょう。自分たちが被害を被る問題に対し、消費者が敏感に反応したのだと考えられるんです。

一方の『かっぱ寿司』の社長逮捕は社会的にはインパクトの大きい事件ですが、お客さんには直接関係ありません。逮捕直後は影響があっても、消費者にそれほど悪いイメージを与えたなかったのでしょう」

とはいえ「かっぱ寿司」が安泰かというと、状況はそう単純ではない。

「外食の原価率は30%ほどですが、回転寿司チェーンは40~50%あるといわれます。中でもマグロ、ハマチ、ウニ、イクラなど人気商品の原価率は高く、原材料費が上がっている中で価格を抑えるのは業者にとっては苦渋の選択です。値上げをせずに売り上げが伸びたからとって、手放しでは喜べない。価格を維持するためには、それ相応のリストラも進めていかなければならないんです」(松崎氏)

回転寿司チェーンでは客が湯呑みを舐める動画が拡散し、商品にアルコールスプレーがかけられるなどトラブルが絶えない。売上と利益を確保するために各社の苦闘は続く。

昨年9月に逮捕された「かっぱ寿司」の田辺社長(当時)
昨年9月に逮捕された「かっぱ寿司」の田辺社長(当時)
原材料高でも値上げしなかった「かっぱ寿司」
原材料高でも値上げしなかった「かっぱ寿司」
「スシロー」は都心にも店舗があるが「かっぱ寿司」は郊外を中心に展開しファミリー層も多い
「スシロー」は都心にも店舗があるが「かっぱ寿司」は郊外を中心に展開しファミリー層も多い
  • 撮影山崎高資 蓮尾真司

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