国力の差か、国民性の違いか…いま海外の人気観光地が「韓国人だらけ」になっている「実態と理由」 | FRIDAYデジタル

国力の差か、国民性の違いか…いま海外の人気観光地が「韓国人だらけ」になっている「実態と理由」

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日本人に人気だった場所に韓国人がどんどん押し寄せている

新型コロナウイルス禍がやっと落ち着き、日本人の国内旅行が再び賑わいを見せている。その一方で、海外旅行の再開ペースはいまだ鈍いままだ。主な要因は「円安」「燃油サーチャージ高」「航空運賃の高騰」「ウクライナ情勢」などに加え、「勤務先が海外旅行禁止」「周りの目が気になって行きづらい」「気軽に参加できるツアーが少ない」といった声も聞こえる。

そんな日本人に代わり、海外で今よく目に付くアジア系旅行客が「韓国人」だ。特に、以前は日本人に人気だった場所がそのままそっくり、韓国人に代わってしまっている感すらある。

なぜ韓国人は積極的に海外旅行するのか、できるのか。コロナ後海外渡航すでに5回以上の筆者が、現地の旅行関係者らに聞いた話を交えてリポートする。

昔は日本人の定番旅行先だったグアム。現在、ホテルオークラはロッテホテルに、空港の免税店もロッテ免税店に変わってしまった(写真はイメージ:アフロ)
昔は日本人の定番旅行先だったグアム。現在、ホテルオークラはロッテホテルに、空港の免税店もロッテ免税店に変わってしまった(写真はイメージ:アフロ)

海外旅行解禁からすぐ動く韓国人、年齢層も若く「お金より海外」 

昨年(2022年)4月のフランス・パリ。当時まだ日本では、帰国前のPCR検査と陰性証明書の提出が義務付けられていた頃だ。パリの百貨店にある「シャネル」「ルイ・ヴィトン」などで入店待ちをするのは、軒並み韓国人旅行客。ちなみに、コロナ前のそれは、中国人旅行客だった。エッフェル塔やルーブル美術館などの人気観光スポットでも、欧米人に交じって韓国人の姿も多かった。

アムステルダム行きの乗客が並ぶ搭乗ゲート。ビジネスや留学に交じり、旅行客の姿も当時すでにあった。2022年4月
アムステルダム行きの乗客が並ぶ搭乗ゲート。ビジネスや留学に交じり、旅行客の姿も当時すでにあった。2022年4月

韓国人が現地で多そうな予感は、行きの飛行機からあった。筆者の搭乗便は、KLMオランダ航空の大阪発ソウル経由アムステルダム行き。実は当初は直行便で、ウクライナ情勢の影響で減便かつソウル経由に変更となった。大阪-韓国間は空席だらけ、ソウルでほぼ満席となった。

アシアナ航空のソウル発シンガポール行きの機内。大半が旅行目的の韓国人で満席だった。2022年6月
アシアナ航空のソウル発シンガポール行きの機内。大半が旅行目的の韓国人で満席だった。2022年6月

2ヵ月後の6月、ソウル経由でシンガポールへ行った。アシアナ航空で、ソウル発着便は行き帰りとも満席。月曜日にも関わらず、この便も若者が多かった。マーライオン公園はじめ、多くの人気のエリアでシンガポール観光を楽しむ姿をよく目にした。

193の国と地域にビザなしで渡航できる日本のパスポートは「世界最強」として5年連続君臨し続けている。そして、2位が韓国とシンガポール。しかし、日本人のパスポートの保有率は17.3%(2022年外務省旅券統計)で年々低下しているという
193の国と地域にビザなしで渡航できる日本のパスポートは「世界最強」として5年連続君臨し続けている。そして、2位が韓国とシンガポール。しかし、日本人のパスポートの保有率は17.3%(2022年外務省旅券統計)で年々低下しているという

タイも韓国人だらけ! 飛行機からわかる輸送力も格段に違う

年が明け、1月と2月に立て続けにタイへ渡航した際も、韓国人の多さを目の当たりにした。

バンコク・スワンナプーム空港の到着口で、出迎えのタイ人が手にする名前を書いたプレートが軒並み「ハングル」なのにまず驚いた。しかも、発着便をよく見ると、ANAやJALが中型機の「787」なのに対し、大韓航空やアシアナ航空は超大型機の「A380」である。LCC(格安航空会社)のチェジュ航空、ジンエアー、エアプサンなどの便も次々飛来。日系は、昨年末に就航したPeach(ピーチ・アビエーション)のみだった。需要と供給が段違いなのを、飛行機の機材と便数で実感させられた。

