「結成40周年」スクープインタビュー 『たけし軍団』が初めて明かす「フライデー襲撃事件の真相」
つまみ枝豆、ガダルカナル・タカ、ダンカン…… 還暦を過ぎても皆元気!
ズラリと並んだ8人のおじさんたち。たけし軍団の面々だ。軍団結成40周年を記念し、3月8日より舞台『ウスバカゲロウな男たち』を公演予定。この日は舞台の稽古のため、都内のスタジオに集まっていた。
ビートたけし(76)の弟子たちがいつからたけし軍団と呼ばれるようになったのかは本人たちも知らないという。ただ最初のメンバー8人(グレート義太夫、井手らっきょが加入して10人になった後、そのまんま東と大森うたえもんが脱退)がなんとなく揃(そろ)ったのが1983年のことらしい。つまり今年で結成40年。後ろに立っているパネルと本人たちの姿を比べると、やはり年月を感じてしまう。
彼らの現在の所属事務所であるTAPの代表であるつまみ枝豆(64)、専務のダンカン(64)、最年長メンバーのガダルカナル・タカ(66)にたけしと共に過ごした軍団の日々を語ってもらった。
枝豆「常に一緒にいましたね。たけしさんも気を使う人ですから芸能界にあえて友達を作らなかった。やっぱり僕らといるほうがラクだったのかもしれません」
ダンカン「番組が終わって朝4時まで飲み、そのまま6時から野球の試合をやったり、エンドレスでいることが多かった。誰もが声をかけてくる超スーパースターなのに、酔っ払いのサラリーマンに『おう、たけし』と言われると『なんだこの野郎!』って殴りかかろうとして我々が止める。人間的だなあと思ってね」
タカ「恥ずかしいところを隠さないんですよね。気に入らなきゃ殴ろうとするし、キレイなおねえちゃんを見たら、なんとかしたいって言い出すし(笑)」
ダンカン「周りは大変だったけどね(笑)
襲撃直前、「ちょっと集まれ」
たけし軍団と本誌といえば、やはり『フライデー』襲撃事件に触れないわけにはいかないだろう。’86年12月9日、ビートたけしとたけし軍団の計12人が本誌編集部に押しかけた暴行傷害事件だ。
タカ「『みんなちょっとメシ食うから集まれ』みたいな話があって、たけしさんから『こういうことだから』って説明を聞いたときに、やり方が酷(ひど)いなと、ガマンできないぐらいの憤(いきどお)りを感じました」
ダンカン「あの頃の写真週刊誌はなんでもありみたいなところがあって、度を超えちゃったんですよね」
タカ「手を出してしまったのは申しわけないけど、編集部側もある部分では挑発的だったんです。『文句あるなら来いよ』って言われたら、たけしさんや我々の気性からすると行くじゃないですか。それでこちらが殴り込んできたら記事にしてやろうというぐらいの意図はあったと思います。でも想像以上に我々が暴れた」
ダンカン「俺は揉(も)み合いに加わらずに周囲をずっと見ていて、写真を撮る人間がいたらカメラを奪ってやろうと思っていたんです。でも、誰一人、写真を撮ろうとしていなかった。まあ突然の出来事に混乱していたんだと思いますけど」
タカ「絶対どこかで撮られて、それを出されるんだろうなと思ってましたからね」
8人のうち3人は不参加だった。つまみ枝豆と井手らっきょは連絡がつかず、ラッシャー板前は入院中だったためだ。
枝豆「翌日、家でテレビを観ていたら、講談社の人が取材に答えていて、義太夫に首を絞められた跡を指して『こんなことされたんです』と一方的に被害を訴えている。前日に行けなくて不義理をしちゃったという気持ちもあり、ここに行ってこいつらを何とかしないとって思ったんです。で、何か武器を持っていこうと思って探していたところに電話がかかってきた。親戚からだと思って、うるせえなあと『あぁ?』って出たら、たけしさん! その場で土下座しました(笑)。そうしたら『お前の面倒は一生見るから勘弁してくれ。今は動かないでくれ』と言われたんです。あれで僕が動いていたらだいぶ話は変わっていますよね」
ダンカン「火に油を注いで大炎上だよね」
枝豆「僕はもちろん終わりだし、たけしさんもダメになっていたかもしれない。しかも僕はまさに出かけるタイミングだったので、電話を取れなくても不思議ではなかった。奇跡ですよね」
神様が「死んじゃダメだ」、と
タカ「さすがに出版社に殴り込むのはマズい。もう仕事はないなって思いましたけど、当時の後藤田正晴官房長官が国会で『ビート君の気持ちもよくわかる』と発言するなど、同情的な声も多かった。一番大事な瞬間に奇跡的に電話もつながるというのも、たけしさんがそういう奇跡を生み出すエネルギーを持っていたんじゃないかなって考えてしまいますね」
ダンカン「運が強いんだろうね。後のバイク事故(’94年)だって、もしかしたら命を落としていたわけで、それも神様があんたは死んじゃダメだって判断したからなのかもしれない」
枝豆「そういうのがある人なんじゃないですかね。ダラしないところは多々ありますけど(笑)」
’18年4月にたけしが自身の新会社に移籍したことで、軍団も独立することになる。事務所を引き継いだ当初は「名刺の出し方も頭の下げ方も知らなかった」(ダンカン)状態。「どうせすぐに潰(つぶ)れる」という声も多かった。だがそれから5年、軍団員たちの尽力で潰れることなく現在に至っている。
タカ「若い人は軍団のことなんて知らないだろうと思っていたんですけど、今はYouTubeで昔の映像が見られるじゃないですか。たまたま昔の軍団の映像を見た若い人から『面白かった』って話しかけられたりすることもあって。だからまだまだチャンスはあると思っています」
40年の月日を経て、軍団の熱い絆はいまだ健在。還暦を過ぎてもますます元気になっているようである――。
『FRIDAY』2023年3月17日号より
- PHOTO:足立百合