タイ・バンコクのスワンナプーム空港から出発するアシアナ航空のA380と、後ろにジンエアーの737も見かけた
タイ・バンコクのスワンナプーム空港から出発するアシアナ航空のA380と、後ろにジンエアーの737も見かけた

タイ北部最大の都市チェンマイでは、さらに顕著だった。韓国路線は1日4便あり、しかも大韓航空は中型機「A330」で運航。日本路線は、2月半ばに新規就航したタイベトジェットの大阪便(週3便、当時)のみである。

現地の旅行関係者は皆、「この数ヵ月もう韓国人だらけ」と口を揃えて言った。ゴルフ場では看板が間に合わずに電光サイネージでハングルを表示し、ナイトマーケットではいたるところで韓国語が聞こえてきた。

タイ・チェンマイ空港で韓国行きのチェックインで並ぶ乗客。カートに載っているのはゴルフバッグ。2023年2月
タイ・チェンマイ空港で韓国行きのチェックインで並ぶ乗客。カートに載っているのはゴルフバッグ。2023年2月

韓国人の海外旅行リベンジ熱が日本人より大きな理由。実はLCCも影響 

そもそもなぜ韓国人が海外旅行に積極的なのか。これも昨秋に韓国へ行った際、現地で聞いた話などをまとめる。

まず「国土が狭い」こと。もともと北朝鮮と1つの国だったことを考えると納得がいく。今の国土では、気候差もあまりない。「コロナ禍で国内旅行しかできなかった時、行き先が済州島ぐらいしかなかった」とのことで、海外旅行リベンジ熱は相当なものだったようだ。

シンガポールのマーライオン公園。ここで自撮りする韓国人の若い旅行客がとても多かった。2022年6月
シンガポールのマーライオン公園。ここで自撮りする韓国人の若い旅行客がとても多かった。2022年6月

また、韓国人が「日本はなんでも安いから行きたい」と言うほど、韓国人の所得は上がっている。ただ一方、物価も上昇しており、韓国の国民が皆、豊かになったかというと一概には言えない。それでもコロナ禍で行けなかった分、「借金をしてでも海外旅行へ行く」という若者は多い。海外旅行をする人が増えると、周りの目など気にする必要はなくなる。これは国民性の違いと言えるだろう。

韓国系LCCの就航ラッシュも、海外旅行へ拍車をかけている。運賃が安いLCC、しかも競合が増えると旅費が安くなる。かつて日本人旅行客が多かったグアムやサイパン、セブ島などに、韓国系LCCが軒並み就航している。グアムでは、ホテルオークラは現在ロッテホテル、空港の免税店もロッテ免税店に変わってしまった。

海外旅行の再開ペースが鈍いのは金銭的問題だけではないが…

一方、日本人旅行客は、どこへ行っても少ない。日本発着の直行便だとまだ見かけるが、観光スポットなどではごくまれだ。日本の空港での出入国手続きでも、日本人向けレーンはたいてい空いている。特に、添乗員の旗を先頭にぞろぞろ歩くツアー客はゼロである。

日本では今、円安に加え、大半の人々は安い賃金のまま、物価はじわじわ上昇する。高齢化が進み、経済成長も見込めない。日常生活すら余裕がなくなると、まして以前より高額な海外旅行へ行ける人は必然的に少なくなる。仕事の休みが日ごろから取りづらい、会社で海外旅行解禁と言われてもしばらく様子見する人も多いだろう。

関西国際空港の出発案内。航空会社を見るとコードシェアを除くと日系はPeachの台北便のみ。2023年2月
関西国際空港の出発案内。航空会社を見るとコードシェアを除くと日系はPeachの台北便のみ。2023年2月

金銭的な問題だけではない。韓国との違いに、日本は「国内旅行での楽しみが多い」という差もある。美しい自然や温泉、郷土料理などが豊富にあり、「わざわざ海外へ行かなくても」と、国内旅行の魅力をコロナ禍で改めて知った人も多い。

ずっと隣同士の国ながら、あらゆる面で“似て非なる国”の日本と韓国。海外旅行に対する差も、今の国力や経済力、そして国民性の違いがはっきりと出る形となっている。

  • 文・写真シカマアキ(特記以外)

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